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プロメガ製品 Q & A 【 哺乳動物発現制御 】

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Regulated Mammalian Expression System

【概略】

Q. Regulated Mammalian Expression Systemは、どのようなシステムですか?

Q. 従来の哺乳動物発現制御システムと、どのような点で異なりますか?

【構成品:ベクター】

Q. pF12A RM Flexi® Vector、pF12K RM FlexiR Vectorについて教えてください。

Q. pReg neo Vectorについて教えてください。

Q. クメルマイシン (Coumermycin)とノボビオシン (Novobiocin) は、どのような化合物ですか

Q. クメルマイシンとノボビオシンの使用方法について教えて下さい。

Q. クメルマイシンとノボビオシンの保存条件について教えて下さい。

Q. クメルマイシンやノボビオシンは哺乳類細胞への毒性はありますか?

【誘導・抑制機構】

Q. 目的遺伝子の発現誘導と抑制の機構を教えてください。

Q. 薬剤による誘導、抑制効果はどのくらい持続しますか?

Q. ノボビオシンでの抑制後、再びクメルマイシンでの誘導を行うことができますか?

【発現の最適化、安定化株作製の方法】

Q. 使用できる細胞の種類にはどのようなものがありますか?

Q. 細胞に導入するプラスミド量を検討する必要がありますか?

Q. 安定細胞株は、どのように作製することができますか?

[ 解 答 ]

Regulated Mammalian Expression System

Q. Regulated Mammalian Expression Systemは、どのようなシステムですか?

A. Regulated Mammalian Expression Systemは、哺乳動物細胞で目的タンパク質の発現を自由にコントロールできるシステムです。二種類の調節化合物と調節因子のアクチベーターが、目的遺伝子の発現誘導と抑制の両方を制御します。さらにアクチベーターの自己増幅回路により、誘導前や抑制時の低い発現レベルと誘導後の迅速で高レベルな発現を実現します。

このシステムには、次に示した二種類のベクターと二つの化合物が必要です。目的遺伝子発現用ベクター(pF12A RM Flexi® Vector, C9431あるいは、pF12K RM Flexi® Vector, C9441)、アクチベーター発現ベクター(pReg neo Vector, C9421)、発現誘導物質(クメルマイシン, C9451)、発現抑制物質(ノボビオシン, C9461)。Regulated Mammalian Expression System (C9470)には、上記の三種類のベクターが含まれます。

 

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Q. 従来の哺乳動物発現制御システムと、どのような点で異なりますか?

A. Regulated Mammalian Expression Systemは、一つのシステムで誘導と抑制の両方が行える点で従来のシステムと異なります。

 

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Q. pF12A RM Flexi® Vector、pF12K RM Flexi® Vectorについて教えてください。

A. . Flexi® Vector Systemを用いてこれらのベクターに、目的遺伝子を導入します。pF12Aにはアンピシリン耐性遺伝子が、pF12Kにはカナマイシン耐性遺伝子が挿入されています。目的遺伝子の導入方法は、Flexi® Vectorの製品プロトコールやQ&Aを参照下さい。

目的遺伝子の発現は、12個のλオペレーター領域(12xλOP)とサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターを改変して最小限の機能領域を残したCMV minimal promoterで発現が制御されます。目的遺伝子の下流には、転写の終結と翻訳効率を増大させるSV40 late poly(A) signalが付加されています。

http://www.promega.com/vectors/mammalian_express_vectors.htm#breg_exp


図1. pF12A RM Flexi® Vectorのベクターマップ

 

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Q. pReg neo Vectorについて教えてください。

A. このベクターは三つの領域からなるアクチベーター(λRep-GyrB-AD)を発現して、目的遺伝子の発現を制御します。λRep(λリプレッサ)は、λオペレーター領域のDNA配列と結合します。GyrB(GyraseB)は、細菌のトポイソメラーゼII型の酵素でクメルマイシンやノボビオシンなどの調節化合物と結合します。ADはNF-κBのp65転写活性化ドメイン (Activation Domain)です。この領域はDNA結合領域を持ちません。

アクチベーターの発現は、SV40 early promoterとλオペレーター領域(6xλOP)で構成される調節領域とCMV minimal promoterで制御されます。下流には、転写の終結と翻訳効率を増大させるSV40 late poly(A) signalが付加されています。さらに、哺乳細胞の薬剤選択マーカーとしてネオマイシン耐性遺伝子(Neor)が挿入されています。

http://www.promega.com/vectors/mammalian_express_vectors.htm#breg_exp


図2. pReg neo Vectorのベクターマップ

 

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Q. クメルマイシン (Coumermycin)とノボビオシン (Novobiocin) は、どのような化合物ですか?

A. クメルマイシンとノボビオシンは共にクメリンベースの化合物で、GyrB領域と強く結合します (Kd = 3 - 5 x 10-8M) 。 分子量は、クメルマイシンが1110、ノボビオシンが612.6です。これらの化合物の分子構造は、図3を参照してください。クメルマイシンは二つのGyrB結合サイトを持つため、クメルマイシンを介してGyrB領域を持つタンパク質は二量体を形成します。ノボビオシンではGyrB結合サイトが一つなので、GyrB領域を持つタンパク質は単量体となります。


FARRAR, M.A., ALBEROL, I., and PERLMUTTER, R.M. (1996). Nature 383, 178?181.
図3. クメルマイシンとノボビオシンの分子構造

 

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Q. クメルマイシンとノボビオシンの使用方法について教えて下さい。

A. 目的遺伝子の発現誘導には、クメルマイシンを0.5 -10nMになるように培地へ添加します。一方、目的遺伝子の発現抑制には、ノボビオシンを1-10µMで培地に添加します。

 

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Q. クメルマイシンとノボビオシンの保存条件について教えて下さい。

A. クメルマイシン(Coumermycin A1, C9451)は、常温保存の製品です。使用時は、DMSOで5mMの溶液を作製後に分注し、-20℃で保存して下さい。ノボビオシン(Novobiocin Sodium Salt, C9461)は4℃保存の製品です。使用直前にPBSで1mMの溶液を作製してください。作製した1mMのノボビオシン溶液を保存することはできません。

 

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Q. クメルマイシンやノボビオシンは哺乳類細胞への毒性はありますか?

A. 現在のところ、報告されておりません。

 

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Q. 目的遺伝子の発現誘導と抑制の機構を教えてください。

A. 二つのGyrB結合サイトを持つクメルマイシンが添加されると、アクチベーター(λRep-GyrB-AD)はクメルマイシンを介して二量体となり、目的遺伝子のλオペレーター配列 (12xλOp) と結合します。これによって目的遺伝子の発現が誘導されます。さらにλオペレーター配列(6xλOp)はアクチベーターの上流にもあり、アクチベーター自体の発現も自己増幅されます。この機構により、クメルマイシン誘導後の迅速な目的遺伝子の発現が可能になります。

一方、ノボビオシンにはGyrB結合サイトが一つしかないので二量体を作ることができず、ノボビオシン存在下でアクチベーターの二量体は解離して単量体になります。ノボビオシンとアクチベーターの複合体はλオペレーター配列に結合できないので、目的遺伝子の発現は抑制されます。


図4. 目的遺伝子のクメルマイシンによる誘導機構とノボビオシンによる抑制機構

 

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Q. 薬剤による誘導、抑制効果はどのくらい持続しますか?

A. 薬剤の半減期は約6時間です。

 

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Q. ノボビオシンでの抑制後、再びクメルマイシンでの誘導を行うことができますか?

A. 可能です。ノボビオシンを添加して目的遺伝子の発現が抑制された5時間以降に、新しい培地と交換します。その後、6-8時間インキュベートした後には、クメルマイシンによる再誘導が可能です。

 

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Q. 使用できる細胞の種類にはどのようなものがありますか?

A. プロメガで確認した細胞株は、Hela, COS-7, HEK293です。しかし、これ以外の細胞株でもCMV minimal promoterとSV40 early promoterで遺伝子発現が可能であれば、利用できると考えられます。

 

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Q. 細胞に導入するプラスミド量を検討する必要がありますか?

A. 使用する細胞種によって、誘導前の発現量が異なるため、導入するプラスミドの総量と二つのベクターの最適な量比を検討する必要があります。プロメガではHela, COS-7, HEK293細胞について検討しました(図5)。Hela, COS-7細胞では、12ウェルプレートの1ウェル当たり106個の細胞にpF12A RM Flexi® Vectorを0.1µg、pReg neo Vectorを0.4µgを導入した条件で、誘導前の発現はほぼ完全に抑制されました。HEK293細胞では、同条件で誘導前の発現が約10倍と高くなりましたが、導入するプラスミドの量を1/10にすることで誘導前の発現を抑えられ、100倍近い誘導効率が得られました。


図5. トランスフェクションするプラスミド量による発現の違い(Technical Manual p15 Fig.6.)

 

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Q. 安定細胞株は、どのように作製することができますか?

A. アクチベーターを発現するpReg neo Vector は、ネオマイシン耐性遺伝子が挿入されているので、このベクターのみを導入することで安定細胞株の作製が可能です。プロメガでは、トランスフェクション時にpReg neo VectorをXmnI (Cat.# R7271)で直鎖化することを薦めています。XmnIサイトはネオマイシン耐性遺伝子カセットとアクチベーターの発現を制御するSV40 promoterの間に一ヶ所存在するだけなので、アクチベーターの発現に影響を与えません。トランスフェクションして48時間後にG-418 (Cat.# V7981)を加え、目的のクローンを選択します。加えるG-418の濃度は、細胞種で異なります。詳しくは、G-418のQ&Aを参照ください。

作製したpReg neo Vectorの安定細胞株の評価は、ルシフェラーゼの遺伝子を組み込んだpF12 RM Flexi® Vectorを作製することで行えます。ルシフェラーゼの遺伝子を組み込んだpF12 RM Flexi® Vectorをトランスフェクションして3時間後、クメルマイシン添加の有無で、二群に分けます。24-48時間後にそれぞれのルシフェラーゼ発現量を測定します。クメルマイシン非存在下で低レベルの発現、存在下で高い発現レベルを持つクローンを選別します。一度樹立したpReg neo Vectorの安定細胞株は、異なる遺伝子を組み込んだpF12 RM Flexi® Vectorとの解析に使用できます。

目的遺伝子発現ベクター(pF12 RM Flexi® Vector)の安定細胞株を作製する場合は、次の方法が考えられます。既にpReg neo Vectorの安定細胞株を作製しているならば、目的遺伝子を導入したpF12 RM Flexi® Vectorをハイグロマイシンやピューロマイシン等のネオマイシン以外の薬剤耐性マーカーを持つプラスミドと同時にトランスフェクションを行って、両方のベクターが導入された目的のクローンを選択します。pReg neo Vectorの安定細胞株を作製していない場合は、ネオマイシン耐性遺伝子をもつpReg neo Vectorと目的遺伝子をもつpF12 RM Flexi® Vectorを同時にトランスフェクションして、G-418で選択することで目的クローンを得ることが可能です。

使用するトランスフェクション試薬の選択のために、プロメガではTransfection Assistantを用意しています。このサイトでは、プロメガ製品のトランスフェクション試薬と実績がある細胞株が検索できます。プロメガのトランスフェクション試薬の選択にはQ&A(トランスフェクション)もご利用ください。

 

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