Q. Flexi® Vector Systemとはどのようなシステムですか? |
A. 低頻度出現の制限酵素であるSgf IおよびPme Iを利用したシンプルなクローニングシステムです。Flexi® Vectorに含まれる致死遺伝子と目的遺伝子をSgf IおよびPme Iサイトを用いて組み換えます。致死遺伝子を持つクローンはコロニーを形成できませんので、得られたコロニーは、非常に高い効率(95%程度)で目的遺伝子を含むことになります。そのため、Flexi® Vector Systemは、青白選択システムの偽陽性やコロニーPCRなどのスクリーニング労力を低減できる非常に効率の良いクローニングシステムといえます。また、保存用のエントリーベクターは不要で、実験に適したFlexi® VectorにPCR増幅した目的遺伝子を直接組み込むことができます。さらに、一度Flexi® Vectorに組み込んだ目的遺伝子は、Sgf IおよびPme Iで切断することで簡単に別のFlexi® Vectorへ相互に組み換えることが可能です。

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Q. なぜ、Sgf IおよびPme I サイトを使用するのですか? |
A. 多くの動物、植物、細菌のオープンリーディングフレーム(ORF)においてSgf IおよびPme Iは低頻度出現の制限酵素であることが示されているからです(表1)。目的遺伝子の生物種は、限定せずにご使用いただけます。
表1 制限酵素サイト出現頻度の比較

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Q. Flexi® Vectorsにはどのような種類のベクターがありますか? |
A. タンパクの発現、精製、機能解析まで、様々な研究目的に対応したベクターが用意されています。
以下サイトに一覧表がございますので、ご参照ください。
現在、販売しているベクター一覧:
http://www.promega.co.jp/Win_PList.php?pGMPID=0402006
選択マーカー、発現プロモーター、融合タグの情報:
http://www.promega.co.jp/flexicloning/vectors.html
ベクターマップや配列の詳細情報
(該当ベクター紹介ページの「Figures & Tables」タブでご確認いただけます):
http://www.promega.com/products/vectors/
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Q. Flexi® Vectorsの名称に含まれる「A」、「K」、「N」、「C」はそれぞれ何を表していますか? |
A. 「A」と「K」は薬剤耐性遺伝子の種類を表してします。「A」はアンピシリン、「K」はカナマイシンです。「N」と「C」は、付加されるタグの位置を表しています。「N」はN末端に「C」はC末端にそれぞれのタグを付加するベクターになります。
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Q. Flexi® Vectorsの制限酵素サイト付近の配列とFlexi® Vectors間の組み換えでの注意点を教えてください。 |
A. FlexiR
Vectorsは、1) タグの融合なし (pF1, pF3, pF4, pF5, pF9, pF12)、2) N末端にタグの融合
(pFN2, pFN6, pFN10, pFN11)、3) C末端にタグの融合 (pFC7, pFC8)、の3種類に分けられます。それぞれの制限酵素サイトの詳細な塩基配列情報を以下に示します。Sgf IおよびPme Iで切り出すことにより方向性、読み枠を維持したまま移すことができます。Flexi® VectorにORFをクローニングする場合、N末端側はSgf Iサイト+C+initiation codon ATGとなるようにデザインし、C末端側はORF+Pme Iとします。このようにデザインすることにより、N末端側にはKozakコンセンサス配列が導入され、C末端側はPme Iサイト中のTAAが目的ORFに対するstop codonとして導入されます。プライマーデザインに関しましては、「Q. Flexi® Vector Systemの使用方法を簡単に説明してください。」もご参照ください。

図2 C-terminal Flexi® Vectorへのクローニング
- タグの融合なし:RBS、Kozak、終止コドンが含まれます。
- N末にタグの融合: 終止コドンが含まれます。

- C末にタグの融合: RBS、Kozakを含みます。
目的遺伝子導入後は、Pme IとEcoICRIの両方のサイトが失われます。

ベクター名に「C」を含むC-terminal Flexi® Vector(pFC7,
pFC8)は、終止コドンが導入されるPme Iの代わりに終止コドンを含まないEcoICR Iを使用しています。C-terminal
Flexi® Vectorに目的遺伝子を導入すると、Pme IとEcoICRIの両方のサイトが失われますのでPme Iサイト中のStop codonはなくなりますが、制限酵素で再切断できませんので、他のFlexi® Vectorsに組み換えることが出来なくなります。
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Q. Flexi® Vector Systemは基本的にSgf IおよびPme Iを利用したdirectional cloning systemのようですが、Sgf IおよびEcoICRIサイトを利用するC-terminal Flexi® VectorでEntry cloneを作製してもいいですか? |
A. C末端タグコンストラクトのみ必要で、将来的にもN末端タグ、あるいはタグなしのFlexi® Vectorにクローニングすることはないということでしたら、C-terminal Flexi® VectorでEntry cloneを作製してもいいかもしれません。ただし、Pme IおよびEcoICRIサイトを用いたC-terminal Flexi® Vectorは、Pme Iサイトのようにstop codonを導入しない目的でEcoICRIサイトを採用しています。そのため、Pme I−EcoICRI断片をN末端タグ、あるいはタグなしのFlexi® Vectorにクローニングするとstop codonが導入されませんので、本来のORFで翻訳をstopすることができません。従いましてプロメガでは、マニュアル、およびFlexi® Vector Primer Design Toolでは、「Entry」の方法としてPme I−Pme Iを利用したFlexi® Vectorへのクローニング方法のみご紹介しております。「こちら」に簡単な説明図がございますのでご参照ください。
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Q. Flexi® Vector Systemにおいて、ベクター以外に必要な試薬を教えてください。 |
A. クローニング試薬が必要です。プロメガでは、初めてFlexi® Vectorに目的遺伝子を導入する場合(エントリー:Entry)と目的遺伝子を他のFlexi® Vectorに組み換える場合(トランスファー:Transfer)に必要な試薬を用意しています。Flexi® System, Entry/Transfer(C8640)には、インサートの精製に必要なWizard® SV Gel
and PCR Clean-Up System(A9280)も含まれます。試薬の構成に関しましては、表3をご参照ください。
表3 クローニング試薬の構成品
| 試薬 |
サイズ |
カタログ番号 |
価格(¥) |
Flexi® System, Entry/Transfer
(ベクターへの導入反応5回分
および移動反応20回分) |
5/20回分 |
C8640 |
30,000 |
| 2 × 50µl |
Flexi® Enzyme Blend
(Sgf I and Pme I) |
| 500u |
T4 DNA Ligase (HC) |
| 1ml |
5X Flexi® Digest Buffer |
| 500µl |
2X Flexi® Ligase Buffer |
| 1.25ml |
Nuclease-Free Water |
| Cat.# A9280 WizardR SV Gel and PCR Clean-Up
System |
| 試薬 |
サイズ |
カタログ番号 |
価格(¥) |
Flexi System, Transfer
(ベクター間の移動反応100回分) |
100回分 |
C8820 |
98,000 |
| 4 × 50µl |
Flexi® Enzyme Blend
(Sgf I and Pme I) |
| 4 × 500u |
T4 DNA Ligase (HC) |
| 1ml |
5X Flexi® Digest Buffer |
| 2 × 500µl |
2X Flexi® Ligase Buffer |
| 2 × 1.25ml |
Nuclease-Free Water |
| 試薬 |
サイズ |
カタログ番号 |
価格(¥) |
Carboxy Flexi® System, Transfer
(C末端融合タンパク質発現ベクター用
ベクター間の移動反応100回分) |
50回分 |
C9320 |
55,000 |
| 50µl |
Carboxy Flexi® Enzyme Blend
(Sgf I and EcoICR I) |
| 50µl |
Flexi® Enzyme Blend
(Sgf I and Pme I) |
| 2 × 500u |
T4 DNA Ligase (HC) |
| 1ml |
5X Flexi® Digest Buffer |
| 500µl |
2X Flexi® Ligase Buffer |
| 1.25ml |
Nuclease-Free Water |
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Q. Flexi® Vector Systemの試薬の保存条件を教えてください。 |
A. -20℃で保存してください。Flexi® Enzyme Blend (Sgf I and Pme I)は、-70℃での凍結禁止です。2X Flexi® Ligase
Bufferは分注保存し、複数回の凍結融解を避けてください。Wizard® SV Gel and PCR Clean-Up
System(A9280)は、室温で保存してください。
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Q. Sgf Iでベクターを切断し、ゲル電気泳動を行いましたが、プラスミドが切断されていないようです。 |
A. 酵素反応後、DNAと酵素が結合したままになり、見かけ上DNAが切断されていないように観察される場合があります。酵素反応後、65℃で20分の熱処理を行うことにより、酵素とDNAが解離し、DNAが切断されていることが確認できます。
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Q. Flexi® Vector Systemの使用方法を簡単に説明してください。 |
A. 目的遺伝子を初めてFlexi® Vectorに導入する場合(エントリー)と目的遺伝子を他のFlexi® Vectorに組み換える場合(トランスファー)について説明します。詳細は製品プロトコールTM254をご参照ください。
1) 目的遺伝子を初めてFlexi® Vectorに導入する(エントリー)
Sgf Iと Pme Iを含むプライマーを用いて目的遺伝子をPCRで増幅し、実験に適したFlexi® Vectorにクローニングします。
<ステップ1;プライマーの設計とPCR>
Flexi® Vector Primer Design Toolを用いて、Sgf IおよびPmeIサイトを含むプライマーを設計します。このプライマーを用いてPCRを行い、目的遺伝子を増幅します(図3)。

図3 プライマー設計とPCR
<ステップ2;クローニング>
PCR産物は、Wizard® SV Gel and PCR Clean-Up System で精製します。次に、Flexi® Enzyme Blend (Sgf I and Pme I)を用いて、PCR産物とFlexi® Vectorをそれぞれ切断し、PCR産物をWizard® SV Gel and PCR Clean-Up System
で精製します*)。その後、ライゲーション、トランスフォーメーションを行います。ベクターに含まれる致死遺伝子(lethal
gene;Barnase)をもつクローンは生育できないため、目的遺伝子を含むクローンのみが得られます。また、培地には、必ずアンピシリンもしくはカナマイシンを添加し、薬剤スクリーニングも実施してください。
*)一般的なクローニングでは、制限酵素処理したベクターから切り出されたDNA断片を除くためにベクターの精製を行う場合もありますが、Flexi® Vectorでは、Sgf I とPme Iの処理で致死遺伝子が切り出され、それを含むクローンは生育できないため、ベクターの精製は不要です
。

図4 Flexi® Vector System エントリーの概略
2) 目的遺伝子を他のFlexi® Vectorに組み換える(トランスファー)
目的遺伝子をクローニングしたベクター(Donor)から他の機能を有するFlexi® Vector(Acceptor)に組み換える場合*)、これら2種類のベクターを同時にFlexi® Enzyme
Blend (Sgf I and Pme I)で切断します。引き続き、精製操作を行うことなく、ライゲーション、トランスフォーメーションを行います。Acceptorとなるベクターがもつ薬剤耐性(AmprあるいはKanr)と致死遺伝子(lethal
gene)による選択により、目的クローンを高効率に得ることができます(図5)。
* )Acceptor にはDonorと異なる薬剤耐性マーカーをもつベクターを選択してください。

図5 Flexi® Vector System トランスファーの概略
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Q. Flexi® Vector のシーケンスプライマー情報を教えてください。 |
A. Flexi® Vectorのシーケンスプライマーは、以下サイトに一覧表をご紹介しております。
Sequencing Primers for Flexi® Vector Inserts
ただし、pFC8(HaloTag)Vectorは、次の配列を推奨します。
- pFC8 HaloTag Forward primer:
- 5’ CTCCCAGTTCAATTACAGCTCT 3’
- pFC8 HaloTag Reverse primer:
- 5’ GCTCGCCCAGGACTTCCACATAAT 3’
(HaloTag 遺伝子の5’ 領域 )
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Q. Flexi® Vector を一般的な大腸菌のコンピテント細胞を使用して複製することは可能ですか? |
A. Flexi® Vectorには、致死遺伝子であるBarnase遺伝子が含まれます。よって、一般的な大腸菌では、大腸菌が致死してしまうため、Flexi® Vectorは複製できません。またBarnaseは、哺乳動物細胞にも毒性があります。
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Q. Flexi® Vectorの複製起点を教えてください。 |
A. プロメガのpGEM
ベクターと同じで、mutated pMB1になります。これは、ColE1型ベクターに分類されます。
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Q. Flexi® Vectorに含まれる致死遺伝子(Barnase遺伝子)の安全性について教えてください。 |
A. プロメガのBarnase遺伝子は、nativeのBacillus
amyloliquefaciens strain H遺伝子配列を使用しています。Flexi® Vector
systemのクローニングにおいて、Barnase遺伝子をもつクローンは、大腸菌を致死させるためコロニーを形成しません。また、Barnase遺伝子を含むFlexi® Vectorが受動的に哺乳動物細胞に導入される事例は報告されておりません。
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