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プロメガ製品 Q & A 【 キナーゼ アッセイ 】

| Kinase-Glo® Luminescent Kinase Assays |

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Kinase-Glo® Luminescent Kinase Assays

Q. 測定原理を教えてください。

Q. 今までのキナーゼアッセイと比較してどのような特徴がありますか?

Q. Kinase-Glo® 、Kinase-Glo® Plus、Kinase-Glo® Maxの違いを教えてください。

Q. ATP濃度とRLU値の相関性を調べるためにはどうすればよいですか?

Q. Kinase-Glo® で測定できるキナーゼにはどのようなものがありますか?

Q. 同じサンプルでアッセイを行った場合でも測定値がばらついてしまいます。どのような点に気をつければよいのでしょうか?

Q. Kinase-Glo® 試薬を添加する前に、キナーゼ反応を停止しておく必要はありますか?

Q. IC50の算出方法を教えてください。

Q. 384 well plateを使用したHigh Throughput Screeningは可能ですか?

Q. 培養細胞抽出液中のキナーゼ活性を測定できますか?

Q. Kinase Detection Bufferに溶け残りがある場合にはどうしたらよいでしょうか?

[ 解 答 ]

Kinase-Glo® Luminescent Kinase Assays

Q. 測定原理を教えてください。

A. Kinase-Glo® Luminescent Kinase Assayは、以下の原理に基づいています。
キナーゼ(精製酵素)とそれに対する基質を用意し、反応を行います(図1 [1])。キナーゼの反応ではATPがADPに変換されますが、このKinase-Glo® を用いたアッセイは、このキナーゼ反応で消費されなかったATP量をルシフェラーゼの発光量(RLU値)として測定します注)(図1 [2])。キナーゼ反応が十分に進行しなかった場合は、ATPが残存するため、RLU値は高くなります。逆に、キナーゼ反応が十分に進行した場合は、ATP量が減少し、RLU値は低くなります。

図1 キナーゼ反応およびルシフェラーゼ反応

注) 測定は、ルミノメーター(発光測定装置)を使用します。

 

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Q. 今までのキナーゼアッセイと比較してどのような特徴がありますか?

A. 今までのキナーゼアッセイは、標識化合物や放射性化合物を使用するために、操作ステップが多くなり、High Throughput Screening(HTS)には不向きでした。Kinase-Glo® は、ATP量を発光法で検出するため、簡単に、しかも安全にアッセイすることができます。また多検体処理にも十分対応可能で、マルチウエルプレートでのアッセイを迅速に行うことができます。

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Q. Kinase-Glo® 、KiGlonase-® Plus、Kinase-Glo® Maxの違いを教えてください。

A. Kinase-Glo® は10µM ATPまで、Kinase-Glo® Plusは100µM ATPまで、そしてKinase-Glo® Maxは500µM ATPまでの直線性を有します(図2参照)。Kinase-Glo® PlusとKinase-Glo® MaxはATPに対して高いKm値を有するキナーゼの測定やATP結合サイトで競合しないキナーゼ阻害剤のスクリーニングなどに適しています。

一方、測定範囲内ではKinase-Glo® PlusよりKinase-Glo® 、Kinase-Glo® MaxよりKinase-Glo® Plusの方が高い発光値を得られます。この差は特にKinase-Glo® PlusとKinase-Glo® Maxで顕著なため、100µM ATPまででアッセイする場合はKinase-Glo® Plusをお薦めします。

図2 Kinase-Glo® 、Kinase-Glo® Plus、Kinase-Glo® MaxのATP濃度とRLU値の相関性

50μl kinase reaction buffer (40mM Tris [pH 7.5], 20mM MgCl2, 0.1 mg/ml BSA)にrATPを希釈し、 Kinase-Glo® (A) 、Kinase-Glo® Plus (B) もしくはKinase-Glo® Max(C) 試薬を添加10分後にルミノメーターで測定

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Q. ATP濃度とRLU値の相関性を調べるためにはどうすればよいですか?

A. rATP (Cat# P1132, 0.5mL, 10mM) を0.001μM~10μMの範囲となるように、ATPase Free のキナーゼbufferで希釈します。このATP溶液50μLとKinase-Glo® 試薬を50μL加えて25℃、10分間反応後、Luciferaseの発光量をルミノメーターで測定してください。図3にATP濃度とRLU値の相関性を示します。

図3 ATP濃度とRLU値の相関性

50μl kinase reaction buffer (40mM Tris [pH 7.5], 20mM MgCl2, 0.1 mg/ml BSA) にrATPを希釈し、Kinase-Glo® 試薬を添加10分後にルミノメーターで測定

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Q. Kinase-Glo® で測定できるキナーゼにはどのようなものがありますか?

A. Kinase-Glo® はキナーゼ反応後の反応溶液中のATP量を測定しますので、どのタイプのキナーゼにも使用できます。弊社で実施したキナーゼの反応条件を表1に示します。

表1 キナーゼの反応条件

Kinase Substrate ATP Reaction Buffer Kinase Rxn
Time/Temp.
EC50
PKA
(V5161)
Kemptide (V5601) 5μM 1μM 40mM Tris [pH 7.5], 20mM MgCl2, 0.1mg/mL BSA 20min., room temp. 0.15 units/well
PKC
(V5261)
Neurogranin (28-43) (V5611) 10μM 1μM 20mM Tris [pH 7.5], 10mM MgCl2, 0.1mg/mL BSA, 250uM EGTA, 400uM CaCl2, 0.32mg/mL phosphatidylserine, 0.032mg/mL diacylglycerol 90min., room temp. 7.9ng/well
Lck
(Upstate, #14-442)
PTK peptide 2 substrate (V288A) 250μM 3μM 8mM imidazole hydrochloride [pH 7.3], 8mM beta-glycerophosphate, 200uM EGTA, 20mM MgCl2, 1mM MnCl2, 0.1mg/mL BSA 60min., room temp. 4.3 m units/well
Erk-2 66μM MBP (bovine myelin basic protein, Upstate, #13-104) 100nM 40mM Tris-HCl [pH 7.5], 0.1 mg/mL BSA, 20mM MgCl2 120min., room temp. 49ng/well
PI 3-kinase (pp110Y) 0.5mg/ml L-α-phosphatidylinositol (Sigma # P8443) 500nM 10mM Tris-HCl [pH 7.5], 50mM NaCl, 5mM MgCl2 90min., room temp. 70ng/well

 

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Q. 同じサンプルでアッセイを行った場合でも測定値がばらついてしまいます。どのような点に気をつければよいのでしょうか?

A. 測定値のばらつきには、以下の点に注意してください。

(1)反応温度の確認
→Kinase-Glo® のRLU値はキナーゼ反応液中のATPとシステムに付属するLuciferaseの酵素反応により算出されます。この反応は室温(25℃)で最適化されています。キナーゼ反応後のPlateを25℃のインキュベーター内で静置し、サンプルの温度が25℃になっていることを確認してからKinase-Glo® 試薬を添加してください。また、Kinase-Glo® 試薬自身の温度も25℃であることを確認してください。

(2)サンプル内にATPaseが含まれている
→使用する試薬などは、ATPase Freeのものをご使用ください。また手袋を着用し、クリーンベンチ内で操作を行うなどをして、ATPaseがサンプル内に混入するのを防ぐようにしてください。

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Q. Kinase-Glo® 試薬を添加する前に、キナーゼ反応を停止しておく必要はありますか?

A. Kinase-Glo® 試薬を添加すると、キナーゼ反応は、直ちに停止します。従って、キナーゼ反応を停止させる必要はありません。また、Kinase-Glo® 試薬には、複数の界面活性剤が存在しているため、サンプル内のATPaseによるATPの分解はほとんど見られません。

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Q. IC50の算出方法を教えてください。

A. IC50値の測定方法として、プロメガでの実施例を以下に紹介します。
PKA (Cat.# V5161) と5μM Kemptide substrate (Cat.# V5601) を50μL のkinase reaction buffer (40mM Tris [pH 7.5],20mM MgCl2, 0.1mg/mL BSA) で希釈し、ATP濃度を1μMに固定します。キナーゼ反応は、20分間、室温で実施しました。さらに、キナーゼ反応液中に阻害剤 (H-8またはH-9) を添加しました。

阻害剤(H-8または、H-9)の濃度を変化させたときのRLU値のプロットを図4に示します。IC50値は、RLU値の中間値の対数値濃度から算出します。曲線近似は、GraphPad Prism®シグモイド用量反応曲線(可変勾配) 用ソフトウェアを用いて行いました。

図4 Aは、阻害剤としてH-8を使用した場合のグラフです。プロットから、Log10IC50=0.56より、IC50=3.7μMとなります。図4 Bは、阻害剤としてH-9を使用したときのもので、Log10IC50=0.38、IC50=2.4μMとなります。論文(1)で報告されているIC50値は、H-8では、IC50=1.2μM、H-9ではIC50=1.9μMとなり、Kinase-Glo® を用いて算出した値はこれらに近い値を示しています。

図4 2種類のPKA阻害剤の滴定曲線から求めるIC50値の算出方法

IC50の決定については製品プロトコルの "Determining IC50 Values of Kinase Inhibitors" の項目もあわせてご参照ください。

参考文献(1):
Hidaka, H., Watanabe, M. and Kobayashi, K. (1991) Properties and use of Hseriescompounds as protein kinase inhibitors. Methods in Enzymology, 201,328-339.

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Q. 384 well plateを使用したHigh Throughput Screeningは可能ですか?

A. 可能です。プロメガの技術資料として、LV (low volume) 384well plate, 1536 well plateを用いたキナーゼ阻害剤のスクリーニングを実施した例があります。96 well plateの一般的な反応組成の比較は、表2をご参照ください。

表2 LV384 well plateと1536 well plateを使用したときの反応組成およびアッセイ操作方法

  96 well LV384 well 1536 well
反応組成 (total volume) 100 μL 10 μL 6 μL 3 μL 8μL 5μL 2μL
1. テスト化合物 5.0 μL 500 nL 300 nL 150 nL 400 nL 250 nL 100 nL
2. PKA 20 μL 2 μL 1.2 μL 600 nL 1.6 μL 1.0 μL 400 nL
3. Kemptide Substrate 25 μL 2.5 μL 1.5 μL 2.0 μL 750 nL 1.25 μL 500 nL
4. 20分間室温でインキュベート  
5. Kinase-Glo® 試薬を添加 50 μL 5.0 μL 3.0 μL 1.5μL 4.0 μL 2.5 μL 1.0 μL
6. 20分間室温でインキュベート  
7. 発光量を測定  

なお、The library of pharmacologically active compounds (LOPAC) の6種類のテスト化合物をスクリーニングした結果は、以下のURLをご参照ください。
(CELL NOTES ISSUE, 10, 2004, 20-23: http://www.promega.com/cnotes/cn010/cn010_20.pdf

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Q. 培養細胞抽出液中のキナーゼ活性を測定できますか?

A. 培養細胞に存在するキナーゼの活性をKinase-Glo® で測定することも可能です。ただし、細胞には多種類のキナーゼが含まれるため一般医バックグラウンドが高く、またATP変化が標的キナーゼに由来するかどうか慎重に検討する必要があります。
実施事例としてU937細胞に含まれるPKC(Protein Kinase C)の活性をKinase-Gloを用いて測定した論文(3)があります。
標的キナーゼ活性の低いコントロールの細胞と標的キナーゼ活性の高いサンプルの細胞を使用して、キナーゼ反応後のATP量を比較しています。
論文中の細胞抽出方法は、以下のとおりです。

①U937 cells を1 x 107個となるように培養します。
②LPSを5μg/mLとなるように培地に添加し、37℃、4 時間インキュベートします。
③ 冷却したPBSで細胞を洗浄後、200 uLのkinase reaction buffer (40 mM Tris, pH 7.5, 20 mM MgCl2, 0.1 mg/mL BSA)を添加し、超音波で細胞を破砕します。
④ サンプルを50uLのPKC 反応buffer (20 mM Tris, pH 7.5, 10 mM MgCl2, 0.1 mg/mL BSA, 250 μM EGTA, 400 μM CaCl2, 0.32 mg/ml phosphatidylserine, 0.032 mg/mL diacylglycerol)で希釈し、10 μM のATP と100 μMの neurogranin(28-43) を添加し、90分間室温でインキュベートします。
⑤50μLのKinase-Glo® 試薬を添加し、10分間室温でインキュベートしたのち、ルミノメーターで測定します。

参考文献(3):
Roman J. et al., Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 287: 287-249(2004)

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Q.Kinase Detection Bufferに溶け残りがある場合にはどうしたらよいでしょうか?

A. Kinase Detection Bufferは製品の性質上、沈澱物が含まれることがあります。Bufferを37℃で振とうしながら15分間インキュベーションすることで溶け残りを減らすことができます。それでも溶け残りがある場合は、なるべく沈澱物が入らないように上清のみをKinase Detection Substrateと混ぜ合わせて下さい。マニュアルにも記載がありますが、測定パフォーマンスには影響ありません。また、若干Bufferがボトル中に残ってしまってもパフォーマンスに影響はありません。

 

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