プロメガ製品 Q & A 【 大腸菌 】

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Single Step (KRX) Competent Cells

Q. Single Step (KRX) Competent Cellsはどのような特長をもつコンピテントセルですか?

Q. KRXは、大腸菌の何株由来ですか?

Q. KRXの遺伝子型を教えてください。

Q. KRXは、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(通称:カルタヘナ法)」に該当しますか?

Q. KRXのトランスフォーメーション効率はどのくらいですか?

Q. X-gal/IPTGを利用した青/白スクリーニングは可能ですか?

Q. クローニングとタンパク質発現におけるKRXの増殖速度について教えてください。

Q. タンパク質発現は、ラムノースプロモーターでどのように制御されていますか?

Q. ラムノースとは、どのような糖ですか?

Q. ラムノースの使用量について教えてください。

Q. KRXはどのようなタンパク質の発現に向いていますか?

Q. KRXと組み合わせて使用できるベクターを教えてください。

Q. KRXのトランスフォーメーション操作を簡単に教えてください

Q. KRXでタンパク質発現を行う方法を簡単に教えてください

[ 解 答 ]

Single Step (KRX) Competent Cells

Q. Single Step (KRX) Competent Cellsはどのような特長をもつコンピテントセルですか?

A. Single Step (KRX) Competent Cells(以下KRX)は、クローニングにおける目的遺伝子のトランスフォーメーションとその遺伝子がコードするタンパク質の発現を同じ株で行えるように遺伝子改変した大腸菌コンピテントセルです。トランスフォーメーション効率は、一般的に使用されるJM109株と同等です。また、タンパク質発現は、ラムノースプロモーターを用いて厳密に制御されます。このコンピテントセルは、改変Hanahan法で調製したヒートショック法のための製品です。

クローニングとタンパク質発現が同じ大腸菌株で行えるので、トランスフォーメーション操作が1回となり、実験時間を大幅に短縮できます。

図1 KRX と 他の大腸菌株における実験時間の比較

 

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Q. KRXは、大腸菌の何株由来ですか?

A. E. coli K12株由来です。

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Q. KRXの遺伝子型を教えてください。

A. KRXの遺伝子型は次の通りです。

[F´, traD36, ∆ompP, proA+B+, lacIq, ∆(lacZ)M15] ∆ompT, endA1, recA1, gyrA96
(Nalr), thi-1, hsdR17 (rK-, mK+), e14- (McrA-), relA1, supE44, ∆(lac-proAB),
∆(rhaBAD)::T7 RNA Polymerase

クローニングの際に使用する大腸菌株の特長である、内在性制限酵素の部分的な欠損(hsd や e14)、ヌクレアーゼ遺伝子の欠損(endA-)や不要な組み換え変異を抑えるための遺伝子欠損(recA-)をもちます。また、タンパク質発現用の大腸菌株の特長である 発現したタンパク質の分解を抑制するためにompT- と ompP- も欠損しています。KRXは、大腸菌で使用頻度の低いコドンに対応するtRNA遺伝子を含むプラスミドは含みません。

一般的な大腸菌株の遺伝子型や遺伝子型の説明は、リンクしているサイトの情報をご参照ください。

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Q. KRXは、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(通称:カルタヘナ法)」に該当しますか?

A. KRXは、ファージ由来のT7 RNAポリメラーゼをコードする遺伝子が染色体上に組み込まれた遺伝子組換え大腸菌ですので、該当します。KRXの由来や遺伝子型に関する情報は、製品添付資料等に記載されています。

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Q. KRXのトランスフォーメーション効率はどのくらいですか?

A. 1×10^8 cfu/ug以上のトランスフォーメーションの効率を示します。これはJM109とほぼ同等の値となり、クローニングを行うのに十分に高い効率です。

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Q. X-gal/IPTGを利用した青/白スクリーニングは可能ですか?

A. X-Gal, IPTG存在下で青/白スクリーニングが可能です。KRXのタンパク質発現に関しましては、ラムノースにより制御されています。

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Q. クローニングとタンパク質発現におけるKRXの増殖速度について教えてください。

A. クローニングでは、一般的に使用されているJM109と同様に使用できます。タンパク質発現では、3.25時間でO.D.600値が0.8に到達したというデータがございます。これに対して、BL21ではO.D.600値が0.8に達するまで7.5時間必要でした。

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Q. タンパク質発現は、ラムノースプロモーターでどのように制御されていますか?

A. KRXでは、T7 RNAポリメラーゼ遺伝子 がrhaPBADプロモーターの下流に位置しています。

図2. KRXにおけるT7 RNAポリメラーゼの制御

ラムノースオペロンは、グルコースの存在下では、遺伝子の発現が抑制(カタボライト抑制)されるため、cyclic AMP (cAMP)の濃度が低く、cAMP receptor protein (CRP)は、転写を活性化しません。L-ラムノースが添加されるとL-ラムノース は、RhaRに結合してrhaPSRプロモーターによる転写を活性化し、RhaSとRhaRの発現レベルが上昇します。発現したRhaSは、L-ラムノースと結合し、さらにrhaPBADプロモーターと結合して、転写を活性化し、T7 RNA ポリメラーゼが高レベルに発現します。このように、T7 RNA ポリメラーゼの発現が厳密に制御されているため、結果的にタンパク質発現が厳密に制御されることになります。また、イソメラーゼ(RhaA)、キナーゼ (RhaB)、アルドラーゼ(RhaD)のそれぞれの遺伝子は欠損させて、T7 RNA ポリメラーゼ遺伝子と置き換えられているため、添加したL-ラムノースが消費されることはありません。

 

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Q. ラムノースとは、どのような糖ですか?

A. ラムノース (rhamnose) は、天然に存在するデオキシ糖の一種です。

図3. L-ラムノース

 

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Q. ラムノースの使用量について教えてください。

A. 20% (w/v) ラムノース を調製し、終濃度0.1%(ラムノース, 20%を200倍希釈)で使用します。

プロメガでは、L-Rhamnose Monohydrate 10g(カタログ番号L5701)、50g(カタログ番号L5702)、室温保存品をご用意しています。

ラムノース, 20% (w/v): 10g L-rhamnose monohydrate(Cat. # L5701)に蒸留水45mlを加えて、0.2µmフィルターでろ過滅菌し、-20℃で保存します。 凍結保存で1年間は安定で、数回の凍結融解が可能です。

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Q. KRXはどのようなタンパク質の発現に向いていますか?

A. 図4に示したように、KRXは、BL21株など他の大腸菌株に比べて、誘導前のルシフェラーゼタンパク質の発現が、7~20倍も低い値を示します。このような厳密な制御が可能なため、細胞毒性のあるタンパク質も調製できる可能性があります。また、ヒト由来のタンパク質の発現も確認されています。
http://www.promega.com/pnotes/94/14410_27/14410_27.pdf

図4 ラムノース誘導前後のルシフェラーゼ発現量の比較

 

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Q. KRXと組み合わせて使用できるベクターを教えてください。

A. 目的タンパク質をコードする遺伝子がT7プロモーターで制御されるように構築されていれば使用が可能です。例えば、pET Vectors (Novagen) やプロメガのFlexi® Vectors (e.g., pF1A,pF1K, pFN2A, pFN2K, pFN6A, pFN6K, pFC7A, pFC7K)があります。

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Q. KRXのトランスフォーメーション操作を簡単に教えてください

A. 次のような手順で行います。

用意するもの

  • LB あるいは SOC 培地
  • LB プレート(適切な抗生物質を含むもの)
  • IPTG (カタログ番号 V3955)
  • X-Gal (カタログ番号V3941)
  1. KRXを-70℃から取り出し、氷上で融解する。
  2. DNA(1~50ng)を添加し、軽く混合する。(ボルテックスは行わないこと。)
    注意: 50µlのコンピテントセルには、5µl、100µlのコンピテントセルには、10µlの容量を超えないようにDNA溶液を添加する。
  3. 直ちに氷上で冷却する。(5~30分間)
  4. ヒートショックを行う。(42℃で15-20秒間) (混合はしないこと。)
  5. 直ちに氷上で冷却する。(2分間)
  6. 室温のSOC培地を添加し、37℃で振とう(225rpm)しながら60分間インキュベーションを行う。
    注意: 50µlのコンピテントセルには、450µl、100µlのコンピテントセルには、900µlのSOC培地を添加する。
  7. プレートに100µlを塗布する。(原液から100倍希釈までのいくつかの濃度条件で行う)37°C で一晩培養する。

詳しくは製品プロトコール(TB352)をご参照ください。

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Q. KRXでタンパク質発現を行う方法を簡単に教えてください

A. 次のような手順で行います。

  1. 得られたクローンを適切な抗生物質を含むLB培地を用いて、37℃で一晩振とう培養(275rpm)する。(前培養)
  2. 前培養液を適切な抗生物質を含むLB あるいは Terrific 培地で1:100 に希釈する。37℃で振とう培養(275rpm)する。 LB 培地でO.D.600 が 0.4~0.5 あるいは Terrific 培地でO.D.600 が 0.8~1.0まで培養する。
  3. 培養温度15~25℃のインキュベーターに移して、引き続き振とう培養(275rpm)する。
  4. LB 培地でO.D.600 が 0.5~0.6 あるいは Terrific 培地でO.D.600 が 1.0~1.5に到達したら、終濃度0.1%になるようにラムノースを添加する。(20% ラムノースを200倍希釈). pET Vectors (Novagen) やプロメガのFlexi® Vectors のようにlac オペレーターが含まれる場合には、IPTG (終濃度1mM )を添加することで、より高いタンパク質発現が得られるかもしれません。
  5. 培養温度15~25℃で一晩培養する。
  6. 集菌する。
  7. ライセートを調製する。

詳しくは製品プロトコール(TB352)をご参照ください。

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