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プロメガ製品 Q & A 【 qPCR& qRT-PCR (Plexor™) 】

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Plexor™ qPCR & qRT-PCR System

Q. Plexor™ システム(以下、Plexor™)の検出原理を教えてください。

Q. 他のquantitative PCR(以下、qPCR)製品とPlexor™ではどのような違いがありますか?

Q. Plexor™を使用する利点として、何が挙げられますか?

Q. Plexor™で使用できるリアルタイムPCRの装置を教えてください。

Q. Plexor™を使用するにあたり、システム以外で用意するものはありますか?

Q. Plexor™を使用するにあたり、注意する点などはありますか?

Q. データ解析はPlexor™ データ解析ソフトウェアを使用しなければならないのですか?なぜリアルタイムPCR装置のソフトウェアを使用できないのでしょうか?

Q. Plexor™ データ解析ソフトウェアは、PCR装置に付属のソフトウェアの代わりとなるのでしょうか?

Q. Plexor™でリアルタイムPCRを行う場合に、ほかのプライマー設計ソフトを使用できますか?

Plexor™ Primer Design

Q. Plexor™ Primer Designはどうやって使用するのですか?

Q. Plexor™ Primer Designでプライマー設計を試みましたが、結果が得られませんでした。どうすればよいですか?

Q. 遺伝子多型解析目的でPlexor™ Primer Designでプライマー設計を試みましたが、結果が得られませんでした。どうすればよいですか?

[ 解 答 ]

Plexor™ qPCR & qRT-PCR System

Q. Plexor™ システム(以下、Plexor™)の検出原理を教えてください。

A. Plexor™は、新しい定量PCR法です。この原理は、PCR反応のステップで、DNAと蛍光標識の5’-methyl Iso-dCTPプライマーがアニーリングしてcDNAと相補鎖のDNAが合成されます。続いて、次のPCRサイクルで、Taq DNA polymeraseの伸長反応により、消光物質のdabcyl-Iso-dGTPが3’末端に取り込まれてIso-dCTPと塩基対を形成すると、Iso-dCTPの蛍光が消光することを利用しています(図1)。

図1 Plexor™ System におけるPCR反応の概略図

Plexor™で得られる蛍光強度(RFU)は、PCRサイクル反応の初期では高く、目的のDNA配列が増幅されるにつれて、蛍光強度は低くなります。また、サンプルに含まれる鋳型の量が多いと、蛍光IsoCの消光までのサイクル数が少なく、サンプルに含まれる鋳型の量が少ないと、消光までに要するサイクル数が多くなります(図2、パネルA)。

これまで販売されている定量PCRシステムでは、目的のDNA配列が増幅されるにつれて、蛍光強度が大きくなるため(図2、パネルB)、Plexor で得られる実験結果とは、異なるグラフを得ることになります。

図2 PCRによるサイクル数と蛍光シグナル強度との相関

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Q. 他のquantitative PCR(以下、qPCR)製品とPlexor™ではどのような違いがありますか?

A. 他社で販売しているpPCR SystemとPlexor™の測定原理と特徴を表2にまとめました。Plexor™は、130塩基前後のPCR産物のTm値を測定することで、特異性を高くしています。また、検出原理が他のqPCR Systemと異なり、蛍光強度の減少により目的DNAの増幅を検出しています。

表2 Plexor™ Systemと他社製品との測定原理および特徴

製品名 測定原理 特徴
SYBR Green® インターカレーター*注) として、SYBR® Greenを用いている。Target DNAの増幅は、SYBR® Greenの蛍光量をシグナルとして検出する。非特異的に増幅したDNAの蛍光シグナルも読み取る可能性がある。
  • 反応あたりの試薬の価格が低い。
  • Tm値の測定が可能。
  • 特異性が低い。
  • マルチプレックスアッセイが不可能。
TaqMan® PCRで増幅させるPrimer Setとは別に、Target DNAの配列と相補的な配列をもつ蛍光オリゴマーをTaqMan® Probeとして用いる。Target DNAと相互作用しているTaqMan® ProbeがDNA polymeaseのエキソヌクレアーゼ活性により分解する。Target DNAの増幅は、遊離した蛍光物質のシグナルとして検出する。
  • 特異性が高い。
  • バックグランドが小さい。
  • マルチプレックスアッセイが困難。
  • Tm値の測定ができない。
Plexor™ 蛍光IsoCプライマーにより、cDNAの相補鎖DNAが合成される。次のPCRサイクルでIsoC標識DNAは、IsoCの消光物質であるIsoGとペアとなることで、蛍光特性を失う。Target DNAの増幅は、蛍光シグナルの減少で検出する。Tmを測定することで、Target DNAと非特異的な増幅によるDNAを区別することができる。
  • マルチプレックスが可能。
  • Tmの測定が可能。
  • ジェノタイピング(SNP)が可能。
  • 各メーカーで販売されているqPCRの装置が使用できる。
  • Tm値を測定できるため、特異性が高い。

*注):インターカレーターとは、DNA二重らせんの塩基対間に平行挿入(インターカレート)する化合物群の総称であり、代表的な物質としては臭化エチジウムなどがあります。

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Q. Plexor™を使用する利点として、何が挙げられますか?

A. Plexor™の利点は、各社で販売されているqPCRの装置が使用できます。また複数のプライマーペアを用いるマルチプレックスアッセイができます。さらに、増幅したDNAのTm値のデータから、PCR産物の特異性を確認することができます。

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Q. Plexor™で使用できるリアルタイムPCRの装置を教えてください。

A. Plexor™は、各メーカーで販売されているリアルタイムPCR 装置を用いることができます。Plexor™  データ解析ソフトウェアは、無償でダウンロードすることができます。現在のところ、Plexor™ データ解析ソフトウェアへデータを取り込むことのできる装置を表1としてまとめました。

表1 Plexor™ Systemが使用できる装置

会社 装置
Applied Biosystems ABI PRISM® 7000 sequence detection system
Applied Biosystems ABI PRISM® 7700 sequence detection system
Applied Biosystems Applied Biosystems 7900HT real-time PCR system
Applied Biosystems Applied Biosystems 7300 real time PCR system
Applied Biosystems Applied Biosystems 7500 real time PCR system
Roche LightCycler® 1.0 instrument
Roche LightCycler® 2.0 instrument
Bio-Rad Bio-Rad iCycler® thermal cycler
MJ Research DNA Engine Opticon® 2 fluorescence detection system
Cepheid SmartCycler® system
Stratagene Mx3000P® real-time PCR systems
Stratagene Mx3005P® real-time PCR system
Stratagene Mx4000® multiplex quantitative PCR system

 

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Q. Plexor™を使用するにあたり、システム以外で用意するものはありますか?

A. 以下に示すものが必要になります。

  • PCRで使用するプライマーペアとして、Iso-dCTPを含むものと未標識のプライマー
    Plexor™ プライマー設計ソフトウェアを使って、プライマーの設計とプライマー受託合成を行ってください。PCRの反応に使用するプライマーは、25x(5µM)の濃度となるようにMOPS/EDTA Buffer(Y5101)で希釈してください。Iso-dCTPプライマーは、試薬の安定性のため水で希釈できません。
    Plexor™システムで提供されている試薬は、2XMaster Mixとなっており、DNA polymerase、反応Buffer、dNTPの中にdabcyl-Iso-dGTPが含まれています。
  • スタンダードとして濃度が分かっているDNA(qRT-PCRの場合はRNA)
  • 定量PCR用装置
  • Plexor™ Data Analysis Software(無償ダウンロード)など

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Q. Plexor™を使用するにあたり、注意する点などはありますか?

A. 濃度の分かっている鋳型DNA (qRT-PCRの場合はRNA)は、スタンダードの作成にポジティブコントロールとして用います。また、鋳型を含まないサンプルをNo Template Control(NTC)として、必ず使用します。

Plexor™に付属している試薬は、2xMaster Mixとなっています。プライマーと鋳型DNAを添加し、20µLのスケールで反応を実施します。スタンダードは、システムに付属のコントロールを100~106コピー/5µL(qRT-PCRの場合は、コントロールRNAを100~108コピー/5µLで実施)となるように反応溶液に添加します。スタンダードは、トリプリケートで実施してください。

試薬の調製は、すべて氷上で実施してください。PCR用96 well plateやキュベットも全て氷上に置き、あらかじめ冷却してください。

PCRの反応はMOPS/EDTAでpHを最適化しています。Iso-dCTPプライマーは、試薬の安定性のため、水で希釈できません。

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Q. データ解析はPlexor™ データ解析ソフトウェアを使用しなければならないのですか?なぜリアルタイムPCR装置のソフトウェアを使用できないのでしょうか?

A. 一般的な定量PCRの解析方法は、目的のDNA配列が増幅されるにつれて蛍光強度が大きくなります。Plexor™の場合は、PCR反応で目的の遺伝子が増幅されるにつれて蛍光強度が小さくなるため、大部分のリアルタイムPCRの装置によるデータの解析ができないと考えられます。

Plexor™ データ解析ソフトウェアは、目的のDNAが確実に増幅したときの蛍光強度の低下をPCR増幅データから解析するために設計されています。また、Plexor™ データ解析ソフトウェアは、一般のPCR装置やリアルタイムPCRの装置から得られた測定データを取り込んで解析することができます。

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Q. Plexor™ データ解析ソフトウェアは、PCR装置に付属のソフトウェアの代わりとなるのでしょうか?

A. 代用できません。PCR装置に付属のソフトウェアは、リアルタイムPCRを行うために必要です。Plexor™ データ解析ソフトウェアは、PCRが完全に完了したあとのデータ解析のためだけに必要です。リアルタイムPCR装置によりPlexor™ Systemの試薬で得られた測定データをPlexor™ データ解析ソフトウェアに取り込んで、結果を解析します。

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Q. Plexor™でリアルタイムPCRを行う場合に、ほかのプライマー設計ソフトを使用できますか?

A. プロメガでは、Plexor™ プライマー設計ソフトウェアの使用を強く勧めます。Plexor™ プライマー設計ソフトウェアは、マルチプレックスPCRのためのプライマー設計に最適化しており、非特異的なアニーリングよるプライマーダイマーの形成を少なくするために、プライマー間の塩基配列の組み合わせに配慮しています。

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Plexor™ Primer Design

Q. Plexor™ Primer Designはどうやって使用するのですか?

A. Plexor™ Primer Designを使用するためには、ユーザー登録が必要です。ユーザー登録完了後は、登録いただいたメールアドレスに登録完了のお知らせとログイン名とパスワードが表示されます。以下のURLからログイン名とパスワードを入力すると、ログイン後の画面が表示され、プライマー設計の操作を進めることができます。
https://www.promega.com/techserv/tools/plexor/logon.aspx

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Q. Plexor™ Primer Designでプライマー設計を試みましたが、結果が得られませんでした。どうすればよいですか?

A. 結果として表示するプライマーの組み合わせの数(the number of solutions)の設定に原因があると考えられますが、以下に示すプライマー設計の条件設定を固定することで解決できます。

  1. 同時に2種類以上のターゲット配列からプライマー設計を試みていませんか?
    考えられる原因:
    プライマーやターゲット配列の間の相互作用
    解決策:
    それぞれのターゲット配列に対し、プライマー設計プログラムを実施してください。ターゲット配列に対するプライマーの配列が提案された場合、なるべく少ないターゲット数でのマルチプレックスのプライマー設計を実施してください。それでもプライマー設計の結果が得られない場合は、モノプレックスを実施するか、2.をご参照ください。
  2. 短いターゲット配列でプライマー設計を行っていませんか?
    考えられる原因:
    Plexor™ Primer Designで設計する場合、ターゲット配列はプライマーで設計できるための十分長い塩基配列が必要です(60塩基より長いターゲット配列を選択してください)。
    解決策:
    ターゲット配列の塩基配列を長く設定していただきたいと思います。1,000塩基程度あれば十分です。
    <参考>
    Plexor™ Primer Designでは、1000塩基のターゲット配列を設定したときに、Plexor™ Systemで増幅されるDNAの長さが150塩基前後となるようにPrimerを設計します。しかし、150塩基より短いターゲット配列の場合は、少なくとも60塩基以上となるように設定してください。60塩基の範囲内で最適なPrimerを設計します。
  3. ホモロジーの高いターゲット配列を複数選択していませんか?
    考えられる原因:
    Plexor™ Primer Designは、他のターゲット配列で擬陽性が生じないようにプログラムされています。ホモロジー(塩基配列相同性)が高い2つのターゲット配列を同じプロジェクトでプライマー設計したときに、クロスハイブリダイゼーションが生じてしまうため、プライマーの設計はリジェクト(拒否)されてしまいます。
    解決策:
    同じターゲット配列で、異なる領域を増幅したい場合は、増幅したい領域をそれぞれについて指定し、プライマーを設定してください。
  4. 増幅したい遺伝子配列のターゲット位置を特定していますか?
    考えられる原因:
    Plexor™ Primer Designは、ターゲット配列を含む150塩基の間でプライマーを設計します。
    解決策:
    異なる特定塩基を選択するか、Plexor™ Primer Designが働くように問題となるターゲット配列を除いて設計をください。
  5. ターゲット配列は、繰り返し配列を含んでいますか?
    考えられる原因:
    Plexor™ Primer Designは、入力した配列のうち、ターゲット以外の配列でクロスハイブリダイゼーションや擬陽性が起きないようにプログラムされています。ターゲットの配列が繰り返し配列であった場合、’false priming’(誤ったプライミング)が起こるため、プライマー設計(拒否)はリジェクトされます。
    解決策:
    繰り返し配列を含む箇所をプライミングに希望する場合は、1回の繰り返し配列の領域を用いてください。
    解決策:
    繰り返し配列を含む箇所をプライミングに希望しない場合は、シングルリピートのところでプライミングが起きるため、プライマー設計はできないでしょう。

不明な点がありましたら、テクニカルサービス部までお問い合わせください。

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Q. 遺伝子多型解析目的でPlexor™ Primer Designでプライマー設計を試みましたが、結果が得られませんでした。どうすればよいですか?

A. 遺伝子多型用のプロジェクト(ターゲットDNA配列の指定から、プライマー設計までの一連の操作のこと)で、結果が表示できなかった場合、解決策はありません。多型用のプライマーの場合は、厳密な制約の中でプライマーの設計しているため、これを解決することはとても難しいと考えられます。

多型に特異的なプライマーに対し、5’末端に任意の配列を付加するようプログラムされているため、プライマー設計で結果が得られなかったとしても、同じ条件で再度プログラムを設計したときには、場合によってはプライマーを見つけることができるかもしれません。同じ配列を入力して何度トライしても、同じプライマー配列の結果となってしまう場合も十分考えられます。

以下に示すプライマー設計のエラーに対しての解決策があります。

  1. 短いターゲット配列でプライマー設計を行っていませんか?
    考えられる原因:
    Plexor™ Primer Designで設計する場合、ターゲット配列はプライマーで設計できるための十分長い配列が必要です(SNPの場合は、40塩基より長いターゲット配列をそれぞれ入力してください)。
    解決策:
    ターゲット配列を長くしていただきたいと思います。SNPの場合は、50塩基程度あれば十分です。
  2. ターゲット配列は、繰り返し配列を含んでいますか?
    考えられる原因:
    Plexor™ Primer Designは、入力した配列のうち、ターゲット以外の配列でクロスハイブリダイゼーションや擬陽性が起きないようにプログラムされています。ターゲットの配列が繰り返し配列であった場合、’false priming’ (誤ったプライミング)が起こるため、プライマー設計はリジェクト(拒否)されます。
    解決策:
    繰り返し配列を含む箇所をプライミングに希望する場合は、1回の繰り返し配列の領域を用いてください。
    解決策:
    繰り返し配列を含む箇所をプライミングに希望しない場合は、シングルリピートのところでプライミングが起きるため、プライマー設計はできないでしょう。

不明な点がありましたら、テクニカルサービス部までお問い合わせください。

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