プロメガ製品 Q & A 【 大腸菌 】

 

 プロメガが提供する菌株

JM109

Q. 購入したベクターに添付されているJM109はコンピテントですか? もしくは、このJM109にすでにプラスミドがトランスフォームされているのですか?

注)2008年より順次JM109の添付を中止しています  

プロメガでは販売しているプラスミドベクターのほとんどにJM109細胞のグリセロールストックを添付しています。この添付されているJM109はコンピテントではありません (ただしpGEM-T, pGEM-T Easyの両ベクターにはJM109またはDH5αが添付されているキットがあります)。また、F'エピソーム以外のプラスミドは含んでいません。プロメガでは、ご購入いただいたベクターの維持や増殖に適した大腸菌株を持っていない場合に備え、JM109を添付しています。プロメガから購入されたプラスミドを添付のJM109細胞にトランスフォームしたい場合、コンピテントセルの調製およびトランスフォーメーションの標準プロトコール(1)にしたがって、JM109細胞をコンピテントにしてください。そうする代わりに、プロメガで販売してる以下の2種類のJM109 Competent Cellsを利用することができます。形質転換効率: >107cfu/μg (カタログ番号L1001)、または>108cfu/μg (カタログ番号L2001)。コロニー形成単位(colony forming units; cfu)は、バクテリア細胞の測定のスタンダードユニットです。

プロメガより購入したプラスミドはJM109細胞で培養しなくてはいけないのか?
プロメガではほとんどのプラスミドをJM109細胞で維持しています、しかし、JM109のみを使う必要はありません。プロメガで販売しているほとんどのプラスミドは、DH5αやXL-1 Blueのような標準的な大腸菌株で増殖させることができます。例外として、DH5αで非常にゆっくりと成長するプロメガのpALTER-Ex1 VectorとpALTER-Ex2 Vector、そして既に製造中止になった製品ですが、JM109細胞の中で安定していないpCAT Vector(*)が挙げられます。製造中止であるpCAT Vectorを増殖したい場合には、大腸菌株HB101を使ってください。コンピテントセルを作るための方法を下記のところに紹介しています。
TM001(.pdf) Altered Sites II in vitro Mutagenesis System Technical Manual, TM001のセクション VIII Bの27ページ

参考文献:
1. Hanahan, D. (1985) In: DNA Cloning, Volume 1 , Glover, D. ed., IRL Press Ltd., London, UK. 
(eNotes - FAQ)

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 一般情報

制限・修飾システム

Q. バクテリアDNAの制限・修復システムが大腸菌内のDNAのクローニングおよび操作に与える影響は?

大腸菌の制限・修飾(R-M)システムは、バクテリオファージゲノムのような外来DNAによる侵略からバクテリアを保護するように進化しました。これらのR-Mシステムは、2つの大きなクラスに分けることができます。

1. R-Mシステムに対応する制限酵素によって識別される特異的な配列を修飾(メチル化)することによってバクテリアDNAを制限酵素(消化)から守るもの。

2. 外来の修飾されているDNAだけを切るもの。ホストDNAは修飾されていないため、このシステムの制限酵素消化から守られます。

最初のタイプには、タイプIとタイプII制限・修飾システムに例示されるような、典型的なR-Mシステムが含まれます。タイプIIには分子生物学で使われる典型的な制限酵素が含まれますが、外来のDNA配列を大腸菌にクローニングするために最も重要なシステムは、hsdR、hsdMおよびhsdS遺伝子によってコードされるタイプIシステムです。これらの3つすべての遺伝子により合成される産物は、特定の標的配列 (大腸菌K12株での5'-AAC[N6]GTGC-3') を切断、あるいはメチル化することができる複数のサブユニットからなる酵素を形成します(1,2)。標的配列の片側のみがメチル化されている場合 (ホスト染色体のDNA複製の間に起こるように片側だけがメチル化されている)、酵素はメチラーゼとして働き、配列を切断から守ります。その配列がいずれの鎖でもメチル化されていない場合、酵素は制限エンドヌクレアーゼとして働き、標的配列を切断します。一般に他の生物からのDNAはこの標的配列がメチル化されていないので、3つの遺伝子すべてが野生型の株に導入されると分解されます。hsdR遺伝子は、標的配列のエンドヌクレアーゼ切断だけのために必要とされるため(hsdMとhsdSがあれば標的配列のメチル化のために必要十分)、hsdRが変異した大腸菌株はいわゆる制限マイナス・修飾のプラスの表現型 (r-, m+) を持ちます。これは、この株が標的配列においてメチル化されていない外来のDNAをクローニングするために使えることを意味します。実際、このようなDNAをこの遺伝型の株(遺伝的背景)で増幅すると、標的配列はメチル化され、3つすべてのhsd遺伝子が野生型である株で増幅することができます。プロメガから入手できるこの表現型 (r-, m+) の菌株には、JM109(Glycerol Stock:カタログ番号 P9751、Competent Cells:カタログ番号L1001、L2001)、以下はグリセロールストックで、JM109(DE3)(*) (カタログ番号P9801)、KW251(カタログ番号T3571)、LE392(カタログ番号K9981)、NM538 (カタログ番号D1571) とNM539(カタログ番号D1581) があります。hsdMあるいはhsdS遺伝子における変異は制限・修飾マイナスの表現型 (r-, m-) をもたらします。この遺伝的背景で増幅されるDNAは、エンドヌクレアーゼによる切断を受けませんが、同様にメチル化もされません。つまり、このような株から単離されたプラスミドDNAは分解してしまうため、hsdR、hsdMおよびhsdSが野生型の株 (r+, m+) に導入することができません。このようなプラスミドを切断から守るためには、最初に制限マイナス・修飾プラスの株、例えばJM109を介さなければなりません。これが問題になる例はGeneEditor in vitro Site-Directed Mutagenesis System(*) (カタログ番号 Q9280) です。このシステムで使われるミスマッチ修復・欠損株 (BMH 71-18 mutS) は、hsdR、hsdMおよびhsdS遺伝子について野生型であるため、例えばHB101などのメチル化マイナス株で増幅されたどんなプラスミドDNAも分解されてしまいます。メチル化が野生型の株 (JM109とDH5aなど) で増幅されたプラスミドはこのような分解から守られます。異なる大腸菌株にプラスミドをトランスフォームする前には、トランスフォームする予定の株のhsdR、hsdMおよびhsdS遺伝子型と同様に、プラスミドが培養された株のこれらの遺伝子型を考慮することが重要です。

Dam (DNAアデニンメチル基転移酵素)と Dcm (DNAシトシンメチル基転移酵素) 修飾システムは特異的な認識配列中に位置しているアデニンとシトシン (Damでは5'-GATC-3'、Dcmでは5'-CCA/TGG-3' の2番目のシトシン) をメチル化します(3)。これら修飾の生物学的役割は、(例えばクラスI、R-Mシステムで見られるように) バクテリアの中でバクテリアの染色体DNAを対応する制限エンドヌクレアーゼから守るためであるとは思われません。しかし、これらの修飾は、分子生物学で使われるある特定の制限酵素がプラスミドDNA中の対応する標的配列を切断するのを阻止します。これは、制限酵素認識配列がメチル化配列を含むか、あるいはメチル化配列 (通常制限酵素認識配列中に位置しているメチル化されたアデニンあるいはシトシン) と部分的に一致する場合に起こります。例えば、制限酵素Xba Iは最後のアデニンがメチル化されているその認識配列 (5'-TCTAGA-3') を切断しません。特定のサイトを切断することができないとしたら、これは明かに問題です。しかし、dam、あるいは dcm あるいは両方の遺伝子が変異している株にプラスミドをトランスフォームすることによって、この問題は解決できます。

第2のタイプの制限・修飾システムは、ある特定の配列でメチル化されているDNA標的をエンドヌクレアーゼにより切断するものです(2)。大腸菌には、McrAとMcrBCと呼ばれる2つのメチル化シトシン制限システムがあります。さらに、Mrrと呼ばれるメチル化アデニン認識・制限システムもあります。これらのシステムのいずれもタイプI (hsdRMS遺伝子によってコードされる) であるDcm あるいはDamシステムによってメチル化されたDNAを切断しません。McrAとMcrBCシステムはいずれも、両方の鎖でメチル化されたDNAと同様に、片側だけがメチル化されたDNAも制限します。Sss I メチラーゼ(CGジヌクレオチドのシトシンをメチル化する)やHpa IIメチラーゼ(配列5'-CCGG-3' の2番目のシトシンをメチル化する) によってメチル化されたDNAは、McrAシステムによって制限されます(4,5)。McrBC システムはシークエンス(G/A)Cのシトシンにおいてメチル化されたDNAを切断します(6)。哺乳動物のDNAがCG配列でシトシンにおいてメチル化され、植物DNAでCNG配列がシトシンにおいてメチル化されている傾向があるため、クローニング実験の際には大腸菌で増幅されるゲノムDNA の収量を上げるためにこれらのシステムが変異した菌株を使うことをお薦めします。Mrr システムはアデニンにおいてメチル化されたDNAを切断し、同様にシトシンにおいてメチル化されたDNAも制限すると報告されています。しかし、これらのメチル化された塩基をこのシステムによって認識するための明白なコンセンサス配列がありません。McrAやMcrBシステムと同じように、植物や哺乳動物では通常これらのシステムによって識別され得るある程度のメチル化が含まれますので、他の生物からDNAのクローンを作るときには、Mrrシステムを変異させた菌株を考慮する必要があります。  (eNotes - FAQ)

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