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テックの一言コラム_2015年10月号 これから創薬を始める方へ ~ 測定時間とシグナル ~

これから創薬を始める方へ[Vol. 5] ~ 測定時間とシグナル ~ 2015 年10 月号 測定装置の測定時間をどのように設定されていますか。 Non-RI 測定法のなかで一般的な吸収度、蛍光、発光を比較する と、発光法が一番測定に時間がかかるという印象を持たれてい ませんか。 発光測定の場合、多くの測定装置ではフォトンカウンティングを 行っており、この場合、測定値 N に対し、SD は √N、CV% は 100/ √N で得られます。たとえば 1 秒測定して400 count、400 cps(count per second)であれば、SD=20, CV=5% となりますが、 0.25 秒測定では、100 count, 400 cps、SD=10 CV=10% となり、 400 cps のサンプルの場合は測定時間を 1/4 にすると CV が 2 倍と なります。 この考えを利用 して、アッセイの S/B が 3 とした 場 合、Signal が 100 あ る い は 1,000 の 場 合 の SD、Background に対する SD お よびそこから得られる Z’をシミュレーション しました(Table 1)。 さらに、さまざまな Signal に対して計算される Z’を グラフに示してみました (Fig 1)。比較対照として、 CV% が 5% および 10% で 固定した場合を、各点線 で示しました。5% は cell free 系、10% は cell base 系と見立てています。アッ セイのばらつき CV が 10% の場合、シグナルが 150 を超えた時点で、いくら 測定を長くしてカウントを 稼いでも、アッセイのばら つきの影響が大きく、Z’ は 0.4 を超えることはあり ません。また、アッセイ CV 5% の場合は、シグナ ルが 600 を超えた当たり から Z’は 0.7 をこえるこ とはありません。 同様に、S/B が 10 の場合 も考えました(Fig 2)。や はり 150 および 500 を超 えたあたりで同様の現象 が見られます。 ここから推察すると、アッセイ CV% が 5% の場合は、600 カウン ト程度、CV% が 10% の場合は、150 カウント程度でよいことに なります。仮に 1,000 cps のサンプルの場合、計算上 0.6 秒ある いは 0.2 秒で充分であることになります。 しかし、実際はアッセイのばらつきと測定のばらつきは独立して いませんし、装置には固有のノイズ等がありますので、こんなに 単純にはいきません。 また、発光測定装置は一般的に RLU という単位が多用されてお り、実際の単位は cps なのか、count なのか、あるいは別の単位 かもしれません。そこで、デフォルトでの 1 秒測定が遅いと感じ られましたら、一度ご自分のアッセイ系で、1 秒、0.5 秒、0.2 秒 測定を行い、アッセイ系固有の Z’を算出して、時間を短くする ことも一法です。 今回、ばらつきを 考えましたので、 もう一題。Z’は阻 害剤探しのように 0 – 100 が決まって いる場合はよいの ですが、増強を見 るばあいに、どの くらいの増強から 有効かを考えてみ ます。Fig 3 は、コン トロールよりもど のくらい増強した ら、Z’がどのよう になるか変化を示しています。この場合、コントロールよりも明 らかに高いかを示すのであれば、Z’=0 でよいのかもしれません。 仮に Z’=0.5 で見た場合、アッセイの CV 5% の場合は、90%(1.9 倍) 程度の増加から明らかに見分けることができますが、アッセイ CV 10% の場合は、300% 程度の増加(およそ 4 倍)が必要です。エン ハンサー探索の場合、どの程度の増強を期待するのか、またそ の期待を検出するに十分なアッセイ系であるか知る必要がありま す。もちろん、ここでは十分なシグナルがあるという前提で計算 をしています。 繰り返しますが、構築するあるいは構築したアッセイ系で大量に サンプルをかけるまえに、系の理解が必要です。(なおこれらの シミュレーションでは、データのばらつきはすべて単純な正規分 布に従うという前提で行っています。) テクニカルの ひ こ と と コラム 0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 0% 50% 100% 150% 200% 250% 300% 350% 400% Z’ % of increase 2.5% 5% 8% 10% Assay CV% Fig. 4 ; enhancer screening Fig 3 ; enhancer screening 0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 100 1,000 10,000 Z’ Signal count Fig. 3 ; S/B =10 CV% = 10% CV% = 5% Fig 2 ; S/B = 10 0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 100 1,000 10,000 Z’ Signal count Fig. 2 ; S/B =3 カウントのばらつき アッセイのばらつき アッセイのばらつき CV% = 10% CV% = 5% Fig 1 ; S/B = 3 Table 1;S/N = 3 の場合の Signal からのシュミレーション Signal 100 1,000 S Signal SD 10 32 SDS = √S BK 33 333 B = S/3 BK SD 6 18 SDB = √B Z’ 0.29 0.78 = (S-3SDS )-(B+3SDB ) S-B テクニカルサービス Tel. 03-3669-7980/Fax. 03-3669-7982 E-Mail : prometec@jp.promega.com プロメガ株式会社 本 社 〒103-0011 東京都中央区日本橋大伝馬町14-15 マツモトビル Tel. 03-3669-7981/Fax. 03-3669-7982