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かわら版 2019年 春号

ApoLive-Glo Caspase-Glo ROS-Glo ADCC Reporter Bioassay Dual-Glo NADP/ NADPH-Glo RealTime-Glo RealTime-Glo RealTime-Glo Annexin V Autophagy HiBiT Reporter Assay BacTiter-Glo ADP-Glo CellTiter 96 AQ ONE ELISA (450 nm) Nano-DLR RealTime-Glo Annexin V NADP/ NADPH-Glo Nano-DLR Nano-Glo Nano-Glo Live Cell (NanoBiT) CellTiterGreen Chroma-Glo ApoLive-Glo CellTiter-Blue GFP Protein Quantitation Nano-Glo Renilla Luciferase Assay System Dual-Glo ELISA (450 nm) GFP Protein Quantitation GloSensor cAMP GTPase-Glo Kinase-Glo Apo-ONE GloSensor cAMP Caspase-Glo CellTiter-Blue CellTiter-Fluor ONE-Glo NanoBRET 618 Apo-ONE 2019年 春号 プレートリーダーを用いた 高次元な細胞ベースアッセイ (リアルタイム、マルチアッセイ & BRET) ・リアルタイムアッセイ 生命現象をリアルタイムで理解しよう!:プレートリーダーでシンプルに経時的アッセイをするためのコツとテクニック 2 ページ ・マルチプレックスアッセイ GloMax プレートリーダーでちょい足しデュアルルシフェラーゼアッセイ (タンパク質レベル、転写活性 & 細胞生存性試験のマルチアッセイ) 4 ページ ・細胞内タンパク質間相互作用検出(BRET アッセイ) タンパク質間相互作用:NanoBRET™ システム構築の実際(CRAF-BRAF 相互作用モデル) 6 ページ ・プレートリーダー 貸出サービス & オンサイトセミナー RentaMAX & オンサイトセミナー 8 ページ GloMax®プレートリーダーで実現できる 魅力的なアッセイをご紹介! Promega KAWARABAN プロメガ株式会社 リアルタイムアッセイ 生命現象をリアルタイムで理解しよう!: プレートリーダーでシンプルに経時的アッセイをするためのコツとテクニック はじめに 同一サンプルを用いて経時的に測定するリアルタイムアッセイは、デー タを効率的に収集して、薬剤化合物の細胞への長期的な影響を研究す るための優れた手法です。これらのアッセイは細胞を溶解せずに生きた まま測定するので、同じサンプルを用いて複数のポイントで取得するこ とができ、最適な測定タイミングを推測で決定する必要がなくなります。 さらに、処理に対する応答についても同じ細胞集団で観察することがで きるので、アッセイのばらつきを低減することができます。 ここでは、GloMax® Discover とプロメガのリアルタイムアッセイを使用し て得られる生物学的情報についてご紹介します。また、リアルタイムアッ セイを成功へ導くための重要なヒントも含まれています。 リアルタイムでの細胞の健康状態のモニタリング リアルタイムアッセイで測定することにより、より有用なデータを引き 出すことができます。処理の影響を受けているかを判断するだけでなく、 処理がいつ、どの程度素早く細胞に影響を与えたかを理解することが できます。 RealTime-Glo™ Annexin V Apoptosis and Necrosis Assayでは、アポトーシ ス表現型であるアネキシン V のホスファチジルセリン(PS)への結合、 ならびに膜透過性の有無によるネクローシスの両方を同じウェルで長時 間にわたりモニタリングすることができます。PSに標識アネキシンVタン パク質が結合すると発光シグナルが生成され、同時にネクローシス検出 試薬は蛍光シグナルを生成します。これらのシグナルの経時的な変化を 観察することで、アポトーシスまたはネクローシスが誘導されたかを判 断することができます(図 1)。 細胞の状態をリアルタイムでモニタリングするアッセイは細胞、プレー トだけでなく研究者の貴重な時間も節約することができます。エンドポ イントアッセイではタイムポイントごとに多数のパラレルプレートが必要 になりますが、リアルタイムアッセイはたった 1 枚のプレートのみで十 分です。図 2 に示すように、7 枚のプレートを消費してカスパーゼ活性 化を測定するエンドポイントアッセイ、RealTime-Glo™ Annexin V Assay では 1 枚のプレートだけでモニタリングすることができます。リアルタ イムアッセイにより、1 ウェルあたりのデータ量が増え、生命現象をよ り深く理解できることを示しています。 リアルタイムで発光レポーター活性のモニタリング ルシフェラーゼレポーターアッセイは通常、細胞を溶解して行われてい ます。一方で細胞を溶解しないリアルタイムでのレポーター活性のモニ タリングは、多種多様な細胞応答のダイナミクスをよりよく理解するた めのオプションとなります。 NanoLuc® ルシフェラーゼは小さく、高感度な発光レポーター酵素であ り、その基質は膜透過性を示します(NanoLuc® の詳細はかわら版 2016 年夏号および秋号をご覧ください)。生細胞アッセイに至適化された Nano-Glo® Live Cell Assay System は 2 時間までの実験において非常に明 るいシグナルと広 範 なダイナミックレンジを 示します。Nano-Glo® Endurazine™ Live Cell Substrate と Nano-Glo® Vivazine™ Live Cell Substrate はプロメガの技術を用いて開発された新規基質であり、数日にわたる 実験を可能にします。(図 3)。これらの基質により、研究者が求める様々 な実験に対応することが可能となっています。 タンパク質不安定化ドメインが付加された NlucP レポーター(NanoLuc®- PEST)は、細胞内での半減期が短いレポーターであり、化合物処理後に 起こる転写反応の変化をダイナミックに測定することができます。図 4 では、cAMP 応答配列(CRE)を有する NlucP および Nano-Glo® Vivazine™ Substrate を用いて、フォルスコリンによる細胞内 cAMP の増加に続く転 写活性化の用量依存的なタイムコース実験に使用できたことを示してい ます。転写の動態の変化は 10 時間にわたり観察することができました。 Nano-Glo® Live Cell Substrate は、タンパク質の動態タンパク質のリアル タイムな定量を可能にする NanoBiT® レポーターテクノロジーでも使用す ることができます。図 5 では Nano-Glo® Endurazine™ および Vivazine™ 概要 • アポトーシスや転写活性、タンパク質相互作用、タンパク質存在量などをリアルタイムに測定できるアッセイ • プレートリーダーでリアルタイムアッセイをするためのマル秘テクニック • プロメガのプレートリーダーと様々なリアルタイムアッセイ試薬で簡便に動的なバイオロジーを解析 図 1. ホスファチジルセリン(PS:Anx)へのアネキシン V の結合と細胞膜完全性の消失の リアルタイムアッセイ U937 細胞を、連続希釈した rhTRAIL および RealTime-Glo™ Annexin V Apoptosis and Necrosis Assay Reagent の存在下、37℃ /5% CO2 でインキュベートした。バックグラウンドを差し 引いた発光、RLU(ホスファチジルセリンへのアネキシン V の結合、パネル A)およびバッ クグラウンドを差し引いた蛍光、RFU(細胞膜の完全性、パネル B)を GloMax® Discover で 0、3.5、6.5、および 24 時間後に測定した。時間依存的な発光の増加(ホスファチジ ルセリンへのアネキシン V の結合、パネル A)が時間依存的な蛍光の増加(細胞膜完全 性の消失、パネル B)よりも先に起こったことはアポトーシスに続き 2 次ネクローシスが 起っていることを反映している。 0.01 0.1 1 10 100 1,000 0 150,000 300,000 450,000 600,000 750,000 900,000 0 hours 3.5 hours 6.5 hours 24 hours A. Kinetic RLU Reads—PS:Anx V Binding rhTRAIL (ng/ml) Luminescence (RLU) 0.01 0.1 1 10 100 1,000 0 2,000 4,000 6,000 8,000 B. Kinetic RFU Reads—Membrane Integrity rhTRAIL (ng/ml) Fluorescence (RFU) 14519MA 図 2. リアルタイムアッセイとエンドポイントアッセイによる経時的測定 左パネル(リアルタイムアッセイ):各用量についてのデータは、RealTime-Glo® Annexin V Apoptosis Assay 試薬を 1 回添加した単一のアッセイプレートを用いて複数の時点で取得 した。右パネル(エンドポイントアッセイ):エンドポイントアッセイを用いて7つの別々 のプレートを用いてパラレルデータを取得した。 [paclitaxel] (nM) Luminescence (RLU) 4 hrs 12 hrs 15 hrs 18 hrs 7 hrs 21 hrs 24 hrs 30 hrs 36 hrs 40 hrs 27 hrs 48 hrs 0.01 0.1 1 10 100 1,000 250,000 200,000 150,000 100,000 50,000 0 Exposure Period 4 hrs 15 hrs 18 hrs 7 hrs 24 hrs 30 hrs 48 hrs Exposure Period [paclitaxel] (nM) Luminescence (RLU) 0.01 0.1 1 10 100 1,000 4,000,000 3,000,000 2,000,000 1,000,000 0 図 3. Nano-Glo® Endurazine™、 Nano-Glo® Vivazine™ Substrates および Nano-Glo® Live Cell Assay System の発光特性 HEK293 細胞に PGK プロモーターより NanoLuc® ルシフェラーゼを発現するプラスミドを トランジェントにトランスフェクションし、表示時間に発光シグナル強度を測定した。 Vivazine™ substrate Endurazine™ substrate Nano-Glo® Live Cell Assay System 104 105 106 107 108 Luminescence (RLU) Time (hours) 0 1 5 10 5 20 25 Vivazine™ substrate Endurazine™ substrate Nano-Glo® Live Cell Assay System 104 105 106 107 108 Luminescence (RLU) Time (hours) 0 1 5 10 5 20 25 2 Substrate を用いて、LgBiT 発現細胞内での HiBiT タグタンパク質の発現 レベルをリアルタイムにモニタリングしています(HiBiT の詳細はかわら 版 2017 秋号をご覧ください)。内在的な発現条件でモニタリングする ために図 5 の実験ではゲノム編集技術により HiBiT タグを BRD4 ローカ スの N 末 端 へ 導入しました。BRD4 を標的として分解する化合物 ARV771 を処理し、BRD4 タンパク質量の変化を発光シグナルにて定量 しました。高感度な HiBiT タグを活用することで、BRD4 タンパク質量の リアルタイムな追跡が可能となることを示しています。 リアルタイム生細胞アッセイのキーポイント これまでに示した結果はどれもエキサイティングですが、リアルタイム の生細胞アッセイを実施する上にはいくつかの検討事項があります。多 くの研究者は、実験用培養プレートを CO2 ガス、湿度および温度制御 されたインキュベーターに保存し、測定する時間にプレートをプレート リーダーに移します。これは最も経済的なアプローチですが、課題があ ります。手動でプレートを移動させる場合、測定前にプレートのふたを 取り外すことによって効率よくシグナルを得ることができますが、イン キュベーターからプレートを取り出す時間が長いほど、結果のばらつき が大きくなります。また、プレートの蓋を外した際の微生物による汚染 を懸念する研究者もいます。 これらの懸念を克服するためのアプローチの 1 つは、CO2 ガスと温度を 制御できるプレートリーダーを使用することです。この場合、環境条件 を気にすることなく簡便に測定できますが、湿度は制御されないため 2 つの問題を引き起こします。まず、外側ウェルでの蒸発が起こりえるため、 96 ウェルプレートの内側 60 ウェル程度しか使えずスループットを制限 してしまいます。第二に、湿度管理のために蓋をして測定すると、ウェ ル間クロストークが増大し、感度も低下します。また、実験を通して結 露が蓋に付着することもあり、アッセイの測定値に悪影響を及ぼします。 シンプルに対処できる方法として、光学的に透明でガス透過性を有する プレートシールを使用する方法が挙げられます。これらのシールを用い れば、プレートの蓋を通さず測定できるためウェル間のクロストークが 抑えられ、しかもシールにより周囲の環境から各ウェルを防護すること ができます(図 6)。さらに、pH 変化に耐性があり、細胞を生存維持さ せる CO2 非依存性培地の使用も有用です。CO2 非依存性培地を使用す ることで、短時間であればアッセイの変動を心配せずに手動でプレート をインキュベーターから出し入れしたり、環境制御機能の無いプレート リーダーでも使用することもできます(図 7)。 結論 プロメガは GloMax® を始めとするプレートリーディングルミノメーターだ けで実施できるリアルタイム生細胞分析を、動的に変化するバイオロジー を簡単かつ経済的に調べる新たな手段として研究者に提供しています。 100 回分 サイズ カタログ 番号 価格(¥) 特別価格 * (¥) リアルタイム(生細胞)アポトーシスアッセイ RealTime Glo™ Annexin V Apoptosis Assay 100 回分 JA1000 68,000 47,600 RealTime-Glo™ Annexin V Apoptosis and Necrosis Assay 100 回分 JA1011 80,000 56,000 リアルタイム(生細胞)細胞生存試験 RealTime-Glo MT Cell Viability Assay 100 回分 G9711 21,000 14,700 NanoLuc® リアルタイム(生細胞)アッセイ Nano-Glo® Live Cell Assay System 100 回分 N2011 28,000 19,600 Nano-Glo® Endurazine™ Live Cell Substrate 0.1 ml N2570 30,000 21,000 Nano-Glo® Vivazine™ Live Cell Substrate 0.1 ml N2580 30,000 21,000 Nano-Glo® Extended Live Cell Substrate Trial Pack 0.2 ml N2590 38,000 26,600 ※ N2590 には N2570 と N2580 のセット品です。 *2019 年 8 月 23 日受注分まで 図 6. 蓋とシールを用いた際のクロストーク Coring plates(Cat.# 3917)に付属するプラスチック製の蓋は、ブリーズイージー(株式会 社 TOHO, 注文コード 0765050)あるいは蓋なしに比べ非常に高いクロストークを示した。 Breathe-Easy® Film は蓋なしに比べるとわずかなクロストークが認められた。 Lid or Film Plastic Lid Breathe Easy® No Lid Film Crosstalk (RLU) Plastic Lid No Lid Breathe-Easy® Film 0.02 0.015 0.01 0.005 0.000 図 7. GloMax® Discover で、37℃で 24 時間、CO2 非依存培地で連続希釈した K562 細胞 の細胞数にともなう シグナル / バックグラウンドカウント 5,000 細胞 / ウェルを 20 細胞 / ウェルまで2倍希釈で調整した。同様のシグナル / バッ クグラウンドレベルおよび感度が、ブリーズイージー(株式会社 TOHO, 注文コード 0765050)および 96 ウェルプラスチック蓋の両方について観察された。 Cell Number Signal/Background Plastic Lid Linear (Plastic Lid) No Lid Linear (No Lid) Breathe Easy® Film Linear (Breathe-Easy® Film) 5,000 4,500 4,000 3,500 3,000 2,500 2,000 1,500 1,000 500 0 450 400 350 300 250 200 150 100 50 500 0 リアルタイムアッセイに最適なプレートフィルムをプレゼント! 上記のリアルタイムアッセイ製品ご注文先着 100 名様に、ブリーズ イージーフィルム(注文コード 0765050)サンプル 5 枚セットをプレ ゼントいたします。ブリーズイージーフィルムは酸素や CO2 のガス交 換が可能なフィルムです(材質:ポリウレタン、UV 透過性:~ 30 nm) 日本総販売元:株式会社トーホー TEL:03-3654-6611 URL:www.j-toho-kk.co.jp 図 5. 内因性 BRD4 レベルの動的モニタリング LgBiT を安定に発現する HEK293 細胞を CRISPR-Cas9 で編集し、内在性の BRD4 ローカ スで HiBiT-BRD4 融合タンパク質を発現する細胞を作成した。ARV-771(BRD4 標的デグレ イダー[PROTAC])による処理の後に Endurazine™ および Vivazine™ で HiBiT-BRD4 融合 タンパク質の発現レベルをモニタリングした。 0 1 5 10 5 20 25 103 104 105 106 Time (hours) Luminescence (RLU) 1µM ARV-771 with Endurazine™ substrate 0µM ARV-771 with Endurazine™ substrate 1µM ARV-771 with Vivazine™ substrate 0µM ARV-771 with Vivazine™ substrate 0 1 5 10 5 20 25 103 104 105 106 Time (hours) Luminescence (RLU) 1µM ARV-771 with Endurazine™ substrate 0µM ARV-771 with Endurazine™ substrate 1µM ARV-771 with Vivazine™ substrate 0µM ARV-771 with Vivazine™ substrate 3Promega KAWARABAN 図 4. cAMP 応答配列(CRE)プロモーターを有する NlucP 発現コンストラクトを トランジェントにトランスフェクションした HEK293 細胞 Vivazine™ substrate を 0 時間に添加し、GloMax® Discover、 37℃で連続的に発光を測定した。 約 2 時間後に様々な濃度のフォルスコリンを添加し、細胞内 cAMP 濃度上昇による NlucP の発現を誘導した。グラフはウェルごとに補正された 10 時間にわたるデータ。この基質 により cAMP レベル増加に応じた CRE レポーター活性の用量依存的な上昇を検出した。 Forl ad Ine s fok conti D. 0 10 20 30 Vivazine™ Normalized Response 10 Time (hours) 0 2 468 はじめに デュアルレポーターアッセイは、同じ細胞サンプル中に発現する複数の レポーター酵素またはレポーター融合タンパク質を測定することにより 細胞内の有用な情報を簡便にモニタリングすることができます。一般的 なデュアルレポーターアッセイの実験フォーマットでは、片方のルシフェ ラーゼを転写活性に応じて発現する実験レポーターとして使用し、もう 片方は恒常的プロモーターを用いた内部コントロールとして実験データ を補正することによりデータの質を向上させます。Nano-Glo® DualLuciferase® Reporter(NanoDLR™)Assay System は、シンプルなプロト コル(添加→測定→添加→測定)で同じサンプルに含まれる NanoLuc® ルシフェラーゼ(Nluc)およびホタルルシフェラーゼ(Fluc)を高感度に 連続して測定することができます。従来のホタルとウミシイタケルシフェ ラーゼによるデュアルアッセイシステムに比べ、第一レポーター(ホタル) の消光効果の向上と第二レポーター(NanoLuc® )の高い発光レベル(図 1) により NanoDLR™ はより高感度で正確な測定が可能となり、2 つのル シフェラーゼを実験レポーターとして使用するアプリケーションへの応 用が広がりました(標的タンパク質存在量[NanoLuc®]+転写応答また は 2 つの転写応答)。この場合、第 3 の細胞情報として細胞生存マーカー を測定することはレポーターアッセイに細胞の健全性に関する情報を加 えることができるため、化合物の毒性によるレポーター活性の低下など を考慮にいれた正確な分析が可能になります。 デュアルレポーターによるタンパク質量および転写活性の測定 本稿では、同じウェルで 2 つの実験レポーターと細胞生存性を組合わせ たマルチアッセイについてご紹介いたします。発光強度の高い NanoLuc® ルシフェラーゼであれば、調節タンパク質などシグナル経路上流のタン パク質に融合させてタンパク質の存在量を測定することができ、これと ホタルルシフェラーゼをレポーターとした転写活性測定を組合わせた デュアルルシフェラーゼアッセイを行うことができます。細胞のストレス 応答では、重要な調節タンパク質の安定性の変化、それに続く下流の転 写調節をともないます。多くの応答経路では、重要な転写因子の濃度お よび局在性は厳密に制御されています(表 1)。例えば、基底条件下での 低酸素誘導因子 -1A(HIF1A)はユビキチンを介した分解によって低レベ ルに保たれています。低酸素条件下になると、ユビキチン化は大幅に抑 制され、核内で HIF1A が蓄積されるため、さまざまな遺伝子の転写が活 性されます。NanoLuc® ルシフェラーゼの小ささと明るい光はタンパク質 レベルの変化を測定するための融合パートナーとして理想的です。 NanoLuc® アッセイが高感度であることは、タンパク質の発現量が低く、 より生理的なレベルでも測定でき、生物学的関連性の高い結果が得られ ることを意味します。さらに、化合物に対する毒性プロファイリングを 得るために細胞ストレスに応答する 2 つの応答配列 HSE(熱ショック) と ARE(酸化ストレス)による転写活性の変化についても実験をおこな いました。 細胞生存試験の追加 NanoDLR™ 発光測定はさらに CellTiter-Fluor™ Cell Viability Assay を用いた 蛍光法による細胞生存性試験とのマルチアッセイを行うことができ、1 つ のサンプルからより完全な細胞応答プロファイルを得ることができます。 このアッセイでは生細胞に由来する生プロテアーゼ活性により基質が蛍 光産物に変換され、これが生細胞の数に比例します。このアッセイは細 胞溶解剤を含む NanoDLR™ 試薬を添加する直前に行います。GloMax® Discoverはマルチプレックスアッセイおよびインジェクターベースのプロト コルを簡略化し、タイムコース実験を簡便に行うことができます。 マルチプレックスアッセイ GloMax プレートリーダーでちょい足しデュアルルシフェラーゼアッセイ (タンパク質レベル、転写活性 & 細胞生存性試験のマルチアッセイ) 概要 • 簡便なタンパク質レベル、転写活性、細胞生存性のマルチアッセイ • デュアルルシフェラーゼアッセイの新しい利用法 • GloMax® Discover のデュアル自動インジェクターによりマルチアッセイを効率化 図 1. 各ルシフェラーゼの発光レベルの比較 NanoLuc® はホタルまたはウミシイタケルシフェラーゼよりも約 100 倍の発光レベルを示す。 Log[luciferase], pM 10549MD Luminescence (RLU) –3 –2 –1 0 1 2 3 4 5 6 7 1 × 102 1 × 103 1 × 104 1 × 105 1 × 106 1 × 107 1 × 108 1 × 109 1 × 1010 Firefly Luciferase Renilla Luciferase NanoLuc® Luciferase 100X More Sensitive 表 1. パスウェイ活性化に応答して変化する主要なシグナル調節タンパク質の細胞内寿命 標的タンパク質 T1/2 通常時(分) T1/2 誘導時(分) 誘導因子 HIF1 α 50 200-250 低酸素 I κ B α 100 5 TNF αおよびその他の炎症性 サイトカイン p53 20 300-400 遺伝毒性ストレス(UV/ 化株 物質による DNA ダメージ、他) Nrf2 10-15 30-40 酸化ストレス β – カテニン <60 >200 Wnt FOXO >300 <60 成長因子 PDCD4 300 <60 インシュリン /PI3K c-Jun <60 >200 ストレス c-Myc 20 300-400 ストレス c/EBP <60 >300 LiCl 4 結論 ストレス応答経路の多くの転写因子は分解によりその活性が制御され ており、下流の転写活性とともに同じシグナル経路上のパスウェイポイン トを調べることは生物学的理解を深めます。また、化合物による毒性 プロファイリングを調べるために 2 種類のストレス応答を分析すること は化合物の毒性スクリーニングなどに有用です。Nano-Glo® Dual Luciferase Reporter(NanoDLR™)Assay を使用して、NanoLuc® 融合タンパク質に よるタンパク質蓄積と、luc2Pレポーター遺伝子上流の制御プロモーター 上の転写因子活性の組合わせまたは 2 種類の制御プロモーターを用い たデュアルシフェラーゼアッセイを行いました。フェナントロリン処理 後のタイムコース実験では、HIF1A 転写因子の蓄積と下流の転写活性化 との間にタイムラグが生じていることが示されました。また、tBHQ 添加 によるストレス分析ではヒートショック(HSE)および抗酸化(ARE)応 答配列を強く活性化しました。 さらに、NanoDLR™ で両方のレポーターを実験レポーターとして使用す る場合に、テスト化合物によって引き起こされる毒性モニタリングに細 胞生存性試験を追加することは有用で、発光アッセイと CellTiter-Fluor™ Assay の蛍光アッセイをマルチプレックス化することで実現できます。 GloMax® のデュアルインジェクターを使用することで、試薬の追加と測 定を自動化できます。図 2 のように化合物の用量反応をアッセイする場 合、タイムポイントごとにインキュベーターからプレートを取り出してル ミノメーターにセットする、といったアッセイフォーマットを飛躍的に単 純化できます。2 つの実験レポーターと細胞生存性を組合わせたマルチ プレックスアッセイは 1 つのサンプルより得られる情報量を飛躍的に増 加させます(図 3)。 製品名 サイズ カタログ 番号 価格(¥) 特別価格 * (¥) デュアルアッセイ試薬 + コントロールベクター Nano-Glo® Dual-Luciferase®/pNL 1.1.TK Bundle 1 セット N1521 80,000 56,000 Nano-Glo® Dual-Luciferase®/pNL1.1 PGK Bundl 1 セット N1531 80,000 56,000 Nano-Glo® Dual-Luciferase®/pGL4.54 luc2/TK 1 セット N1541 80,000 56,000 Nano-Glo® Dual-Luciferase®/pGL4.53 [luc2/PGK] Bundle 1 セット N1551 80,000 56,000 デュアルアッセイ試薬 Nano-Glo® Dual-Luciferase® Reporter Assay 10 ml N1610 40,000 28,000 細胞生存試験 CellTiter-Fluor™ Cell Viability Assay 10 ml G6080 17,500 12,250 トランスフェクション FuGENE® HD Transfection Reagent 1 ml E2311 65,000 45,500 ViaFect™ Transfection Reagent 0.75 ml E4981 60,000 42,000 レポーターベクター pGL4.42[luc2P/HRE/Hygro]Vector 20 µg E4001 73,000 51,100 pNLF1-HIF1a[CMV/neo] Vector System 20 µg N1381 73,000 51,100 pGL4.41[luc2P/HSE/Hygro]Vector 20 µg E3751 73,000 51,100 *2019 年 8 月 23 日受注分まで 図 2. HEK293 細胞のフェナントロリンによる処理後の用量反応とタイムコース パネル A:単一の時点における用量反応では、フェナントロリン濃度依存的な HIF1A-Nluc 融合タンパク質の蓄積およびレポーター遺伝子 luc2P によって測定される低酸素応答の 活性化が示された。パネルB:100 μMフェナントロリンの添加後の経時的なレポーター 測定値を未処理細胞と比較した発光の倍率変化としてプロットした。タイムコース実験 では、HIF1A の蓄積とそれに続く核内転写活性化との間に生じる遅れが明示されていま した。パネル C:細胞を CellTiter-Fluor™ 試薬とともにインキュベートし、NanoDLR™ アッ セイを行う前に蛍光を測定することにより、NanoDLR™ に細胞生存率測定を追加したマ ルチプレックスアッセイ実施した。この時点での CellTiter-Fluor™ 測定では高濃度のフェ ナントロリンで若干の毒性を示した。エラーバーは 6 回反復実験の SEM を表す。 13950MA Log10 [Phenanthroline] (M) HRE-luc2P HIF1A-Nluc HRE-luc2P HIF1A-Nluc CellTiter-Fluor HRE-luc2P HIF1A-Nluc A.RLU –7 –6 –5 –4 1,000,000 100,000 10,000 Log10 [Phenanthroline] (M) C. –7 –6 –5 –4 10 1 Time (hours) B. Fold Response Fold Response (log scale) 0 2 4 6 8 15 10 0 5 図 3. 同一サンプルより得られた細胞生存性、抗酸化応答性(ARE)および熱ショック 応答性(HSE)の測定 HepG2 に pNL[NlucP/ARE/Hygro]および pGL4.41[luc2P/HSE]をトランスフェクションし、 tBHQ で処理した。O/N インキュベーションした後、CellTiter-Fluor™ Cell Viability Assayで 細胞生存性を測定した後、さらに HSE および ARE 応答性を NanoDLR™ Assayで測定した。 ・レポーターアッセイってなになになーに ? ・ トランスフェクションってなになになーに ? ・ 細胞認証ってなになになーに ? ・ 細胞生存性アッセイってなになになーに ? ・ NanoLuc ってなになになーに ? 最新号 ルミノメーターってなになになーに ? mRNA AUCGAUCG mRNA AUCGAUCG と 遺伝子はプロモーターやシグナル応答配列などの「転写調節領域」によって転写量が調節されているよ。 転写量の調節を測定することは、外からの刺激に細胞がどう反応するか調べることにもなるよ。 レポーターアッセイは、これを簡単に正確に測定できる優れた方法だよ。 こんにちは、ほたるんさんエビビンさん。 先日、指導教官から、 遺伝子 Xのプロモーター活性を、 レポーターアッセイで調べなさい、 と言われました。 レポーターアッセイって何ですか? X X X タンパク質 ふやす or へらす タンパク質 ルシ ルシ ルシ ふやす or へらす ● 数分~10 分くらいで測れるよ! ● すっごく感度が良くて、しかも簡単だよ! ● 同じやり方で、どんな種類の 転写調節領域の活性も 調べることができるよ! ルシフェラーゼが出す光を 測定するよ! ルシフェラーゼアッセイ ● 簡単な準備で様々な遺伝子 の mRNA を定量できるよ ● でも塩基配列の違いで定量 結果に差や偏りが出ること があるよ mRNA 量を測るよ! 定量 PCR なになになーに? ほたるん エビビン プロ メガ子より ● トランスフェクションしなく ていいよ ● でも検出感度は抗体の性能 によって変わってしまうよ タンパク質を測るよ! ウエスタンブロッティング レポーターアッセイって ルシフェラーゼは 光を発生する タンパク質だよ 遺伝子の産物の量を測れば 転写活性がわかるけど… レポーターアッセイは遺伝子 X のかわりに、 測定が簡単なルシフェラーゼの遺伝子を使うんだよ! Q A 転写調節領域 遺伝子 X 転写調節領域 ルシフェラーゼ遺伝子 NEXT PAGE だけど 準備が必要だよ! 遺伝子の発現がどれくらい活発かを、数値化する方法だよ! プロメガ株式会社 レポーター実験を始めたい方は “なになになーに”が超おすすめ! www.promega.co.jp/naninani/ 上記以外のルシフェラーゼ レポーターベクターについては こちらの選択ガイドを ご覧ください。 と なになになーに? ほたるん エビビン ルミノメーターって Vol.6 こんにちは、ほたるんさんエビビンさん。 うちの先生がついに 96/384ウェルプレート対応のプレート リーダーを買うことに! ひゃっほーい! 最強最高のルミノメーターを選ぶよう 言われたので、選び方のコツを教えてください。 Q プロ メガ子より 機器選びってワクワクするよね! ルミノメーターにもいろんな機種があって迷っちゃうけど、 この 2 点を押さえれば失敗しないよ! あと、シンプルで誰でも使いこなせることも大事だね! A ダイナミックレンジとクロストークに注目しよう! ダイナミックレンジとは クロストークとは 検出できる最も弱い発光と最も強い発光の差の幅のこ とだよ! ダイナミックレンジが広いとシグナルの強さが バラバラのサンプルでも同じプレートで測定できるよ! ダイナミックレンジ 広いとき … 設定を変えずにそのまま測定できる 狭いとき … 強く光るサンプルはサチるし、弱い発光は検出でき ないね。サンプル濃度を調整してやり直しだよ… 発光アッセイしたときに、強く光るウェルから周りの ウェルに光が漏れ込んでしまうことだよ! まわりの ウェルからの光をシャットアウトするしくみは正確な測 定に絶対必要だよ! 実験を機器の検出限界に合わせ ないで済めば、時間やサンプル、 試薬の節約になるんだ! この 2 つのハードルを 軽やかにクリアした 最優秀機種とは!? すごく 光るサンプル 隣のウェル から漏れこむ光 マルチウェルプレート断面図 水 サンプル 検出器 わずかに 光るサンプル ただの水から 発光値!? プロメガ株式会社 5Promega KAWARABAN 細胞内タンパク質間相互作用検出 (BRET アッセイ) タンパク質間相互作用:NanoBRET™ システム構築の実際 (CRAF-BRAF 相互作用モデル) 概要 • がんに関与する CRAF および BRAF の NanoBRET™ タンパク質相互作用アッセイを構築 • タグの配置をはじめとする最適化の重要性 • 同じコンストラクトで細胞内 BRET に加えプルダウン発光検出も可能 はじめに BRAF および CRAF のヘテロ二量体化は、Ras-Raf-MAPK 経路の活性化 およびシグナル伝達をもたらし、発癌性に関わることから癌分野で広く 研究されてきました。特異的な BRAF 変異は、下流の MEK/ERK シグナ ル伝達の恒常的な活性化を引き起こすため、二量体化に影響を及ぼす BRAF 阻害剤は癌治療に向けた臨床的関連性が示されています。細胞 ベースの RAF キナーゼの 2 量体化アッセイは、GDC-0879 などの化合物 の作用機序を理解することやこの相互作用を調節する化合物の同定に 有用なツールになると考えられます。 細胞ベースのタンパク質相互作用研究のためのアプローチの 1 つとして 生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)法は極めて有用です。NanoBRET™ PPI アッセイでは BRET エネルギードナーとして NanoLuc® ルシフェラー ゼを、蛍光 HaloTag® NanoBRET™ 618 Ligand(カタログ番号 G9801)で 標識した HaloTag® タンパク質をエネルギーアクセプターとして生細胞に おけるタンパク質相互作用を測定します。明るく青色シフトした NanoLuc® ドナーシグナルと赤色シフトした HaloTag® アクセプターシグ ナルは、スペクトルの重複を最小限に抑えた最適化されたペアとして、 従来の BRET アッセイに比べて高いシグナル / バックグラウンド比を示 します。目的のタンパク質は NanoLuc® ドナーまたは HaloTag® アクセプ ターでそれぞれ N 末端、C 末端の組合わせでタグ付けを行い、最良の 組合わせ(4 種のバリアントと8 種類のドナー / アクセプターの組合わせ) を見つけることにより最高のアッセイ性能が引き出されます。(8クローン セット作成受託については次ページ参照) ここでは、CRAFと BRAF タンパク質の相互作用をモニターする NanoBRET™ PPI アッセイの構築について説明します。GDC-0879 の存在下および非 存在下で、可能性のあるすべてのドナー / アクセプターの組み合わせを 体系的にスクリーニングしました。また、トランスフェクションにおけ るドナーとアクセプターベクターの比率を最適化し、HaloTag® プルダ ウンアッセイを用いて相互作用を検証しました。今回、2 つの細胞株、 ヒト胎児腎臓細胞(HEK293)と KRAS 遺伝子に変異があり、癌モデル として阻害剤研究にも使われるヒト結腸がん細胞(HCT116)で相互作用 アッセイをテストしました。 タグ配置の最適化 CRAF-BRAF タンパク質相互作用について BRET ドナーおよびアクセプ ターの最適な組合わせを決定するために、8 つのプラスミドの組合わせ を HCT116 細胞および HEK293 細胞でテストしました。タグの配置 および実験方法は、NanoBRET™ Protein:Protein Interaction のマニュア ル(TM439)に従いました。FuGENE® HD トランスフェクション試薬 (カタログ番号 E2311)を用いて HCT116 および HEK293 細胞へ 1:10 (1 µg:10 µg)のドナー / アクセプター比でベクターをコトランスフェクト しました。 HaloTag® NanoBRET 618 Ligand を含む、または含まない条件(コントロー ル)で 96 ウェルプレートに細胞を播種しました。CRAF-BRAF 相互作用 を誘導するために、細胞のサブセットを GDC-0879 10 µM で 2 時間処 理しました。NanoBRET™ NanoGlo® 基質(カタログ番号 N1571)を添加 し、処理細胞および未処理細胞の両方についてドナーおよびアクセプ ターシグナルを GloMax® Discover(カタログ番号 GM3000)で測定しま した。最良のアッセイウィンドウを得るために、NanoBRET™ シグナル を HaloTag® NanoBRET 618 Ligand を未添加のウェルに対して標準化しま した。シグナルの倍率変化を処理細胞と未処理細胞との間で決定して、 理想的なタグ配置を決定しました。 図 1. NanoBRET™ および HaloTag® Mammalian Pull-down System 変法の概要 HaloTag® および NanoLuc® 融合コンストラクトを細胞にコトランスフェクションし、細胞 を溶解。HaloTag® 融合タンパク質は HaloLink™ Resin 上に固定され、TEV プロテアーゼ で切断して溶出。共精製された NanoLuc® ルシフェラーゼタンパク質を定量 HaloTag® fusion construct A HT NanoLuc® fusion construct B NL A HT B A HT B HaloLink™ Resin A HT B HaloLink™ Resin A B A B HT トランジェントまたは ステイブルトランスフェクションにより 両発現ベクターを導入 HaloTag® およびNanoLuc® 融合タンパク質の 発現および複合体の形成 NanoBRET™ 測定のために HaloTag® NanoBRET™ 618 Ligand および NanoBRET™ Nano-Glo® Substrateを添加 GloMax® Discover でNanoBRET™および発光測定 細胞溶解、ホモジナイズし、HaloTag® を介して タンパク質複合体をHaloLink™ Resin で捕捉 レジンを洗浄した後に TEV プロテアーゼで溶出 NanoLuc® ルシフェラーゼを測定するために Nano-Glo® Luciferase Assay Reagent を添加 TEV Protease + Substrate+ 図 2. タグ配置の最適化 8 つのプラスミドの組合わせから NanoBRET™ 比率と倍率変化を求めた。CRAF または BRAF の N 末端または C 末端に NanoLuc® (NL)または HaloTag® (HT)を融合させ HCT116(パネル A)または HEK293(パネル B)にドナー / アクセプター DNA 比 1:10 で コトランスフェクションし、GDC-0879 化合物 10 µM 有無で処理した。 15320MA NanoBRET™ Ratio (mBU) Fold Change CRAF-HT BRAF-NL CRAF-HT NL-BRAF HT-CRAF BRAF-NL HT-CRAF NL-BRAF HT-BRAF NL-CRAF HT-BRAF CRAF-NL BRAF-HT CRAF-NL BRAF-HT NL-CRAF 100 80 60 40 0 20 8 6 4 2 0 B. With GDC-0879 NanoBRET™ Ratio (mBU) Fold Change CRAF-HT BRAF-NL CRAF-HT NL-BRAF HT-CRAF BRAF-NL HT-CRAF NL-BRAF HT-BRAF NL-CRAF HT-BRAF CRAF-NL BRAF-HT CRAF-NL BRAF-HT NL-CRAF 120 100 80 60 40 0 20 5 6 4 3 2 1 0 Without GDC-0879 Fold Change A. Vector Combinations Vector Combinations 6 トランスフェクションの最適化 BRAF-NanoLuc® および CRAP-HaloTag® ベクターをドナー / アクセプター 比 1:1、1:10、1:100 および 1:1,000 で HCT116 および HEK293 細胞 にコトランスフェクトしました。タグ配置の最適化において、GDC-0879 処理(10 µM)または未処理のサンプルを GloMax® Discoverで測定しま した。各ベクター比について処理または未処理サンプル間の倍率変化 を算出しました。 GDC-0879 用量反応曲線 CRAF-BRAF 相互作用の誘導を測定するために、CRAF-HaloTag® および BRAF-NanoLuc® ベクターを HCT116 および HEK293 細胞にコトランス フェクションし、GDC-0879 化合物で処理して用量反応曲線を作成しま した。細胞をドナー / アクセプター比 1:1 または 1:10 でコトランスフェ クションし、細胞を 0.001 µM ~ 10 µM の濃度幅の GDC-0879 化合物で 2 時間処理しました。NanoBRET™ の測定およびシグナルの補正は前述 と同様に行いました。 HaloTag® プルダウンアッセイ CRAF、BRAF タンパク質相互作用を検証するために、HaloTag® Mammalian Pull-Down assay(カタログ番号 G6509)(図 1)の変法を用いた後に、 生物発光で検出しました(Steffen and Méndez-Johnson 2019, tpub_206)。 HCT116 細胞に選択された HaloTag® および NanoLuc® 融合ベクターを ドナー / アクセプター比 1:1 でコトランスフェクションし、細胞を濃度 0、 1 µM または 10 µM の GDC-0879 で処理しました。HaloTag® 融合タンパ ク質を含む細胞溶解を HaloLink™ Resin(カタログ番号 G1912)ととも にインキュベーションした後、ProTEV Plus(カタログ番号 V6101)で消 化しました。共精製された NanoLuc® 融合タンパク質のシグナルを Nano-Glo® Luciferase Assay(カタログ番号 N1110)を用いて検出しました。 結果 GDC-0879 阻害剤存在下で HCT116 および HEK293 でそれぞれ 8 種類 のベクターの組合わせをテストした結果、最高の NanoBRET™ シグナル が得られた組合わせは細胞種により異なり、図 2 で矢印により示しまし た。しかし、阻害剤の処理の有無で最大の倍率変化を示したベクター の組合わせは、最も高いシグナルが得られた組合わせとは異なるという 点は重要です。特異的な CRAF-BRAF 相互作用は化合物で処理した場合 に起こるため、基底レベルが最も低い NanoLuc® と HaloTag® 融合体の 組合わせである CRAF-HaloTag(CRAF-HT C 末端融合体)と BRAF-NanoLuc (BRAF-NL C 末端融合体)が化合物処理により最大の倍率変化と最良 のアッセイウインドウを示しました。このため以降の実験では CRAF-HT および BRAF-NL の組合わせを使用しました。 未結合のドナー量を最小限に抑え、NanoBRET™ シグナルのダイナミッ クレンジを最大にするために、コトランスフェクションするドナーとアク セプターベクター比率を最適化しました。細胞の一部は GDC-0879 で 相互作用を誘導しました。最大の倍率変化が得られたドナー / アクセプ ター比は 1:1 でした(図 3)。 CRAF と BRAF のヘテロ二量体化における GDC-0879 の影響を調べるた めに、様々な濃度の化合物で NanoBRET™ 実験を行いました。図 4 で はベクター比 1:1 および 1:10 での用量反応曲線を示しています。先の 実験と同様に最大のダイナミックレンジはベクター比 1:1 で得られ、同 様の反応が両細胞株で観察されました。これらのデータは、最も効率 的な NanoBRET™ アッセイを行うためにはタグの位置とベクター比の両 方を最適化する必要があることを示していました。さらに、最適化され た NanoBRET™ PPI Assay は、化合物モジュレーターに対して反応する タンパク質相互作用を高感度に検出できる方法であることを示しました。 最後に CRAF-BRAF の相互作用を確認するために、HaloTag® および NanoLuc® タンパク質ならではの利点を利用し、HaloTag® Mammalian Pull-Down の変法および NanoLuc® 融合体の検出を行いました。HCT116 細胞は二量体化を促進させるために様々な濃度の阻害剤で処理しまし た。タンパク質をプルダウンし、切断した後、Nano-Glo® Luciferase Assay を用いて CRAF-HT とともに共精製された BRAF-NL を検出しまし た。ルシフェラーゼのシグナルは HaloTag® コントロールベクターと比較 しました。GDC-0879 を添加しない場合 HaloTag® ベクターコントロール と比べ約 10 倍の BRAF が観察されました(図 5)。GDC-0879 濃度の増 加とともに、BRAF の濃縮倍率も上昇しました。これらのデータは、 NanoBRET™ アッセイで測定されたエネルギー転移の結果が BRAF-NL および CRAF-HT 融合タンパク質間の物理的な相互作用によるものであ ることを裏付けました。 まとめ CRAF-BRAF 相互作用を用いて構築された NanoBRET™ タンパク質間相互 作用アッセイを紹介しました。誘導剤や阻害剤の存在下で、タグの位置 やベクターのコトランスフェクション比率の受容性を示しました。同じ 融合体セット CRAF-HT と BRAF-NL が HTC116 と HEK293 の両細胞で最 も高い倍率変化を示していたことは特筆すべき結果でした。さらに、 GDC-0879 用量依存的にヘテロ二量体化が促進されることを示しまし た。NanoBRET™ テ クノロ ジ ー の もう 1 つ の ユ ニー ク な 特 長 は、 HaloTag® および NanoLuc® が高い応用性を有しており、CRAF-BRAF の エネルギー転移が 2 つのタンパク質間の物理的な相互作用によるもの であることを検証するために HaloTag® プルダウンの変法および NanoLuc® 定量法を利用できることです。 製品名 サイズ カタログ 番号 価格(¥) 特別価格 * (¥) NanoBRET™ 検出試薬 + 空ベクターセット NanoBRET™ PPI MCS Starter System 1 セット N1811 180,000 126,000 NanoBRET™ PPI Flexi® Starter System 1 セット N1821 150,000 105,000 NanoBRET™ アッセイ試薬 NanoBRET™ Nano-Glo® Substrate 50 µl N1571 52,000 36,400 HaloTag® NanoBRET™ 618 Ligand 20 µl G9801 55,000 38,500 プルダウン関連試薬 HaloTag® Complete Pull-Down System 1 セット G6509 175,000 122,500 HaloLink™ Resin 5 ml G1912 35,000 24,500 ProTEV Plus 1000 u V6101 24,500 17,150 Nano-Glo® Luciferase Assay 10 ml N1110 24,000 16,800 *2019 年 8 月 23 日受注分まで 図 5. BRAF-NL の HaloTag® プルダウン 0, 1 µM または 10 µM GDC0879 の存在下で CRAF-HT お よ び BRAF-NL を共発現する HCT116 細胞での NanoLuc® ルシフェラーゼ活性の濃縮倍率 (n = 3)。 15323MA Fold Enrichment 1,000 10,000 100,000 100 10 1 No Drug 1µM 10µM [GDC-0879] クローンを作製する時間が無いという方に朗報です! NanoBRET™ に利用できる 8 クローンの作製受託サービスも 承っています。詳細については www.promega.co.jp/pdf/nanoppi_construction_kgt.pdf をご覧ください。 (settled resin 1.25 ml) 図 3. ベクター比率の最適化 NanoBRET™ 比率と倍率変化 は CRAF-HaloTag® と BRAFNanoLuc® プラスミドを比率を 変えて(ドナー / アクセプター 1: 1, 1:10, 1:100 または 1:1,000) HCT116 にコトランスフェク ションした[10 µM GDC-0879 処理(+ / -)](n = 4)。 15321MA NanoBRET™ Ratio (mBu) Fold Change 1:1 1:10 1:100 1:1000 25 20 35 30 40 15 10 5 0 10 8 12 6 4 2 0 B. With GDC-0879 NanoBRET™ Ratio (mBu) Fold Change 1:1 1:10 1:100 1:1000 60 50 70 40 30 20 0 10 6 5 4 7 3 2 1 0 Without GDC-0879 Fold Change A. Donor-to-Acceptor Vector Ratio Donor-to-Acceptor Vector Ratio 図 4. GDC-0879 用量反応曲線 様々な濃度の GDC-0879 化合 物 で NanoBRET™ CRAF-BRAF 相互作用シグナルの倍率変化 を示す。HCT116 細胞へドナー / アクセプターを DNA 比率 1:1 または 1:10 でコトランスフェ クションし、表示濃度の GDC0879 で処理した(n = 4)。 15322MA Fold Change 0.001 0.01 0.1 1 10 10 14 12 16 8 6 4 0 2 B. Log10 [GDC-0879] (µM) Fold Change 0.001 0.01 0.1 1 10 10 12 8 6 4 0 2 1:1 Ratio 1:10 Ratio A. Log10 [GDC-0879] (µM) 7Promega KAWARABAN 図 3. 従来の安定発現細胞株と QuEstHAC™Cell の比較 図 2. HAC への目的遺伝子の部位特異的組換え プレートリーダー 貸出サービス & オンサイトセミナー RentaMAX & オンサイトセミナー 直観操作 & プリインストールされたプロトコル GloMax は直観的な操作が可能なプレートリーダーで、多くのプロメガアッセイプロトコルが プリインストール済みなので、誰でも簡単に操作することができます。 試薬 / 機器の両面からのサポート アッセイ法の選択、ベクターの構築・受託のご相 談から機器による検出までフルサポート・コンサ ルティングを行います。 – 簡便で高感度な発光アッセイを試してみたい方に – 発色法の細胞生存・毒性試験を行っている方に – レポーターアッセイを一から始めたい方に みなさまの研究室に出向いてプロメガテク ノロジー、アプリケーションに関するセミ ナーを行います。 GloMax® の機能紹介 機能 アプリケーション 発光 レポーター & 各種アッセイ 蛍光 BRET、FRET、GFP & 各種アッセイ 吸光 ELISA、タンパク質定量 マルチプレックス 2 項目以上を同一プレートで 測定 リアルタイム カイネティクス & ループ プロトコル フォーマット チューブ形式 / マルチウェル(6-384)形式 詳細、お申込みについては www.promega.co.jp/ rentamax/ その他のセミナータイトル およびお申込みについては www.promega.co.jp/ onsite_seminar/ RentaMAX:GloMax® プレートリーダーを無料でお貸しします! (貸出期間はご利用になるプロメガ試薬量などにより異なります。) もちろん無料 シグナルの強さがヒートマップで一目瞭然! テクニカルサービス ● Tel. 03-3669-7980 / Fax. 03-3669-7982 ● E-Mail : prometec@jp.promega.com PK1904-01B 販売店 日本語 Web site:www.promega.jp プロメガ株式会社 本   社 〒103-0011 東京都中央区日本橋大伝馬町14-15 マツモトビル Tel. 03-3669-7981/Fax. 03-3669-7982 大阪事務所 〒532-0011 大阪市淀川区西中島6-8-8 花原第8ビル704号室 Tel. 06-6390-7051/Fax. 06-6390-7052 ※製品の仕様、価格については2019年4月現在のものであり予告なしに変更することがあります。 RentaMAXの流れ ④ 機器の到着 レンタル開始 ⑥ 機器の返送 レンタル終了 ⑤ 機器を用いた実験 ① お問合せ 専用フォームよりご希望の 機器、実験内容をお知らせ [10 分程度] ③ お客様によるサンプルの準備 クローニング、細胞培養など [~ 1ヶ月程度] ② お打合せ 機器、試薬、期間の選択 [1 時間程度] オンサイトセミナー: 2019 セミナーメニューからのおすすめ • ルミノメーターだけでできる!アッセイ概論 • 高次元細胞実験~ 3 次元培養、リアルタイム解析、 長時間モニタリングへの応用 • 抗体医薬品開発における発光技術の応用 全 20 種類のセミナータイトルをご用意しています。