1. HOME
  2. 全件表示
  3. 発光レポーターガイド

発光レポーターガイド

セルベースアッセイ

発光レポーターガイド

最新のNanoLuc® ルシフェラーゼを用いたデュアルアッセイやHaloTag® を併用したBRETなど新たな発光アプリケーションや実験の手順などを説明

日本語(PDF)(2019/06改訂) オンライン閲覧
日本語 印刷物請求

発光レポーターガイド 最新のレポーターテクノロジーとアプリケーション 最新鋭 NanoLuc® ルシフェラーゼが広げるレポーターの可能性! 第1 章 レポーターアッセイとテクノロジー ● これまでとこれからのレポーター …………………………………………………………2 ● 最新鋭レポーター ̶ NanoLuc® ルシフェラーゼ ̶ ……………………………………4 ● デュアルレポーター & マルチアッセイ …………………………………………………6 ● リアルタイムアッセイ …………………………………………………………………………………8 第2 章 レポーターアッセイでできること ● シグナルパスウェイ解析 ………………………………………………………………………… 10 ● タンパク質間相互作用(PPI 解析) ………………………………………………………… 12 ● プロモーター解析 …………………………………………………………………………………… 14 ● 核内受容体解析 ……………………………………………………………………………………… 14 ● タンパク質安定性解析 …………………………………………………………………………… 15 ● RNA 干渉解析 …………………………………………………………………………………………… 16 ● in vivo イメージング & ウイルスのマーキング …………………………………… 17 第3 章 レポーターアッセイ試薬 & レポーターベクター ● レポーター実験の流れ …………………………………………………………………………… 18 ● アッセイ/ 検出試薬 ………………………………………………………………………………… 20 ● レポーターベクター・クローン・細胞 ………………………………………………… 26 ● 関連製品(トランスフェクション・マルチアッセイ・ルミノメーター) …… 30 第1章 レポーターアッセイとテクノロジー もっと明るく レポーターの進化1 最新鋭レポーター ̶ NanoLuc® ルシフェラーゼ ̶ これまで発光酵素ルシフェラーゼは感度の高さからレポーター酵素で最も汎用されるようになりました。プロメガではさらに生命科学に有効なツールとして高感度であると同時に分子量も小さい NanoLuc® を開発しました。 NanoLuc®(Nluc)は深海エビ(トゲオキヒオドシエビ[Oplophorus gracilirostris])由来のルシフェラーゼで、発光レポーターとして最適なパフォーマンスを発揮するために改変された分子量の小さな発光酵素(19 kDa)です。このルシフェラーゼはホタルやウミシイタケのものより約150倍明るく、高レベルの発光を長時間維持するための新規な基質 furimazine を用いて測定します。発光反応は ATP 非依存性で、最大の感度を得るためにバックグラウウンド発光が抑えられるようにデザインされています。分子量が小さく、強い発光を示す特性の利点は、応用可能なアプリケーションが広がると同時に少ない分子数(実際の生体内発現レベルと同等)で十分な発光シグナルが得られるため、より生体システムに近い細胞内環境で実験を行えることです。 NanoLuc® ルシフェラーゼ 明るいからイメージングにも最適! 細胞や動物個体での生物発光イメージングは NanoLuc® レポーターの明るさとバックグラウンドの低さが有効なアプリケーションの1 つで、高感度発光用顕微鏡があれば様々な生体内イベントを観察することができます。NanoLuc®でラベルされたウイルスの感染や腫瘍増殖などのイメージングにも利用されています。NanoLuc® レポーターは発光強度が高いため、露光時間を数秒にまで短縮できるので生物発光イメージングに利用する発光タグとして理想的です。また、分子量が小さいため、融合パートナーの正常な生体システムや機能性への影響を最低限に抑えることができます。 新しいアプリケーションへの応用 発光強度の高く、分子量の小さな NanoLuc® ルシフェラーゼはこれまでのレポーターアプリケーションに、これまでに無い感度を与えます。これまでは困難であった低発現レベル( 例:細胞の内在プロモーター、トランスフェクション効率の低い初代培養細胞)でも確実にシグナルを捉えることができます。また、分子量の小ささは従来のホタルルシフェラーゼの分子量の大きさが問題となる場合に有効です。例えば、ウイルスへのパッケージングや標的タンパク質と融合させイメージングやセンサーの作成を行う場合は分子量が小さいことが大きなメリットとなります。NanoLuc® は従来のレポーターアッセイのパフォーマンスを高めるだけでなく、その他の発光アプリケーション(タンパク質安定性の変動追跡、BRET によるタンパク質相互作用検出、in vivo イメージング)などを高感度に行うことができます。 もっと多くの情報を レポーターの進化2 デュアル レポーター&マルチアッセイ つのプレートの各ウェル内で複数マーカーを同時に測定するマルチアッセイは、データの精度を向上させることができると同時に時間や費用を節約することができます。現在、正確な生物学的情報を取得するために、レポーター活性に加えて生存性、アポトーシス、細胞毒性(ネクローシス)などのパラメータについての測定が行われています。これらのパラメータのいくつかを統合あるいは多重化してアッセイすることにより、1回の実験からより多くの情報を得ることができます。2 つの異なるレポーター酵素を測定するデュアル- ルシフェラーゼアッセイシステムはプロメガで開発され、分子生物学から細胞生物学における幅広い分野で利用されています。プロメガでは、これまでに蓄積された細胞ベースのアッセイ技術から同時多項目解析を可能にするマルチアッセイ技術の開発を行い、培養細胞を用いた優れたアッセイ系を提案しています。 レポーターアッセイを実施するに当たり、一般的にレポーター活性を異なるコンストラクトのベクターや処理条件で比較します。この場合、細胞数やトランスフェクション効率などの変動によってレポーターの発現量も変動する可能性があるため、レポーターデータを標準化する必要があります。レポーターデータの標準化には、総タンパク質含量、総 ATP含量や細胞数に対する補正やコントロールレポーターベクターに対する補正など様々な方法が用いられています。このうち、コントロールレポーターベクターによる補正はトランスフェクション効率とともに細胞数の補正も行えるため、一過性のトランスフェクションでアッセイする場合に最も有用な方法です。 もっとリアルタイムに レポーターの進化3 リアルタイムアッセイ 多くの細胞ベースのアッセイシステムは化合物添加後一定時間をおいたエンドポイントを測定する方式が汎用されていましたが、薬剤の濃度に加え時間のパラメーターを付加することにより細胞内イベントへの理解は飛躍的に高まります。一般的なルシフェラーゼアッセイはシグナルを得るために細胞を破壊して基質を加えていましたが、細胞のタンパク質分泌機構を利用してレポーター酵素を細胞外に放出させる手法やレポーター基質の細胞透過性を高める方法により継時的なアッセイが可能となりました。 第2章 レポーターアッセイでできること 生体内システムをしらべるための発光生物システムレポーター実験は、細胞内現象の変化を検出可能なシグナル(ルシフェラーゼ発光など)に変換し、検知するための実験方法です。通常、細胞内イベントの変化に応答してレポーターの転写活性を調節する配列( 例:プロモーター/エンハンサー、その他の転写因子結合配列など)をレポーター遺伝子に接続したベクターを細胞内に導入します。薬剤投与などの刺激により細胞内イベントが変化すると、それに応じてレポーター遺伝子が転写/ 翻訳されます。細胞内に蓄積されたレポータータンパク質は容易に定量することができます(右図参照)。ルシフェラーゼはバックグラウンドが低く高感度な測定ができ、操作がシンプルであるためレポーターとして理想的です。また、翻訳後修飾をともなわずに活性を持つため、より直接的に転写活性をシグナルに変換することができます。 タンパク質間相互作用(PPI 解析) タンパク質 ̶ タンパク質相互作用を調べる方法には、多くの手法があります。その中でも生細胞でのネイティブな状態での相互作用を検出する方法としてツーハイブリッド法および BRET 法があります。プロメガではこれらの手法をルシフェラーゼを用いたレポーターアッセイで、より簡便に、正確に、感度よくタンパク質間相互作用を測定するツールをご用意しております。 プロモーター解析 ルシフェラーゼアッセイを用いたプロモーター解析は転写制御の一般的な手法として、広範な分野で用いられています。ルシフェラーゼ遺伝子の上流に目的のプロモーターを挿入することにより、そのプロモーターの活性を解析することができます。目的プロモーターの欠損体および変異体を解析することにより、そのプロモーターで重要な働きをする領域および塩基を特定することができます。 RNA 干渉解析 siRNAやmicroRNA などのノンコーディング RNA の機能解析は転写調節、細胞の発生、分化、増殖、がん化およびアポトーシスなどの細胞機能解析において重要です。プロメガではこれらの RNA 干渉をルシフェラーゼアッセイにより解析するシステムをご用意しております。ルシフェラーゼの発光を利用することにより、GFP やフラッグ- タグなど、その他の融合法によるアプローチと較べ、より便利、迅速に感度の高い定量が行えます。psiCHECK™-1 および psiCHECK™-2 Vectors は、 RNA 干渉実験初期段階における最適化を定量的、迅速に行うためにデザインされています。標的遺伝子と融合されたレポーター遺伝子の発現変化をモニタリングします。両ベクターとも第1 レポーター遺伝子としてウミシイタケルシフェラーゼが利用されており、目的の遺伝子はマルチクローニング領域にクローニングします。目的遺伝子に対する合成 siRNA または in vivo で発現したshRNA による RNA 干渉機構が開始されると、標的遺伝子とつながるウミシイタケルシフェラーゼ遺伝子も切断、分解されます。これにともなうウミシイタケルシフェラーゼ活性の減少を測定することにより、簡便に RNA 干渉効果をモニタリングすることができます。RNA干渉に関連するベクターについては29 ページをご覧ください。 第3章 レポーターアッセイ試薬 & レポーターベクター ルシフェラーゼレポーターの測定またはイメージングルシフェラーゼ活性の検出方法には4つのタイプがあります。 (1)一般的なエンドポイントアッセイでは、細胞を溶解して内部のルシフェラーゼと基質が反応。 (2)リアルタイムアッセイでは、予め培地に加えられた基質が細胞内に透過し、細胞内でルシフェラーゼ発光反応が起る。細胞を破壊しないため、同じサンプルプレートを経時的に測定することで、ルシフェラーゼ発光をモニタリングすることができる。また他の細胞内マーカーアッセイシステムと組み合せたマルチアッセイも可能。 (3)Live Cell イメージングも同様に基質が細胞内に透過し、細胞内でルシフェラーゼ発光反応が起る。これを LV200 などの発光イメージングシステムで撮影する。(4)In Vivo イメージングでは、ルシフェラーゼ遺伝子を導入した細胞をマウスなどの動物個体に移植することで、がん細胞の転移や薬物の影響などを経時的に観察することができる。 デュアルアッセイ 〈エンドポイント〉 第3章 レポーターアッセイ試薬 & レポーターベ Dual-Glo™ Luciferase Assay System Dual-Luciferase® Reporter Assay System Fire Fly Renilla デュアルアッセイにより、実験用レポーターのデータをコントロールレポーターのデータで補正し、実験間のバラツキを低減することができます。Dual-Glo™ Luciferase Assay System および Dual-Luciferase® Reporter Assay System はホタルおよびウミシイタケルシフェラーゼ遺伝子を導入した哺乳動物細胞から得られる2 種類のルシフェラーゼ活性を、発光シグナルとして連続定量するための試薬です。Dual-Glo™ はシンプルなホモジニアスアッセイ方式(添加→測光)を採用しており、 培地の除去、細胞洗浄を行わずに試薬を加えるだけなので特に96、384 プレートを用いた多検体のアッセイに最適です。Dual-Luciferase® は細胞ライセートを調製する必要がありますが、Dual-Glo™ に比べ高い発光レベルを特長としています(各システムの発光値、発光半減期については20 ページ参照)。 シングルアッセイ 〈エンドポイント〉 ONE-Glo™ Luciferase Assay System は、より高感度、頑健に哺乳動物細胞で発現したルシフェラーゼを測定するためのホモジニアスアッセイシステムで、ハイスループット、ウルトラハイスループットアプリケーションに最適です。ONE-Glo™ Assay には新しく開発されたルシフェラーゼの基質が含まれているため、試薬の安定性、サンプルに含まれる成分に対する寛容性が向上しました。また、標準的なルシフェラーゼアッセイ試薬よりも硫黄臭が低減され、使いやすくなっています。これらの特長により、他のレポーターアッセイを多検体で行う際の不便さを低減することができ、発光パフォーマンスが確実に発揮されます。シングル- エンドポイントアッセイで最も使いやすいシステムです。Bright-Glo™ Reagent、Steady-Glo® Reagent は従来型のグロータイプのシングルルシフェラーゼアッセイシステムで、それぞれ発光強度(Bright-Glo™ Reagent は Steady-Glo® Reagent の約7 ~ 8 倍)、発光時間が異なります。 トランスフェクション試薬 ベクターを細胞内に導入するレポーター実験を行う上で、トランスフェクションは非常に重要なステップで、効率の高い試薬を用いることでベクター導入の困難な細胞でもレポーター実験を行うことが可能になる場合もあります。トランスフェクション試薬を評価する場合、導入効率もさることながら細胞毒性にも注意を払う必要があります。導入効率が高い場合でも、死細胞や活性の低い細胞では細胞の応答を正しくとらえているとは言えません。通常のトランスフェクション試薬の評価系では GFP、-ガラクトシダーゼなど導入細胞を可視化できる方法が汎用されますが、細胞毒性を含めた正しい評価を得るには定量的なアッセイがかかせません。 GloMax® Discover / Explorer System GloMax® Discover System はプロメガのアッセイシステムに関する英知を結集してデザインした Ready-to-Use の多機能性マルチモードリーダー(発光、蛍光、吸光[UV / 可視光]、BRET、FRET)で、フィルターによる2 色発光測定やカイネティクス測定にも対応します。プリインストールされたプロメガ試薬のアッセイプロトコルで直ぐに実験を開始することができ、ネットワークへのアクセスによりデータを望みのドライブに転送することができます。フィルターパドルとフィルター自動切り替え機能によりマルチプレックスアッセイやカイネティクス実験にも対応します。プレートマスキングシステム(96 / 384 スイッチング)によりウェル間のクロストークを極限まで抑えた高感度測定が可能となり、ワイドなダイナミックレンジが得られます。新発売された GloMax®Explorer System は、検出機能を発光および蛍光に限定したスタートモデルで、初期投資を抑えることができます。また必要に応じてモジュール(可視吸光/UV-可視吸光検出や BRET / FRET 測定機能)を追加して、段階的なアップグレードが可能になりました。