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プロメガ製品 Q & A 【 細胞内シグナリング 】

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GloSensor™ cAMP Assay

Q. GloSensor™ cAMP Assayはどのようなアッセイですか?

Q. プラスミドが20Fと22Fの2種類ありますが、何が違いますか?

Q. 細胞内のcAMPの絶対量を測定することはできますか?

Q. GloSensor™ cAMPバイオセンサーを一過性に発現させてアッセイすることはできますか?

Q. デュアルルシフェラーゼアッセイのように内部標準コントロールが必要ですか?

Q. GloSensor™ cAMP Assayの測定機器や測定容器はどのようなものがお薦めですか?

Q. 顕微鏡で観察することはできますか?

Q. アッセイ温度は室温と37℃のどちらがよいのでしょうか?

Q. GloSensor™ cAMP Reagentを加えて2時間平衡化する操作はなぜ必要なのですか?

Q. どのような細胞種に使用できますか?

Q. 哺乳動物細胞以外の生物種にも使えますか?

Q. cGMPを検出する恐れはないのですか?

Q. 同じサンプルなのに実験日ごとの発光値のばらつきが大きいのですが、何が問題でしょうか?

Q. 細胞の種類を変えたら発光値やForskolinに対する応答性が大きく異なりました。なぜですか?

Q. 発光値を上げることはできますか?

Q. マニュアルのデータは、刺激してから15~30分後に発光値を測定していますが、このタイミングでは発光ピークを過ぎているのではありませんか?発光ピークを過ぎてから測定するのはなぜですか?

Q. Gi共役型受容体のアッセイを行う場合、Forskolinを添加する必要はありますか?またForskolinを添加した場合としない場合でEC50が異なることはありますか?

Q. ホスホジエステラーゼ阻害剤を添加する必要はありますか?

Q. GloSensor™ cAMP バイオセンサーの発現量を確認する方法はありますか?

Q. ルシフェラーゼ発光にはルシフェリン以外にもATPやMg2+が必要ですが、これらは細胞内にあるもので十分なのですか?ライブセルアッセイでこれらが律速になってしまう可能性はありますか?

Q. cAMP結合部位に改変を加え、cAMP以外のものの細胞内測定に使用することは可能ですか?

Q. 細胞を溶解してアッセイすることや、細胞外に放出されたcAMPの検出に使えますか?

[ 解 答 ]

GloSensor™ cAMP Assay

                    

Q. GloSensor™ cAMP Assayはどのようなアッセイですか?

A. GloSensor™ cAMPP Assayは、GloSensor™ cAMPバイオセンサーを細胞に発現させ、生細胞内cAMPレベルの変動を測定する新しいアッセイです。GloSensor™ cAMPバイオセンサーは、ホタルルシフェラーゼの内部にcAMP結合ドメインを挿入した改変型ルシフェラーゼであり、cAMP結合ドメインにcAMPが結合すると構造が変化してルシフェリンと反応し、発光量が増加します (図1参照)。

GloSensor cAMPP バイオセンサー
図1 GloSensor™ cAMPP バイオセンサー

この発光量の変化は可逆的であり、図2のように時間経過またはアンタゴニスト処理などによるcAMP濃度の低下に伴って速やかに発光値が減少します。詳しくは参考文献(1)をご覧ください。

可逆的なcAMP変化の検出
図2 可逆的なcAMP変化の検出

GloSensor™ cAMPバイオセンサーをHEK293細胞に一過性に発現させ、37℃で10 µM Isoproterenol (ISO)、または10 µM Forskolin (FSK)で内在性β2アドレナリン受容体を刺激した。「MOD」サンプルは10 µM Isoproterenol刺激後さらに10 µM Propranolol (PRO)、10 µM FSKで連続して刺激した(n=3)。

参考文献:1. Fan, F. et al. (2008) ACS Chem. Biol. 3, 346-51.

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Q. プラスミドがpGloSensor™-20FとpGloSensor™-22Fの2種類ありますが、何が違いますか?

A. 20Fと22FはcAMPとの結合親和性が異なります。22FはcAMPとの親和性が20Fより低く、このため室温ではシグナル/バックグラウンド比(S/B比)が大きくなり、また高濃度cAMPでもシグナルが飽和しません(図3)。 このため、22Fは室温でのGsおよびGi共役型受容体のアッセイに推奨します。 一方20Fは室温ではバックグラウンドが高いため、Forskolinを使わないGi共役型受容体アゴニストアッセイに使用できます。また37℃では22Fのシグナルが大幅に低下するため、20Fを推奨します。 詳細は製品マニュアル をご参照ください。

pGloSensor™-20Fと22Fの比較
図3 pGloSensor™-20Fと22Fの比較

pGloSensor™-20Fと22Fを無細胞発現系で発現させ、各濃度のcAMPと反応させた。22Fはシグナル/バックグラウンド比(パネルA)とEC50(パネルB)がともに高いが、低濃度cAMPでのシグナル増加率(パネルA)は同様に段階的増加を示す。シグナル増加率(パネルA)はcAMPを含まないサンプルに対する相対値で示した。

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Q. 細胞内のcAMPの絶対量を測定することはできますか?

A. GloSensor™ cAMP Assayは細胞内の相対的なcAMP量変化を測定することはできますが、絶対量(濃度)を測定することはできません。

 

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Q. GloSensor™ cAMPバイオセンサーを一過性に発現させてアッセイすることはできますか?

A. 可能です。プロトコールも用意しています。 製品マニュアル をご参照ください。ただし、遺伝子導入効率が低い細胞を用いる場合には、安定発現細胞株を作成することをお薦めします。

      

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Q. デュアルルシフェラーゼアッセイのように内部標準コントロールが必要ですか?

A. 必要ありません。GloSensor™ cAMP Assayでは、薬物などで刺激する前の発光値に対して刺激後のシグナル誘導倍率を計算するため、別の内部標準コントロールや細胞数による補正は不要です。

      

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Q. GloSensor™ cAMP Assayの測定機器や測定容器はどのようなものがお薦めですか?

A. 発光値の測定にはルミノメーターを使用してください。マルチウェルプレートタイプ、シングルチューブタイプの両方が使用できます。測定プレートは、白色プレートをお使いください。詳細はこちらをご覧下さい。

 

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Q. 顕微鏡で観察することはできますか?

A. 高感度の発光顕微鏡 (オリンパス(株)、LuminoView (LV200) など)で観察することが可能です。ルシフェラーゼ発光は微弱であるため、一般的な蛍光顕微鏡や共焦点レーザー顕微鏡では観察できません。

 

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Q. アッセイ温度は室温と37℃のどちらがよいのでしょうか?

A. マニュアルでは室温を推奨しています。スクリーニングやEC50・IC50の測定など、刺激に対する反応強度を調べる場合は室温で十分にアッセイ可能です。
より生体内の状況に近い形でのアッセイが必要な場合は37℃でアッセイを行うことも可能ですが、室温と37℃ではcAMP量変化のキネティクスが異なるので注意が必要です。37℃など、アッセイ温度が高くなるにつれて室温での反応よりも、①発光ピークが早く、その後の発光量減少幅も大きくなる、②シグナル誘導倍率が高くなる、③発光値が低くなる、という違いがあります。
また37℃でアッセイを行う場合はGloSensor™ cAMP Reagentでの平衡化ステップも37℃で行う必要があります。もし室温で平衡化してしまった場合は、サンプルを37℃でインキュベートし、発光値が安定するまで待って下さい。

 

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Q. GloSensor™ cAMP Reagentを加えて2時間平衡化する操作はなぜ必要なのですか?

A. サンプルを刺激する前に、培地中と細胞内のGloSensor™ cAMP Reagentを平衡化し、発光値を安定化させることが必要です。GloSensor™ cAMP Reagentは発光基質であるD-luciferinであり、細胞膜透過性なので培地に添加して2時間ほど置くと平衡化します。
このステップはサンプルを刺激し、発光値を測定するステップと同じ温度で行うことが重要です。

 

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Q. どのような細胞種に使用できますか?

A. プロメガで確認しているのはHEK293細胞、HeLa細胞、U2OS細胞、CHO細胞およびNIH3T3細胞です。原理的に他の哺乳動物細胞株でも十分にアッセイ可能と考えられますが、異なる細胞株では、Forskolinなどの刺激に対する発光量やシグナル誘導倍率が大きく異なることがあります。詳しくはこちらをご覧下さい。

 

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Q. 哺乳動物細胞以外の生物種にも使えますか?

A. プロメガでは、現在までに哺乳動物細胞以外で使用した事例はありません。
論文実績では、ショウジョウバエ(S2およびBg2-c2細胞)での使用事例(参考文献2)があります。 他の生物種で原理的には十分可能と考えられますが、使用する生物種で活性のあるGloSensor™ cAMPバイオセンサーが発現できるかどうか、確認する必要があります。

参考文献:2. Kucerova, L. et al. (2012) J. Neurochem. 121, 383–395.

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Q. cGMPを検出する恐れはないのですか?

A. GloSensor™ cAMPバイオセンサーのcGMPに対する反応性は、cAMPの100分の一以下であるため、cAMPに選択的であると言えます。細胞内cGMP濃度は< 5μMといわれており(参考文献3)、図4に示されているようにin vitroで発現させたGloSensor™ cAMPバイオセンサーは、10μM以下のcGMPでは活性化されないため、通常細胞内に存在するレベルのcGMPとは反応しません。ただし、薬物などの刺激により、細胞内cGMP濃度が非常に高くなった場合は、GloSensor™ cAMPバイオセンサーはcGMPを検出することがあります。

GloSensor cAMPバイオセンサーの用量反応曲線
図4  GloSensor™ cAMPバイオセンサーの用量反応曲線

無細胞発現システムで発現させたGloSensor™ cAMPバイオセンサーおよびcAMP結合ドメインに変異を導入した 変異体 (Y399A, R361K)のcAMP用量反応性、およびGloSensor™ cAMPバイオセンサーのcGMPに対する用量反応性を検討した。

参考文献:3. Karpen, JW. et al. (1988) Proc Natl Acad Sci U S A. 85(4):1287-91

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Q. 同じサンプルなのに実験日ごとの発光値のばらつきが大きいのですが、何が問題でしょうか?

A. 発光値そのものは細胞の状態や微妙なアッセイ温度の違いによってばらつく可能性があります。特に一過性にGloSensor™ cAMPバイオセンサーを発現させている場合は、トランスフェクション効率の違いによって大きく発光値がばらつきます。
そのため、発光値そのものではなく、シグナル誘導倍率 (刺激後の発光値 / 刺激前の発光値)でデータを比較・解析して下さい。

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Q. 細胞の種類を変えたら発光値やForskolinに対する応答性が大きく異なりました。なぜですか?

A. プロメガで検討した結果から、CHO細胞ではHEK293細胞よりも発光値やシグナル誘導倍率が低いことが分かっています。これはGloSensor™ cAMP Reagentを平衡化した時の細胞内濃度が異なることや、GloSensor™ cAMPバイオセンサーの発現量の違いなどが原因と考えられています。
GloSensor™ cAMP Reagentを推奨濃度よりも高い濃度で使用することで、発光値やシグナル誘導倍率が増加することが分かっています。CHO細胞では推奨濃度の3倍である6% (w/v) で発光値およびシグナル誘導倍率の改善が見られました。他の細胞株でもGloSensor™ cAMP Reagentの濃度を増加させることで同じように改善が見られると考えられます。

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Q. 発光値を上げることはできますか?

A. GloSensor™ cAMP Reagent (D-luciferin)の濃度を推奨濃度より高くすれば発光値が増加します。また一過性にGloSensor™ cAMPバイオセンサーを発現させている場合は、トランスフェクション効率を改善することで発光値も増加します。

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Q. マニュアルのデータは、刺激してから15~30分後に発光値を測定していますが、このタイミングでは発光ピークを過ぎているのではありませんか?発光ピークを過ぎてから測定するのはなぜですか?

A. 発光ピーク付近は発光値の変動が大きく、測定時間のずれによる誤差が大きくなります。一般的にGPCRのシグナル解析において、室温では刺激後15分~30分で発光値が安定し、その後数十分間安定した発光値が得られます。このように発光値が安定してから測定することで、測定誤差を最小限に抑えることができます (図5)。

室温でのシグナル安定性
図5 室温でのシグナル安定性

GloSensor™ cAMPバイオセンサーを安定に発現させたHEK293細胞の内在性β2アドレナリン受容体を、アゴニストのMetaproterenolおよびIsoproterenolで刺激し、15, 30, 60分後に発光を測定した。

 

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Q. Gi共役型受容体のアッセイを行う場合、Forskolinを添加する必要はありますか?またForskolinを添加した場合としない場合でEC50が異なることはありますか?

A. GloSensor™ cAMP Assayは高感度なため、Forskolinの前処理なしでもGi共役型受容体の応答を検出することが可能です。プロメガでは、多くのGi共役型受容体において、Forskolin処理なしでの応答の検出に成功しています。 またForskolinで前処理することによって変化倍率を増幅することも可能です。Forskolin処理してアッセイする場合はpGloSensor™-22Fをお薦めします。pGloSensor™-20Fを使用するとシグナル誘導倍率が低下したり、実際の値と異なるEC50やIC50が算出されるといった問題が起こる可能性があります。これはForskolin処理によって細胞内cAMP濃度がGloSensor™ cAMPバイオセンサーの測定範囲を超えることが原因と考えられます。
このことについてはこちらも合わせてご覧ください。

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Q. ホスホジエステラーゼ阻害剤を添加する必要はありますか?

A. 標準プロトコールでは必要ありません。ホスホジエステラーゼ阻害剤を添加すると応答パターンが変化する、EC50やIC50が変動する、などの影響があるため、特にキネティクスを測定する場合や詳細な解析を行う場合はお薦めしません。
ただし、HTSなど、とりあえず刺激に対する応答があるかないかだけを確認したい場合や、刺激に対する応答が弱くシグナルを増幅する必要がある場合などは、ホスホジエステラーゼ阻害剤 (IBMXなど) を使うことで発光量や発光安定性を増加させることができます。詳細はお問い合わせください。

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Q. GloSensor™ cAMP バイオセンサーの発現量を確認する方法はありますか?

A. GloSensor™ cAMP Reagentを添加し、発光が見られるかどうかで確認してください。現在のところGloSensor™ cAMPバイオセンサーを検出できる抗体はないため、ウェスタンブロッティングによる発現確認はできません。
またGloSensor™ cAMPバイオセンサーにタグタンパク質などを付加することは、遺伝子の改変に当たるため、ライセンス契約の必要があります。詳細はお問い合わせください。

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Q. ルシフェラーゼ発光にはルシフェリン以外にもATPやMg²+が必要ですが、これらは細胞内にあるもので十分なのですか?ライブセルアッセイでこれらが律速になってしまう可能性はありますか?

A. ATPやMg²+は細胞内にあるもので十分です。正常の状態の細胞内にATPは十分にあるために、ATPやMg2+の量が律速になることはありません。

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Q. cAMP結合部位に改変を加え、cAMP以外のものの細胞内測定に使用することは可能ですか?

A. 原理的には可能ですが、遺伝子の改変に当たるため、ライセンス契約の必要があります。また十分なアッセイ感度を有する新たなバイオセンサーを作成するためには、使用する標的分子結合ドメインなどの選定を含む膨大な項目について検討する必要があるため、お薦めしません。

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Q. 細胞を溶解してアッセイすることや、細胞外に放出されたcAMPの検出に使えますか?

A. 原理的に不可能ではないと考えられますが、生細胞以外でのアッセイについては検討しておりません。

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