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プロメガ製品 Q & A 【 in vitro 転写・翻訳 (E.coli S30) 】

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E. coli S30 Extract System

Q. プロメガのE. coli S30 Extract Systemはどのような製品ですか?また、複数の製品がありますが、それぞれどのような特徴がありますか?

Q. システムに付属しているコントロールベクターについて教えてください。

Q. E. coli S30 Extract Systemを用いた発現系では、鋳型DNAをどのように設計すればよいですか?

Q. E. coli S30 Extract Systemを用いた発現系では、目的とするタンパク質の発現をどのようにして確認すればよいですか?

Q. E. coli S30 Extract Systemを用いた発現系で、タンパク質の発現が確認できませんでした。

Q. E. coli S30 Extract Systemを用いた発現系では、翻訳反応に影響を及ぼすパラメーターとして何が挙げられますか?

Q. E. coli S30 Extract Systemを用いた系では、Non-RIによるタンパク質合成を行うことはできますか?

T7 Sample System

Q. T7 Sample Systemとは、どのような製品でしょうか?

Q. Non-RIで発現タンパク質を確認する方法はありますか?

[ 解 答 ]

E. coli S30 Extract System

Q. プロメガのE. coli S30 Extract Systemはどのような製品ですか?また、複数の製品がありますが、それぞれどのような特徴がありますか?

A. E. coli S30 Extract Systemは、大腸菌無細胞翻訳システムです。製品としては3種類あり、それぞれの特徴は表1のとおりです。

E. coli S30 System for Circular DNAは、転写・翻訳に必要な成分(S30 Extract)とアミノ酸ミックス以外のrNTPs、tRNA、ATP再生系システム、IPTGそして適切な塩濃度を含んでいるS30 Premixを使用します。in vitroで翻訳させるためには、鋳型にE. coliの strong promoterであるlac、tacなどのプロモーター配列が必要になります。

E. coli S30 System for Linear Templateは、E. coli S30 System for Circular DNAで使用するS30 Extractを修飾することで、直鎖DNAを鋳型にしたときでも転写・翻訳反応を行うことができます。また、RNAを鋳型にした翻訳反応のみにも使用できます。

E. coli T7 S30 System for Circular DNAは、E. coli S30 System for Circular DNAで使用するS30 Extractを修飾することでT7 promoterの配列をもつ環状DNAを鋳型としても使用できます。直鎖DNA、RNAは鋳型として使用できません。

<参考>

S30とは、supernatant-30,000g(30,000xgで遠心後に得られた上清液)の略です。

表1 E. coli S30 Extract Systemの比較

製品名 鋳型 プロモーター 収量* コントロール
ベクター
環状
DNA
直鎖状
DNA
RNA
E. coli S30 System for Circular DNA × × strong E. coli 100~250ng pBESTluc™ Vector Circular (1ug/uL)
E. coli S30 System for Linear Template strong E. coli 100~250ng pBESTluc™ Vector Linear (0.5ug/uL)
E. coli T7 S30 System for Circular DNA × × T7 プロモーター, strong E. coli 300ng PinPoint™ Control Vector DNA Circular (1ug/uL)

*:1回の反応量を50uLとして算出しています。

 

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Q. システムに付属しているコントロールベクターについて教えてください。

A. E. coli S30 System for Circular DNAE. coli S30 System for Linear Templateで使用するコントロールDNAは、pBESTluc™ Vectorです。E. coli T7 S30 System for Linear Templateで用いるpBESTluc™ VectorはXhoIで切断し、直鎖DNAにしています。これらのコントロールベクターを使用すると、転写・翻訳産物としてルシフェラーゼが合成できます。pBESTluc™ Vectorは、E. coli S30 Systemのコントロールとしてのみ使用するため、Vectorの配列情報は公開していません。

E. coli T7 S30 System for Circular DNAで使用するコントロールDNAは、PinPoint™ Conrol Vector です。コントロール反応では、クロラムフェニコール アセチルトランスフェラーゼ(CAT)が合成されます。

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Q. E. coli S30 Extract Systemを用いた発現系では、鋳型DNAをどのように設計すればよいですか?

A. 大腸菌で発現させるためのプロモーターとその下流に適切なRibosomal Binding Site (RBS)を含むように設計してください。大腸菌でよく発現する共通のプロモーターとしては、lacUV5、tac、λPL、lac、trpなどがあります。ベクターを用いて目的タンパクの遺伝子をクローニングする場合は、ベクター配列にある大腸菌発現プロモーターを確認してください。

表2 大腸菌発現プロモーターのコンセンサス配列

プロモーター -35 region -10 region
コンセンサス配列 (1) TTGACA TATAAT
lacUV5 (2) TTTACA TACAATG
tac (2) TTTACA TTTAATG
λPL(2) TTGACA ATAAT
lac (2) TTTACA TATGTT
trp (2) TTGACA TTAACTA

開始コドンから適切な間隔をあけて位置しているRBSは、E. coliの発現系で翻訳を開始させるために必要です。例えば、pF1A(K) T7 Flexi® Vector(C8441、C8451)のRBSは、Shine-Dalgarno(SD)配列の「AGGAG」(3)を用いています。

E. coli T7 S30 System for Circular DNAを使用し、T7 promoterの配列を介した転写反応を実施する場合は、例として、以下のとおりに鋳型DNAの配列設計してください。

<参考>

大腸菌発現ベクターとして販売されている、PinPointTM Xa-1 Vector(V2031)のtacプロモーター領域から開始コドンの間の配列を示します。

参考文献

(1)Nucleic Acids Res., 17, 2933?2945, 1989
(2)JBC., 260, 3539-3541,1985
(3) Nature 254, 34, 1975


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Q. E. coli S30 Extract Systemを用いた発現系では、目的とするタンパク質の発現をどのようにして確認すればよいですか?

A. プロメガではRI標識またはウエスタンブロットによる発現確認を推奨しています。SDS-PAGE後のCBB®染色は、大腸菌由来のタンパク質のバックグランドのバンドも出現するため推奨していません。 サンプルで発現が確認できなかった場合は、システムに付属のコントロールDNAを用いた転写・翻訳反応により発現を確認してください。

 

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Q. E. coli S30 Extract Systemを用いた発現系で、タンパク質の発現が確認できませんでした。

A. 付属のコントロールベクターを用いて発現の確認を行ってください。
E. coli S30 Systemでは、キットに付属のLuciferase Assay ReagentとLuciferase Dilution Reagentをお使いください。ルミノメーター、シンチレーションカウンターを所有していない場合は、Anti-Luciferase pAb(G7451)を用いてウエスタンブロットを実施することができます。ルシフェラーゼタンパク質は61kDa付近にバンドが出現します。

E. coli T7 S30 System for Circular DNAで使用するコントロールベクターのタンパク質発現の確認は、抗CAT抗体によるウエスタンブロッティングを実施してください。20kDa (単量体)付近にバンドが出現します。

なお、E. coli S30 System用として、β-ガラクトシダーゼが発現するpGEMβ-Gal Control DNA (L4731)が販売されています。

 

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Q. E. coli S30 Extract Systemを用いた発現系では、翻訳反応に影響を及ぼすパラメーターとして何が挙げられますか?

A. E. coli S30 Extract Systemでの翻訳反応に影響を及ぼすパラメーターを表3にまとめました。

表3 E. coli S30 Systemの翻訳反応に影響を受けるパラメーター

パラメーター 濃度範囲 備考
Mg2+ 0-2 mM S30反応系では、最重要パラメーターです。
K+ 0-100 mM  
NH4+ 0-10 mM 濃度が50mM以上になった場合は反応阻害が生じるかもしれません。
glycerol 2%以下 2%以上では、翻訳活性は低下します。
Pharge Polymerase(SP6 polymeraseなど) 滴定により最適な濃度を決定する 1反応あたり、1µL以上添加しないようにしてください。ポリメラーゼに含まれるグリセロールが翻訳反応を阻害することがあります。

<参考>

E. coli S30 Systemを用いた翻訳反応で目的とするサイズのタンパク質が得られなかった場合は、以下の点を確認してください。

  • SDS-PAGEにより目的タンパク質の分解産物が確認されたときは、どの時期からタンパク質の分解が起きているかを調べ、インキュベーションの時間を検討する必要があります。
  • [35S]MetのRI標識を用いて、アミノ酸配列にメチオニンを含む高分子量のタンパク質を合成する場合は、[35S]Metが早い割合で消費されるため、翻訳反応途中のタンパク質産物を得ることが予想されます。
  • 通常の反応条件は37℃で1~2時間ですが、25℃で2~6時間反応させることにより、翻訳量を増加させることができます。
  • 内在性タンパク質による目的タンパク質のコーディング領域内での切断が認められたときは、目的タンパク質の開裂した複数のバンドを特定することにより、発現を確認してください。

 

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Q. E. coli S30 Extract Systemを用いた系では、Non-RIによるタンパク質合成を行うことはできますか?

A. E. coli S30 Extract Systemでは、コンプリートのアミノ酸ミックスを添加してNon-RIによる翻訳反応も可能です。プロメガでは、Transcend™ Non-Radioactive Translation Detection Systems(L5070など)を用いて蛍光標識またはビオチン標識することができます。同じ原理のFluoroTect™ GreenLys in vitro Translation Labeling System(L5001)でも応用できると考えられます。

 

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T7 Sample System

Q. T7 Sample Systemとは、どのような製品でしょうか?

A. T7 Sample Systemは、プロメガで販売されている4種類のT7プロモーターによる転写・翻訳システムをセットにした製品です。鋳型DNAから異なる発現システムを用いて、比較検討することができます。表4にT7 Sample Systemの構成品を示します。なお、このシステムにはコンプリートアミノ酸ミックス(1mM)、マイナスメチオニン(1mM)、メチオニン(1mM)が付属しています。また、コントロールベクターとしてLuciferase T7 Control DNAが付属しています。

表4 T7 Sample Systemに含まれる構成品

構成品 反応に
使用する
ライセート
反応
Buffer
アミノ酸
ミックス
使用する鋳型DNA
環状
DNA
PCR
産物
直鎖状
DNA
TNT® T7 PCR Quick Master Mix RRL
(Minus Met)
+ +++ +++
TNT® T7 Quick Master Mix RRL
(Minus Met)
+++ + +
TNT® What Germ Extract WGE + ++ +++
TNT® T7 Wheat Germ Polymerase
TNT® Reaction Buffer
T7/S30 Extract for Circular DNA E. coli S30 +++ + +
S30 Premix without Amino Acids

+++:推奨、++:許容、+:可能

 

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Q. Non-RIで発現タンパク質を確認する方法はありますか?

A. FluoroTect™ GreenLys in vitro Translation Labeling System(L5001)または、Transcend™ Non-Radioactive Translation Detection Systems(L5061など)を用いることができます。この場合は、反応溶液にコンプリートのアミノ酸を添加してください。反応組成および反応条件を表5に示します。

表5  T7 Sample System とFluoroTect™を用いたNon-RIによる転写・翻訳反応

TNT® T7 Quick for PCR DNA TNT® T7 Quick Coupled RRL TNT® Coupled WGE E. coli S30 System for Circular
反応組成 添加量 反応組成 添加量 反応組成 添加量 反応組成 添加量
TNT® T7 PCR Quick Master Mix 40µL TNT® T7 Quick Master Mix 40µL TNT® What Germ Extract 25µL T7/S30 Extract for Circular DNA 20µL
        TNT® Reaction Buffer 2µL S30 Premix without Amino Acids 15µL
        TNT® T7 Wheat Germ Polymerase 1µL    
1mM Methionine 2µL 1mM Methionine 2µL 1mM Complete Amino Acid Mixture 1µL 1mM Complete Amino Acid Mixture 5µL
DNA Template 2.5~5µL DNA Template 2µL DNA Template 2µL DNA Template 2µL
Fluoro Tect™ tRNA 1~2µL Fluoro Tect™ tRNA 1~2µL Fluoro Tect™ tRNA 1-2µL Fluoro Tect™ tRNA 1-2µL
Final Volume (add water to) 50µL Final Volume(add water to) 50µL Final Volume(add water to) 50µL Final Volume(add water to) 50µL
30℃、60分間インキュベーション 30℃、60分間インキュベーション 30℃、60分間インキュベーション 37℃、60分間インキュベーション

 

 

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