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テックの一言コラム_2015年12月号 これから創薬を始める方へ ~ バイオアッセイを支えるレポーターアッセイ ~

の発現誘導を介して起こることが分かっていました。そこで ADCC Reporter Bioassay ではターゲット細胞死ではなくレポー ターを利用してこの NFAT シグナル経路活性化を検出することに より、バックグラウンドを低レベルに抑えています。また不安定 な NK 細胞ではなく安定なレポーター組換え細胞(Jurkat)をエ フェクターとして使用することでアッセイ系の安定化に成功した のです。現在では抗体医薬品の開発から品質管理まで広く使用 されています。 ② 炎症反応検出アッセイ(皮膚感作性試験) 新規化学物質が次々開発されていく現代において、化合物の安 全性評価は欠かせません。これまで化合物安全性は主にモル モットやマウスを用いた動物実験によって評価されてきました が、近年の動物実験縮小・廃止の流れを受け、in vitro 試験での 代替法ニーズが高まっています。その中で皮膚感作性について はレポーターアッセイを利用した in vitro 試験法が確立され、EU で最初に公定法として導入されました。このアッセイは多くの皮 膚感作性物質が抗酸化剤応答配列 ARE(Antioxidant response element)によって制御される遺伝子の発現を誘導することを利 用しています。皮膚細胞(ケラチノサイト)における ARE シグナ ル経路活性化をレポーターで検出することにより、動物実験を 行うことなく皮膚感作性物質が評価できるようになったのです。 安全性試験の分野ではこの他にも in vitro 催奇形性試験が開発 されています。これまで複雑かつ時間のかかる動物実験だった この試験を、Hand1 遺伝子の発現誘導をレポーターで検出する ことにより簡便化、in vitro 化しています。特にこのアッセイ系で は細胞数を同時に蛍光計数するデュアルアッセイにより、高い 再現性や信頼性を実現しています。 ここで紹介したのはごく一部の例にすぎません。これまでの基 礎研究で積み重ねられたデータと、高感度・簡便・高信頼性の レポーターアッセイを組合せることで、今後も多くのアッセイが 開発されることを期待しています。 アイデア実現にお悩みの方、お気軽にご相談ください。 + Transduction Degradation Unstressed Cell Keap1 Nrf2 Keap1 Nrf2 Nrf2 Nrf2 Keap1 Ub Ub Ub Ub Ub ARE Luciferase 図 2 皮膚感作性物質評価試験 皮膚感作性物質 ストレスなし ルシフェラーゼ 発現 これから創薬を始める方へ[Vol. 7] ~ バイオアッセイを支えるレポーターアッセイ ~ 2015 年12 月号 レポーターアッセイと言えばどんなアッセイをイメージしますか ? ほとんどの方はプロモーター解析を挙げると思います。それく らいレポーターアッセイはプロモーター解析手法として、またプ ロモーター解析から派生したシグナル応答配列の解析手法とし て広く使用されてきました。そのおかげで現在では哺乳動物、 とくにヒト、マウスのプロモーター解析が進み、主なシグナル経 路の応答配列が解明されています。 プロモーター解析が済んでしまったら、レポーターアッセイはも う使えないのでしょうか ? そんなことはありません。プロモー ター活性以外にも、レポーター融合タンパク質を利用したタン パク質安定性アッセイやレポーター発現細胞を使った in vivo イ メージングなど、タンパク質や細胞の存在を示すレポーターとし ても広く使用されるようになりました。その中でもシグナル経路 活性化センサーとしてレポーターアッセイを利用するバイオアッ セイが次々と開発され、サイトカインなどの生理活性物質や抗体 医薬品の効果、また炎症反応を起こす化合物やダイオキシンな どの生体に影響を与える物質の検出、評価に使用されています。 ここではレポーターアッセイ利用の例として、① ADCC アッセイ、 ②炎症反応検出アッセイ(皮膚感作性試験)をご紹介します。 ① ADCC アッセイ 抗体 医 薬 品 評 価 法 の 一つに Antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity(ADCC)アッセイがあります。これまで抗体の ADCC 活性の有無や力価を調べるアッセイは非常に煩雑かつ結果が不 安定であったため、ADCC 活性を抗体医薬品の作用として評価 できないという問題がありました。この点を克服すべく開発され た新たな ADCC Reporter Bioassay により、アッセイの簡便化と再 現性向上が実現し、実際の抗体医薬品評価に使用できるように なりました。 従来法では①初代 NK 細胞(PBMC など)をエフェクター細胞と して使用し、②エフェクター細胞が惹起したターゲット細胞死を 検出しており、問題点はターゲット細胞死だけでなくエフェク ター細胞死も検出してしまうためバックグラウンドが高いこと、 および初代 NK 細胞の活性が不安定なことでした。これまでの 研究結果から、ADCC において抗体によるエフェクター細胞活性 化が NFAT(Nuclear factor of activated T-cells)配列を持つ遺伝子 テクニカルの ひ こ と と コラム 図 1 ADCC 従来法とレポーター法の比較の図 組換え Jurkat細胞 抗体 抗体 FcγRIIIa (V158) = NFAT-RE-luc 抗原 ターゲット細胞 初代 NK細胞 FcγRIIIa ターゲット細胞 組換え Jurkat細胞 抗体 抗体 FcγRIIIa (V158) = NFAT-RE-luc 抗原 ターゲット細胞 初代 NK細胞 FcγRIIIa ターゲット細胞 ターゲット細胞への細胞障害活性を検出 ▶ 自然死した細胞に由来する 高いバックグラウンド エフェクター細胞の 応答(発光シグナル)を検出 ▶ 低バックグラウンド ADCC Reporter Bioassay 従来法 テクニカルサービス Tel. 03-3669-7980/Fax. 03-3669-7982 E-Mail : prometec@jp.promega.com プロメガ株式会社 本 社 〒103-0011 東京都中央区日本橋大伝馬町14-15 マツモトビル Tel. 03-3669-7981/Fax. 03-3669-7982