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テックの一言コラム_2016年2月号 カイネティック解析でみえるもの ~ 細胞実験にタイムラインを ~

タンパク間相互作用(Protein-protein interaction, PPI) このようなリアルタイムな実験系は、細胞内の分子間相互作用 の解析にも有効です。細胞内では複数のタンパク質が相互に作 用し、シグナルパスウェイの方向を決定したり、タンパク質自身 の分解を促進したりと、その相互作用は細胞の運命を決定づけ る重要な役割を果たしています。PPI 解析の手法としては、プル ダウンアッセイや免疫沈降法など、定性的な手法が主流です。こ れらの手法はエンドポイントであり、さらに一旦細胞を溶解させ るので、生細胞中のダイナミックな変化を反映していない可能性 があります。図 2 では、NanoBiT™ テクノロジーを利用して、生細 胞における GPCR シグナルに関わる 2 タンパクβ 2-adrenagic Receptor(ADRB2) と β -arrestin 2(ARRB2) お よ び Arginine vasopressin receptor 2(AVPR2)と ARRB2 の相互作用をリアルタ イムに定量しています。各受容体に対する Agonist 刺激により、 数十秒~数分でこれらの結合を誘導していることが分かります。 また、AVPR2 と ARRB2 の相互作用は ADRB2 と ARRB2 の相互作 用に比べ、緩やかに進行していることが分かります。このように、 細胞内のシグナル伝達系など、数秒~数分で反応が起こる系で はカイネティックアッセイは重要な要素となります。 カイネティック解析でみえるもの[Vol. 9] ~ 細胞実験にタイムラインを ~ 2016 年 2 月号 細胞内では様々な反応が時々刻々とダイナミックに起こっていま す。数時間単位で変化する反応もあれば、分単位、秒単位で起 こる反応もあります。細胞を用いた実験では、これらの反応後 の 1 点の測定時間に絞ったエンドポイントアッセイが一般的で す。系としてはシンプルですが、その反応が起こる過程をリアル タイムに検出・考察することにより、これまで見えていなかった 現象が見えてくるかもしれません。 細胞生存性・毒性 細胞の毒性評価手法は MTT アッセイ法をはじめ、様々な改良 が加えられ進化しています。近年、単にエンドポイントの細胞 毒性を測定するだけでなく、経時変化を検出対象に加えること により、より正確な毒性評価することが重要であると考えられ てきています。図 1 では、ある細胞種に対する様々な薬剤の毒 性評価を行っています。薬剤添加後の各タイムポイントにおいて、 薬剤の potency と efficiency 両項目を合わせた activity area を毒 性の指標として数値化しています。薬剤添加後 47 時間目のエン ドポイントでは同等の毒性を示す薬剤でも、初期のタイムポイン トでは毒性の大きさが異なることが分かります。つまり、タイム コースを測ることにより、薬剤の毒性をより正確に評価 / 分類で きるということです。 テクニカルの ひ こ と と コラム 図 1 各種化合物に対する経時的な毒性評価 同一ウェルで生細胞数をリアルタイムに検出する RealTime-Glo™ で、各タ イムポイントの容量反応曲線の積分値を毒性の強さとして表した。 図 2 NanoBiT ™ を用いた GPCR シグナルタンパクのリアルタイム相互作 用解析 ADRB2、ARRB2、AVPR2 に Large BiT(LgBiT)、Small BiT(SmBiT)を融合し、 細胞内で発現させた。ADRB2-ARRB2 および AVPR2-ARRB2 それぞれの相 互作用を促進する薬剤添加後、これらの結合状態をリアルタイムに測定し た。NanoBiT™ system とは、NanoLuc ® luciferase を LgBiT と SmBiT に分割 し、それぞれに目的タンパクとの融合タンパクを細胞内に発現させ、相互 作用が起こった場合のみ LgBiT と SmBiT が結合し、正常な Luciferase とし て働くシステム。 activity area(AA)* conc(nM) plicamycin %viavility 125 100 75 50 25 0 -25 1 2 3 4 10000 1000 200 100 30 20 1 5 0 conc(nM) %viavility 125 100 75 50 25 0 -25 1 2 3 4 10000 1000 200 100 30 20 1 5 0 テクニカルサービス Tel. 03-3669-7980/Fax. 03-3669-7982 E-Mail : prometec@jp.promega.com プロメガ株式会社 本 社 〒103-0011 東京都中央区日本橋大伝馬町14-15 マツモトビル Tel. 03-3669-7981/Fax. 03-3669-7982 図 3 では、プロテインキナーゼ A(PKA)のサブユニットが GPCR パスウェイのセカンドメッセンジャーとしての cAMP 量の変化に より、結合 – 解離する状態の変化(図 3A)を、NanoBiT™ system を用いてリアルタイムに定量化しています。 また、このパスウェイで働くセカンドメッセンジャーとしての cAMP 量変化も、プロメガの GloSensor™ cAMP Assay により、 リアルタイムで検出することができます(図 3B)。図 3C のカイ ネティックアッセイの結果から、cAMP 量の変化が、PKA の状態 変化に逆相関していることが分かります。このような迅速かつ可 逆的な反応は、エンドポイントアッセイでは検出することは困難 です。カイネティックアッセイを行うことにより、生細胞中の現 象を正確に評価することが可能になります。 実験手法の進歩とともに、実験系とはいえ、より生体内に近い 系が求められてきています。エンドポイントアッセイでは見えて いなかった現象が明らかになるかもしれません。細胞実験にタ イムラインを入れてみてはいかがでしょうか。 テクニカルの コラム 2016 年 2 月号 ひと こと 図 3 PKA サブユニットの結合 – 解離状態変化と cAMP 量の相関性 A:GPCR パスウェイにおける cAMP および PKA の反応模式図。PKA の各 サブユニットに NanoBiT ™ を付加させている。 B:GloSensor ™ cAMP Assay 原理。ホタルルシフェラーゼの内部に cAMP 結合タンパク質の一部を挿入されており、cAMP が結合すると、構造 が変化して発光量が増加する。 C:NanoBiT ™ および GloSensor ™ cAMP Assay による PKA および cAMP 量 の経時変化測定。ISO:Isoproterenol, PRO:Propranolol, FSK:Forskolin A B C テクニカルサービス Tel. 03-3669-7980/Fax. 03-3669-7982 E-Mail : prometec@jp.promega.com プロメガ株式会社 本 社 〒103-0011 東京都中央区日本橋大伝馬町14-15 マツモトビル Tel. 03-3669-7981/Fax. 03-3669-7982