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第 16 章 動物由来 DNA

487 第 16 章 動物由来 DNA 第 1 節 分析用試料の採取、保管及び調製法 1 分析用試料の採取法 採取方法は、微生物試験用試料の採取法に準じ、対象試料以外の物質の汚染がない ように慎重に採取する。 採取時は、プラスチック製手袋をつけ、滅菌済みスコップ等を使用し、約 500 g を 滅菌済み採取袋に採取する。 2 分析用試料の保管法 分析用試料は冷蔵保管する。なお、微粉砕した分析用試料を長期間(1 週間以上) 保管する場合には、冷凍庫(−20°C 以下)で保管する。 3 分析用試料の調製法 肉骨粉、魚粉については、原則として粉砕しない。魚荒かす等で粒度の大きい骨片 等が含まれる場合には、清浄な網ふるい(1 mm)を通過したものを用いる。 配合飼料については、1 mm の網ふるいを追加するまで粉砕する。その際、試料間 の相互汚染を防止するため、試料ごとに粉砕機を洗浄又は交換する。 第 2 節 各条 本節において bp とあるのは、DNA の塩基対数を表す。 1 ほ乳動物由来 DNA 水は滅菌した超純水(精製水を更に電気伝導率 5.9 µS/m 以下(比抵抗 17 MΩ·cm 以上)に精製したもの。以下同じ。)を用い、試薬等並びに器具類は必要に応じ、滅 菌したものを用いる。 1.1 ほ乳動物由来 DNA 注 1 (適用範囲:油脂を除く飼料) A 試薬等の調製 1) 0.5 mol/L EDTA 溶液 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和物 18.6 g 及び水酸化ナトリウム 2 g を水 60 mL に溶かし、水酸化ナトリウム溶液(5 mol/L)で pH を 7.9~8.1 に調整した後、更に水を加えて 100 mL とし、121°C で 15 分間高圧蒸気滅菌する。 2) 1 mol/L トリス塩酸緩衝液 トリスヒドロキシメチルアミノメタン 12.1 g に 水 60 mL を加え、更に塩酸 4.2 mL を加えて溶かし、塩酸で pH を 7.9~8.1 に調整 した後、更に水を加えて 100 mL とし、121°C で 15 分間高圧蒸気滅菌する。 3) ホモジナイズ緩衝液 1 mol/L トリス塩酸緩衝液 1 mL 及びスクロース 8.55 g を水に溶かして 100 mL とする。 4) TE 緩衝液 1 mol/L トリス塩酸緩衝液 1 mL 及び 0.5 mol/L EDTA 溶液 0.2 mL を水で希釈して 100 mL とし、121°C で 15 分間高圧蒸気滅菌する。 5) TAE 緩衝液 トリスヒドロキシメチルアミノメタン 4.84 g、酢酸 1.14 mL 及 び 0.5 mol/L EDTA 溶液 2 mL を水に溶かして 1,000 mL とする。 6) TBE 緩衝液 トリスヒドロキシメチルアミノメタン 10.8 g、ホウ酸 5.5 g 及 び 0.5 mol/L EDTA 溶液 4 mL を水に溶かして 1,000 mL とする。 488 7) アガロースゲル 電気泳動用アガロース 2.5~3.0 g に TAE 緩衝液又は TBE 緩 衝液 100 mL を加え、沸騰水浴中で加熱して溶かし、50~60°C に冷却した後、ゲ ルの厚さが 3~4 mm になるようゲル形成型に流し込み、コームを差し込み、水平 に静置する。十分にゲルが固化した後コームを抜く。 8) ゲルローディング緩衝液 DNA 分子量マーカー注 2 に添付されているもの又 は以下により調製したものを用いる。 ブロモフェノールブルー25 mg、キシレンシアノール FF 25 mg 及びグリセリン 3 g を水に溶かして 10 mL とし、121°C で 15 分間高圧蒸気滅菌する。 9) 染色液 臭化エチジウム 10 mg を水 1,000 µL に溶かして臭化エチジウム原 液を調製し、使用時にこの原液 50 µL に TAE 緩衝液又は TBE 緩衝液 1,000 mL を加えて染色液とする。 10) 陽性コントロール DNA 市販の牛ミトコンドリア DNA 注 3 又は以下により 調製したものを用いる。 ウシ(品種:黒毛和種)のミトコンドリア DNA を抽出注 4 し、TE 緩衝液を加 えて溶かし、1 mL 中に DNA として 10 µg を含有する陽性コントロール DNA を 調製する。 11) プライマー溶液 ほ乳動物検出プライマー対注 5 をそれぞれ水で希釈し、2 µmol/L の 5’プライマー溶液及び 3’プライマー溶液を調製する。 12) PCR 反応液 水 4.7 µL、PCR 緩衝液注 6 2.0 µL、2 mmol/L デオキシヌクレオ シド三リン酸混合液注 7 2.0 µL、25 mmol/L 塩化マグネシウム溶液 1.2 µL、2 µmol/L 5’プライマー溶液 4.0 µL、2 µmol/L 3’プライマー溶液 4.0 µL 及び DNA ポ リメラーゼ液注 8 0.1 µL(0.5 単位相当量)を PCR チューブ 1 本あたりの必要量と する。これらの試薬について、必要本数分の量をそれぞれマイクロチューブ(容 量 1.5 mL)に加えて PCR 反応液を調製する。 B 検 出注 9 DNA の抽出 分析試料 100 mg を量って 2 mL のプラスチック製ねじ口チューブ に入れ、二酸化ジルコニウム製ビーズ注 10(直径 1.5 mm)1.5 g を加え、更にホモ ジナイズ緩衝液 1 mL を加えた後、チューブを細胞破砕機注 11 に入れ、2,000 rpm で 1 分間処理した後 1 分間静置する。これを再度 2,000 rpm で 1 分間処理し、氷 冷後、4°C、1,000×g で 2 分間遠心分離する。この上澄み液からミトコンドリア DNA を抽出注 4 し、減圧乾燥した後、TE 緩衝液 20 µL を加えて溶かし、この液 の一定量を水で正確に 10 倍に希釈して DNA 試料液を調製する。 PCR 反応液 18 µL を PCR チューブ(容量 200 µL)に入れ、DNA 試料液 2.0 µL を加えて振り混ぜ、PCR 反応に供する試料溶液とする。 同時に、陽性コントロール DNA 2.0 µL 及び水 2.0 µL をあらかじめ PCR 反応 液 18 µL を入れたそれぞれ別の PCR チューブに加えて同様に操作し、陽性コン トロール液及び陰性コントロール液を調製する。 PCR 反応 試料溶液、陽性コントロール液及び陰性コントロール液の入った PCR チューブを DNA 増幅装置に入れ、PCR 反応を行う。 489 PCR 反応条件 例 DNA 増 幅 装 置:Gene Amp System 9700(Applied Biosystems 製) プライマー:ほ乳動物検出プライマー対[anicon5, anicon3](増幅産物 サイズ 176 bp) 反 応 温 度 条 件:95°C(9 min 保持)→[92°C(30 s 保持)→55°C(30 s 保 持)→72°C(30 s 保持)](45 サイクル)→72°C(5 min 保持) 温 度 制 御 条 件:9600 モード 電気泳動 TAE 緩衝液又は TBE 緩衝液を入れた泳動槽にアガロースゲルを入れ、 100 V の定電圧で 10 分間予備泳動を行う。PCR 反応の終了した試料溶液、陽性 コントロール液、陰性コントロール液及び DNA 分子量マーカー注 2 各 5 µL にゲ ルローディング緩衝液 1 µL ずつをそれぞれ加えて混合し、各液の全量を先のア ガロースゲルのそれぞれ別のウェルに注入し、100 V の定電圧でブロモフェノー ルブルーがウェルから 3~4 cm 移動するまで電気泳動を行う。 電気泳動の終了したアガロースゲルを染色液に入れ、約 30 分間浸した後、UV トランスイルミネーターに載せ、365 nm 又は 312 nm の紫外線を照射し、PCR 増 幅バンドの有無を確認する。 判 定 陽性コントロール液で検出サイズの PCR 増幅バンドが検出され、陰 性コントロール液で PCR 増幅バンドが検出されない場合で、かつ、試料溶液に おいて陽性コントロール液と同一サイズの PCR 増幅バンドが検出された場合を 陽性と判定する。 陽性コントロール液で PCR 増幅バンドが検出されない場合及び陰性コントロ ール液で PCR 増幅バンドが検出された場合には、PCR 反応が正常に行われてい ない可能性があるため、PCR 反応以降の再試験を行う。 また、試料が植物性飼料又は植物性飼料を含む牛用配混合飼料の場合は、第 3 節 1 により植物由来 DNA の検出を行い、植物由来 DNA が検出されない場合に は、DNA の抽出が正常に行われていない可能性があるため、再度 DNA の抽出 を行う。 同様に、試料が家きん由来副産物の場合には第 3 節 2 による鶏由来 DNA の検 出を、試料が魚粉等(魚類を含むもの)又は魚粉を含む飼料の場合には第 3 節 3 による魚類由来 DNA の検出をそれぞれ行い、DNA の抽出が正常に行われてい ることを確認する。 注 1 本法は、ほ乳動物由来 DNA を検出する方法であり、本法による試験を法 令上ほ乳動物由来たん白質の使用又は混入が禁止されている飼料を対象に行 う場合、当該飼料への使用が認められているほ乳動物由来飼料原料である乳、 乳製品、ゼラチン及びコラーゲンが含まれている場合には陽性となることが ある。したがって、本法により試験を行うに当たっては留意すること(付記 参照)。 2 市販の 100 bp ラダーマーカーを用いるとよい。 3 牛ミトコンドリア DNA ポジティブコントロール(テキサスジェノミクス 490 ジャパン製) 4 mtDNA エキストラクターCT キット(和光純薬工業製)を用いた方法又は これと同等の結果が得られる方法による 5 ほ乳動物検出用合成 DNA[anicon5, anicon3](テキサスジェノミクスジ ャパン製)又はこれと同等の結果が得られるもの 6 10×PCR buffer II(Applied Biosystems 製)、10×PCR Gold buffer(Applied Biosystems 製)又はこれらと同等のもの 7 dNTP Mix(Applied Biosystems 製)又はこれと同等のもの 8 Ampli Taq Gold(Applied Biosystems 製) 9 試薬等並びに器具類は必要に応じ冷却する。また、試験操作は必要に応 じ冷却条件下で行うとともに、コンタミネーション防止のため陽圧のクリ ーンベンチ内で行う。 10 YTZ ボール(ニッカトー製)又はこれと同等のもの 11 2,000 rpm 程度の回転数があり、2 mL チューブに対応するもの (付記)法令上飼料への使用が認められている、脱脂粉乳、乾燥ホエー等の乳製品、 全卵粉、卵白粉末等の卵製品並びにゼラチン及びコラーゲンが 10%以下の量で 配合されている飼料並びにこれらの混入の可能性がある飼料について、これらの 影響を受けずに肉骨粉等の動物由来組織の混入の有無を検査する場合には、本項 による処理を行う。 比重分離 分析試料 1.0 g を量って、あらかじめ 2/3 の高さまでクロロホルム を入れた比重分離用漏斗に入れ、ガラス棒でかき混ぜた後、比重分離用漏斗 の上端から 5 mm の高さまでクロロホルムを加えて 20 分間静置する。上澄み 液を捨て、比重分離用漏斗の 2/3 の高さまでクロロホルムを加えてかき混ぜた 後、比重分離用漏斗の上端から 5 mm の高さまでクロロホルムを加えて 10 分 間静置する。上澄み液を捨て、同様に操作する。 次亜塩素酸処理 先の比重分離用漏斗内の上澄み液を捨て、残留物をろ紙(5 種 A)でろ過する。ろ紙上の残留物を少量のエタノールで洗浄した後乾燥し、 スパーテルで 15 mL のプラスチック製遠心沈殿管に入れ、次亜塩素酸ナトリ ウム溶液(有効塩素濃度 0.5%)10 mL を加え、振り混ぜた後 10 分間静置する。 酵素処理 先の遠心沈殿管内の上澄み液を吸引除去し、残留物に超純水 10 mL を加えて振り混ぜた後 5 分間静置する。上澄み液を吸引除去し、同様に操作 した後、上澄み液を吸引除去し、残留物にたん白質分解酵素液 10 mL を加え、 37°C で 18~48 時間静置する。これを 3,500×g で 10 分間遠心分離し、上澄み液 を吸引除去する。残留物に超純水 10 mL を加えて混合し、3,500×g で 10 分間 遠心分離した後、上澄み液を吸引除去し、残留物全量を DNA の抽出に供する。 たん白質分解酵素液 たん白質分解酵素(Proteinase K(Sigma 製、製品番号 P6556、酵素活性 41 単位/mg)又はこれと同等のもの)100 mg を 0.5 mol/L EDTA 溶液 8 mL に溶かした液を調製し、使用に際して、この液 1 mL を 0.5 mol/L EDTA 溶液 49 mL に加えてたん白質分解酵素液を調製する。 491 (参考)検出感度及び特異性(ほ乳動物検出プライマー対[anicon5, anicon3]を使用 した場合) ・検出感度 配合飼料中のほ乳動物由来 DNA:肉骨粉として 0.1~0.01%(原物含量%) なお、肉骨粉の検出感度は、原料動物の混入比率、製造方法(加熱処理条 件)及び骨成分の含有比率等により異なる場合がある。 ・特異性 検出することを確認済みの生物種:ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、シカ、ウ サギ、クジラ 検出しないことを確認済みの生物種:ヒト、ニワトリ、ウズラ、スケトウダラ、 サケ、マイワシ、カタクチイワシ、カニ、エビ、アサリ、植物 1.2 反すう動物由来 DNA 注 1 (適用範囲:油脂を除く飼料) A 試薬等の調製 1) 0.5 mol/L EDTA 溶液 1.1 の A の 1)による。 2) 1 mol/L トリス塩酸緩衝液 1.1 の A の 2)による。 3) ホモジナイズ緩衝液 1.1 の A の 3)による。 4) TE 緩衝液 1.1 の A の 4)による。 5) TAE 緩衝液 1.1 の A の 5)による。 6) TBE 緩衝液 1.1 の A の 6)による。 7) アガロースゲル 1.1 の A の 7)による。 8) ゲルローディング緩衝液 1.1 の A の 8)による。 9) 染色液 1.1 の A の 9)による。 10) 陽性コントロール DNA 1.1 の A の 10)による。 11) プライマー溶液 反すう動物検出プライマー対注 2 をそれぞれ水で希釈し、 2 µmol/L の 5’プライマー溶液及び 3’プライマー溶液を調製する。 12) PCR 反応液 1.1 の A の 12)による。 B 検 出注 3 DNA の抽出 1.1 の B の DNA の抽出の項による。 PCR 反応 1.1 の B の PCR 反応の項による。ただし、PCR 反応条件例のプライ マー及び反応温度条件を次のとおり読み替えるものとする。 プライマー:反すう動物検出プライマー対[rumicon5D2, rumicon3D5] (増幅産物サイズ 201 bp) 反 応 温 度 条 件:95°C(9 min 保持)→[92°C(30 s 保持)→55°C(30 s 保 持)→72°C(30 s 保持)](45 サイクル)→72°C(5 min 保持) 電気泳動 1.1 の B の電気泳動の項による。 判 定 1.1 の B の判定の項による。 注 1 本法は、反すう動物由来 DNA を検出する方法であり、本法による試験を 492 法令上ほ乳動物由来たん白質の使用又は混入が禁止されている飼料を対象に 行う場合、当該飼料への使用が認められている反すう動物由来飼料原料であ る乳、乳製品、ゼラチン及びコラーゲンが含まれている場合には陽性となる ことがある。したがって、本法により試験を行うに当たっては留意すること (1.1 の付記参照)。 2 反すう動物検出用合成 DNA[rumicon5D2, rumicon3D5](テキサスジェ ノミクスジャパン製)又はこれと同等の結果が得られるもの 3 試薬等並びに器具類は必要に応じ冷却する。また、試験操作は必要に応 じ冷却条件下で行うとともに、コンタミネーション防止のため陽圧のクリ ーンベンチ内で行う。 (参考)検出感度及び特異性(反すう動物検出プライマー対[ rumicon5D2, rumicon3D5]を使用した場合) ・検出感度 配合飼料中の反すう動物由来 DNA:肉骨粉として 0.1~0.01%(原物含量%) なお、肉骨粉の検出感度は、原料動物の混入比率、製造方法(加熱処理条 件)及び骨成分の含有比率等により異なる場合がある。 ・特異性 検出することを確認済みの生物種:ウシ、ヒツジ、ヤギ、シカ 検出しないことを確認済みの生物種:ブタ、ウマ、ウサギ、ラット、マウス、ヒ ト、クジラ、ニワトリ、ウズラ、アイガモ、スケトウダラ、サケ、マイワシ、 カタクチイワシ、カレイ、アジ、サバ、サンマ、ニジマス、カツオ、キハダ マグロ、カニ、エビ、イカ、アサリ、植物 1.3 牛由来 DNA 注 1 (適用範囲:油脂を除く飼料) A 試薬等の調製 1) 0.5 mol/L EDTA 溶液 1.1 の A の 1)による。 2) 1 mol/L トリス塩酸緩衝液 1.1 の A の 2)による。 3) ホモジナイズ緩衝液 1.1 の A の 3)による。 4) TE 緩衝液 1.1 の A の 4)による。 5) TAE 緩衝液 1.1 の A の 5)による。 6) TBE 緩衝液 1.1 の A の 6)による。 7) アガロースゲル 1.1 の A の 7)による。 8) ゲルローディング緩衝液 1.1 の A の 8)による。 9) 染色液 1.1 の A の 9)による。 10) 陽性コントロール DNA 1.1 の A の 10)による。 11) プライマー溶液 牛検出プライマー対注 2 をそれぞれ水で希釈し、2 µmol/L の 5’プライマー溶液及び 3’プライマー溶液を調製する。 12) PCR 反応液 1.1 の A の 12)による。 493 B 検 出注 3 DNA の抽出 1.1 の B の DNA の抽出の項による。 PCR 反応 1.1 の B の PCR 反応の項による。ただし、PCR 反応条件例のプライ マー及び反応温度条件を次のとおり読み替えるものとする。 プライマー:牛検出プライマー対[cow52, cow31](増幅産物サイズ 126 bp) 反 応 温 度 条 件:95°C(9 min 保持)→[92°C(30 s 保持)→55°C(30 s 保 持)→72°C(30 s 保持)](45 サイクル)→72°C(5 min 保持) 電気泳動 1.1 の B の電気泳動の項による。 判 定 1.1 の B の判定の項による。 注 1 本法は、牛由来 DNA を検出する方法であり、本法による試験を法令上ほ 乳動物由来たん白質の使用又は混入が禁止されている飼料を対象に行う場合、 当該飼料への使用が認められている牛由来飼料原料である乳、乳製品、ゼラ チン及びコラーゲンが含まれている場合には陽性となることがある。したが って、本法により試験を行うに当たっては留意すること(1.1 の付記参照)。 2 牛検出用合成 DNA[cow52, cow31](テキサスジェノミクスジャパン 製)、牛検出用合成 DNA[L8129, H8357](参考文献:Marco Tartaglia ら; J. Food Prot., 61 (5), 513 (1998))又はこれらと同等の結果が得られるもの 3 試薬等並びに器具類は必要に応じ冷却する。また、試験操作は必要に応 じ冷却条件下で行うとともに、コンタミネーション防止のため陽圧のクリ ーンベンチ内で行う。 (参考)検出感度及び特異性(牛検出プライマー対[cow52, cow31]を使用した場 合) ・検出感度 配合飼料中の牛由来 DNA:肉骨粉として 0.1~0.01%(原物含量%) なお、肉骨粉の検出感度は、原料動物の混入比率、製造方法(加熱処理条 件)及び骨成分の含有比率等により異なる場合がある。 ・特異性 検出することを確認済みの生物種:ウシ 検出しないことを確認済みの生物種:ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、シカ、ウサギ、 ヒト、クジラ、ニワトリ、スケトウダラ、サケ、マイワシ、カタクチイワシ、 カニ、エビ、アサリ、植物 1.4 豚由来 DNA 注 1 (適用範囲:油脂を除く飼料) A 試薬等の調製 1) 0.5 mol/L EDTA 溶液 1.1 の A の 1)による。 2) 1 mol/L トリス塩酸緩衝液 1.1 の A の 2)による。 3) ホモジナイズ緩衝液 1.1 の A の 3)による。 494 4) TE 緩衝液 1.1 の A の 4)による。 5) TAE 緩衝液 1.1 の A の 5)による。 6) TBE 緩衝液 1.1 の A の 6)による。 7) アガロースゲル 1.1 の A の 7)による。 8) ゲルローディング緩衝液 1.1 の A の 8)による。 9) 染色液 1.1 の A の 9)による。 10) 陽性コントロール DNA 市販の豚ミトコンドリア DNA 注 2 又は以下により 調製したものを用いる。 豚のミトコンドリア DNA を抽出注 3 し、TE 緩衝液を加えて溶かし、1 mL 中に DNA として 10 µg を含有する陽性コントロール DNA を調製する。 11) プライマー溶液 豚検出プライマー対注 4 をそれぞれ水で希釈し、2 µmol/L の 5’プライマー溶液及び 3’プライマー溶液を調製する。 12) PCR 反応液 1.1 の A の 12)による。 B 検 出注 5 DNA の抽出 1.1 の B の DNA の抽出の項による。 PCR 反応 1.1 の B の PCR 反応の項による。ただし、PCR 反応条件例のプライ マー及び反応温度条件を次のとおり読み替えるものとする。 プライマー:豚検出プライマー対[pig5-6, pig3-6](増幅産物サイズ 83 bp) 反 応 温 度 条 件:95°C(9 min 保持)→[92°C(30 s 保持)→55°C(30 s 保 持)→72°C(30 s 保持)](45 サイクル)→72°C(5 min 保持) 電気泳動 1.1 の B の電気泳動の項による。 判 定 1.1 の B の判定の項による。 注 1 本法は、豚由来 DNA を検出する方法であり、本法による試験を法令上ほ 乳動物由来たん白質の使用又は混入が禁止されている飼料を対象に行う場合、 当該飼料への使用が認められている豚由来飼料原料であるゼラチン及びコラ ーゲンが含まれている場合には陽性となることがある。したがって、本法に より試験を行うに当たっては留意すること。 2 豚ミトコンドリア DNA ポジティブコントロール(テキサスジェノミクス ジャパン製) 3 mtDNA エキストラクターCT キット(和光純薬工業製)を用いた方法又は これと同等の結果が得られる方法 4 豚検出用合成 DNA[pig5-3, pig32-2](テキサスジェノミクスジャパン 製)、豚検出用合成 DNA[pig5-6, pig3-6](テキサスジェノミクスジャパ ン製)又はこれらと同等の結果が得られるもの 5 試薬等並びに器具類は必要に応じ冷却する。また、試験操作は必要に応 じ冷却条件下で行うとともに、コンタミネーション防止のため陽圧のクリ ーンベンチ内で行う。 (参考)検出感度及び特異性(豚検出プライマー対[pig5-6, pig3-6]を使用した場 495 合) ・検出感度 配合飼料中の豚由来 DNA:豚肉骨粉として 0.1~0.01%(原物含量%) なお、肉骨粉の検出感度は、原料動物の混入比率、製造方法(加熱処理条 件)及び骨成分の含有比率等により異なる場合がある。 ・特異性 検出することを確認済みの生物種:ブタ 検出しないことを確認済みの生物種:ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、シカ、ウサギ、 マウス、ラット、ヒト、クジラ、ニワトリ、ウズラ、アイガモ、スケトウダ ラ、サケ、マイワシ、カタクチイワシ、アジ、キハダマグロ、カツオ、サン マ、カレイ、ニジマス、カニ、エビ、イカ、アサリ、植物 2 家きん由来 DNA 注 1 (適用範囲:油脂を除く飼料) 水は滅菌した超純水を用い、試薬等並びに器具類は必要に応じ、滅菌したものを用 いる。 A 試薬等の調製 1) 0.5 mol/L EDTA 溶液 1.1 の A の 1)による。 2) 1 mol/L トリス塩酸緩衝液 1.1 の A の 2)による。 3) ホモジナイズ緩衝液 1.1 の A の 3)による。 4) TE 緩衝液 1.1 の A の 4)による。 5) TAE 緩衝液 1.1 の A の 5)による。 6) TBE 緩衝液 1.1 の A の 6)による。 7) アガロースゲル 1.1 の A の 7)による。 8) ゲルローディング緩衝液 1.1 の A の 8)による。 9) 染色液 1.1 の A の 9)による。 10) 陽性コントロール DNA 市販の鶏ミトコンドリア DNA 注 2 又は以下により調 製したものを用いる。 鶏のミトコンドリア DNA を抽出注 3 し、TE 緩衝液を加えて溶かし、1 mL 中に DNA として 10 µg を含有する陽性コントロール DNA を調製する。 11) プライマー溶液 鶏検出プライマー対注 4 をそれぞれ水で希釈し、2 µmol/L の 5’プライマー溶液及び 3’プライマー溶液を調製する。 12) PCR 反応液 1.1 の A の 12)による。 B 検 出注 5 DNA の抽出 1.1 の B の DNA の抽出の項による。 PCR 反応 1.1 の B の PCR 反応の項による。ただし、PCR 反応条件例のプライマ ー及び反応温度条件を次のとおり読み替えるものとする。 プライマー:鶏検出プライマー対[chick5-1, chick3-1](増幅産物サイズ 133 bp) 496 反 応 温 度 条 件:95°C(9 min 保持)→[92°C(30 s 保持)→55°C(30 s 保 持)→72°C(30 s 保持)](45 サイクル)→72°C(5 min 保 持) 電気泳動 1.1 の B の電気泳動の項による。 判 定 1.1 の B の判定の項による。 注 1 本法は、家きん由来 DNA を検出する方法であり、本法による試験を法令上 家きん由来たん白質の使用又は混入が禁止されている飼料を対象に行う場合、 当該飼料への使用が認められている家きん由来飼料原料である卵及び卵製品が 含まれている場合には陽性となることがある。したがって、本法により試験を 行うに当たっては留意すること(1.1 の付記参照)。 2 鶏ミトコンドリア DNA ポジティブコントロール(テキサスジェノミクスジ ャパン製) 3 mtDNA エキストラクターCT キット(和光純薬工業製)を用いた方法又はこ れと同等の結果が得られる方法 4 鶏検出用合成 DNA[chick5-1, chick3-1](テキサスジェノミクスジャパン 製)又はこれと同等の結果が得られるもの 5 試薬等並びに器具類は必要に応じ冷却する。また、試験操作は必要に応じ冷 却条件下で行うとともに、コンタミネーション防止のため陽圧のクリーンベ ンチ内で行う。 (参考)検出感度及び特異性(鶏検出プライマー対[chick5-1, chick3-1]を使用した場 合) ・検出感度 配合飼料中の家きん由来 DNA:チキンミールとして 0.1~0.01%(原物含量%) なお、チキンミールの検出感度は、製造方法(加熱処理条件)及び骨成分の含 有比率等により異なる場合がある。 ・特異性 検出することを確認済みの生物種:ニワトリ、ウズラ 検出しないことを確認済みの生物種:ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、シカ、ウ サギ、ヒト、クジラ、アジ、マイワシ、カタクチイワシ、カツオ、サケ、サバ、 サンマ、スケトウダラ、ニジマス、キハダマグロ、カニ、エビ、アサリ、植物 3 魚介類由来 DNA 注 1 水は滅菌した超純水を用い、試薬等並びに器具類は必要に応じ、滅菌したものを用 いる。 (適用範囲:油脂を除く飼料) A 試薬等の調製 1) 0.5 mol/L EDTA 溶液 1.1 の A の 1)による。 2) 1 mol/L トリス塩酸緩衝液 1.1 の A の 2)による。 3) ホモジナイズ緩衝液 1.1 の A の 3)による。 4) TE 緩衝液 1.1 の A の 4)による。 497 5) TAE 緩衝液 1.1 の A の 5)による。 6) TBE 緩衝液 1.1 の A の 6)による。 7) アガロースゲル 1.1 の A の 7)による。 8) ゲルローディング緩衝液 1.1 の A の 8)による。 9) 染色液 1.1 の A の 9)による。 10) 陽性コントロール DNA 市販の魚ミトコンドリア DNA 注 2 又は以下により調 製したものを用いる。 キハダマグロのミトコンドリア DNA を抽出注 3 し、TE 緩衝液を加えて溶かし、1 mL 中に DNA として 10 µg を含有する陽性コントロール DNA を調製する。 11) プライマー溶液 魚類検出プライマー対注 4 をそれぞれ水で希釈し、2 µmol/L の 5’プライマー溶液及び 3’プライマー溶液を調製する。 12) PCR 反応液 1.1 の A の 12)による。 B 検 出注 5 DNA の抽出 1.1 の B の DNA の抽出の項による。 PCR 反応 1.1 の B の PCR 反応の項による。ただし、PCR 反応条件例のプライマ ー及び反応温度条件を次のとおり読み替えるものとする。 プライマー:魚類検出プライマー対[FM5, FM3](増幅産物サイズ 78 bp) 反 応 温 度 条 件:95°C(9 min 保持)→[92°C(30 s 保持)→55°C(30 s 保 持)→72°C(30 s 保持)](45 サイクル)→72°C(5 min 保 持) 電気泳動 1.1 の B の電気泳動の項による。 判 定 1.1 の B の判定の項による。 注 1 本法は、魚類由来 DNA を検出する方法であり、本法による試験は法令上魚 介類由来たん白質の使用又は混入が禁止されている飼料を対象に行うほか、魚 粉中のほ乳動物又は家きん由来 DNA を検出する際に、DNA の抽出確認のた めの陽性コントロール試験として実施する。 2 魚ミトコンドリア DNA ポジティブコントロール(テキサスジェノミクスジ ャパン製) 3 mtDNA エキストラクターCT キット(和光純薬工業製)を用いた方法又はこ れと同等の結果が得られる方法 4 魚類検出用合成 DNA[FM5, FM3](テキサスジェノミクスジャパン製)又 はこれと同等の結果が得られるもの 5 試薬等並びに器具類は必要に応じ冷却する。また、試験操作は必要に応じ冷 却条件下で行うとともに、コンタミネーション防止のため陽圧のクリーンベ ンチ内で行う。 (参考)検出感度及び特異性(魚類検出プライマー対[FM5, FM3]を使用した場合) ・検出感度 配合飼料中の魚類由来 DNA:魚粉として 0.01~0.001%(原物含量%) なお、魚粉の検出感度は、原料魚介類の混入比率、製造方法(加熱処理条件) 498 及び骨成分の含有比率等により異なる場合がある。 ・特異性 検出することを確認済みの生物種:カタクチイワシ、カツオ、サケマス類(サケ、 ギンザケ、ベニザケ、カラフトマス、サクラマス、ニジマス、マスノスケ)、サ バ(ゴマサバ、タイセイヨウサバ、マサバ)、サンマ、スズキ(スズキ、タイリ クスズキ)、タイ(キダイ、チダイ、マダイ)、タラ(スケトウダラ、マダラ)、 マイワシ、マグロ(クロマグロ、キハダ、ビンナガ、ミナミマグロ、メバチ) 検出しないことを確認済みの生物種:ウナギ、ナイルパーチ、カニ(アブラガニ、 イバラガニモドキ、ケガニ、タラバガニ、ハナサキガニ)、エビ、アサリ、シジ ミ、ウニ(アメリカオオタキムラサキウニ、エゾバフンウニ、キタムラサキウニ、 チリウニ、ホクヨウオオバフンウニ)、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、シカ、 ウサギ、ヒト、クジラ、ニワトリ、植物 第 3 節 抽出 DNA 確認試験法 1 植物由来 DNA 注 1 (適用範囲:油脂を除く飼料) 水は滅菌した超純水を用い、試薬等並びに器具類は必要に応じ、滅菌したものを用 いる。 A 試薬等の調製 1) 0.5 mol/L EDTA 溶液 1.1 の A の 1)による。 2) 1 mol/L トリス塩酸緩衝液 1.1 の A の 2)による。 3) ホモジナイズ緩衝液 1.1 の A の 3)による。 4) TE 緩衝液 1.1 の A の 4)による。 5) TAE 緩衝液 1.1 の A の 5)による。 6) TBE 緩衝液 1.1 の A の 6)による。 7) アガロースゲル 1.1 の A の 7)による。 8) ゲルローディング緩衝液 1.1 の A の 8)による。 9) 染色液 1.1 の A の 9)による。 10) 陽性コントロール DNA 市販のとうもろこしミトコンドリア DNA 注 2 又は以 下により調製したものを用いる。 とうもろこしのミトコンドリア DNA を抽出注 3 し、TE 緩衝液を加えて溶かし、1 mL 中に DNA として 10 µg 程度を含有する陽性コントロール DNA を調製する。 11) プライマー溶液 植物検出プライマー対注 4 をそれぞれ水で希釈し、2 µmol/L の 5’プライマー溶液及び 3’プライマー溶液を調製する。 12) PCR 反応液 1.1 の A の 12)による。 B 検 出注 5 DNA の抽出 1.1 の B の DNA の抽出の項による。 PCR 反応 1.1 の B の PCR 反応の項による。ただし、PCR 反応条件例のプライマ ー及び反応温度条件を次のとおり読み替えるものとする。 499 プライマー:植物検出プライマー対[placon5, placon3](増幅産物サイズ 140 bp) 反 応 温 度 条 件:95°C(9 min 保持)→[92°C(30 s 保持)→55°C(30 s 保持) →72°C(30 s 保持)](45 サイクル)→72°C(5 min 保持) 電気泳動 1.1 の B の電気泳動の項による。 判 定 1.1 の B の判定の項による。 注 1 本法は、植物性飼料を原料とした牛用配混合飼料中のほ乳動物、家きん又は 魚介類由来 DNA を検出する際に、DNA の抽出確認のための陽性コントロー ル試験として実施する。 2 とうもろこしミトコンドリア DNA ポジティブコントロール(テキサスジェ ノミクスジャパン製) 3 mtDNA エキストラクターCT キット(和光純薬工業製)を用いた方法又はこ れと同等の結果が得られる方法 4 植物検出用合成 DNA[placon5, placon3](テキサスジェノミクスジャパン 製)又はこれと同等の結果が得られるもの 5 試薬等並びに器具類は必要に応じ冷却する。また、試験操作は必要に応じ冷 却条件下で行うとともに、コンタミネーション防止のため陽圧のクリーンベ ンチ内で行う。 (参考)検出感度及び特異性(植物検出プライマー対[placon5, placon3]を使用した場 合) ・検出感度 配合飼料中の植物由来 DNA:未確認 ・特異性 検出することを確認済みの生物種:トウモロコシ、イネ、ダイズ、テンサイ、コム ギ、オオムギ、ナタネ、イネ科牧草類 検出しないことを確認済みの生物種:ウシ、ブタ、ニワトリ、魚介類 2 豚由来 DNA 第 2 節 1.4 による。 3 鶏由来 DNA 第 2 節 2 による。 4 魚類由来 DNA 第 2 節 3 による。 500 第 17 章 動物由来たん白質 第 1 節 分析用試料の採取、保管及び調製法 第 16 章第 1 節 1 から 3 までの規定による。 第 2 節 各条 1 ほ乳動物由来たん白質 水は、滅菌した精製水を用い、試薬等並びに器具類は必要に応じ、滅菌したものを 用いる。 1.1 牛由来たん白質 (1) ELISA による方法(その 1)注 1 (適用範囲:動物質性飼料) A 試薬等の調製 1) 洗浄液 洗浄液(10 倍濃縮液)注 2 100 mL を水で希釈し 1,000 mL とする。 2) 基質 ABTS 注 3 液 基質 ABTS 濃縮溶液注 2 0.5 mL をペルオキシドクエン酸 緩衝液注 2 12 mL で希釈したもの(調製は使用直前に行う。)。 B 検 出 抽 出 分析試料 5.0 g を量って 50 mL の遠心チューブに入れ、塩化ナトリ ウム溶液(0.9 w/v%)15 mL を加え、15 分間振り混ぜて抽出した後、1,000×g で 5 分間遠心分離する。上澄み液 1.5 mL をマイクロチューブ(容量 1.5 mL) に入れ、5,000×g で 10 分間遠心分離し、上澄み液を ELISA 操作に供する試料 溶液とする。 なお、本分析においては、分析試料毎に併行分析を行う。 ELISA 操作 試料溶液、陽性コントロール液注 4 、陰性コントロール液注 5 及び 塩化ナトリウム溶液(0.9 w/v%)各 100 µL を、抗体固相化モジュール注 2 のそ れぞれ別のウェル注 6 に入れ、シーリングフィルム注 7 でウェルを覆った後、室 温で 1 時間静置する。各ウェル内の液を完全に除去し、各ウェルに洗浄液 300 µL ずつを加えて 3 回繰り返し洗浄する。 次に、各ウェルにビオチン化抗体液注 2 25 µL ずつを加え、シーリングフィ ルムでウェルを覆った後、室温で 1 時間静置する。各ウェル内の液を完全に 除去し、各ウェルに洗浄液 300 µL ずつを加えて 3 回繰り返し洗浄する。 次に、各ウェルにアビジン酵素複合体液注 2 25 µL ずつを加え、シーリング フィルムでウェルを覆った後、室温で 30 分間静置する。各ウェル内の液を完 全に除去し、各ウェルに洗浄液 300 µL ずつを加えて 6 回繰り返し洗浄する。 各ウェルに基質 ABTS 液 50 µL ずつを加え、遮光し室温で 30 分間静置する。 更に各ウェルに反応停止液注 2 50 µL ずつを加え、発色を止める。15 分以内に 各ウェルの 405 nm 及び 492 nm における吸光度をマイクロプレートリーダー で測定し、各ウェルの 405 nm の吸光度値から 492 nm の吸光度値を差し引い た値を測定値とする。 判 定 試料溶液の測定値の平均値がカットオフ値注 8 以上であった場合を 陽性と判定し、カットオフ値未満であった場合を陰性と判定する。試験成立 501 条件注 9 を満たしていない場合には、再試験を行う。 注 1 ELISA-TEK 加工肉種判別キット(牛)(ELISA Technologies 製)によ る方法又はこれと同等の結果が得られる方法。 2 キットに付属しているものを使用する。 3 2,2′-アジノ-ビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸) 4 キットに付属している牛陽性コントロール液を用いる。 5 キットに付属している豚及び羊の陽性コントロール液並びに同加工肉種 判別キット(家きん)に付属している鶏陽性コントロール液の 3 種類を、 本法の陰性コントロール液として用いる。 6 各液はそれぞれ 2 ウェル以上に入れ、それぞれの測定値の平均値により 判定を行う。 7 抗体固相化モジュールの上面に貼り付け、ウェル内容液の蒸発、揮散を 防ぐ。 8 判定の基準となる閾値を意味する。ここでは、陰性コントロール液の測 定値の平均値に 2.5 を乗じた値をカットオフ値とする。 9 試験成立条件は次のとおり。 ・測定した陽性コントロール液の測定値の平均値が、陰性コントロール液 の測定値の平均値の 8 倍以上であること。 ・各試験試料について併行分析した吸光度の標準偏差の値が、陽性コント ロール液の測定値の平均値の 10%未満であること。 (参考)検出感度及び特異性 ・検出感度 魚粉中の牛由来たん白質:牛由来肉骨粉(原物換算)として 1%程度 肉骨粉中の牛由来たん白質:牛由来肉骨粉(原物換算)として 1%程度 チキンミール中の牛由来たん白質:牛由来肉骨粉(原物換算)として 1%程度 検出感度は、検査材料(原料)の加熱処理温度条件(製造方法)及び成分 の含有条件等により異なるので注意が必要である。 ・特異性 検出することを確認済みの動物種:ウシ 検出しないことを確認済みの動物種:ブタ、ニワトリ (2) ELISA による方法(その 2)注 1 (適用範囲:配合飼料及び動物質性飼料。ただし、豚及び鶏に由来するたん白質 並びにこれを原料とする飼料注 2 を除く。) A 試薬等の調製 1) 抽出溶媒 抽出溶媒濃縮液-I 注 3 50 mL 及び抽出溶媒濃縮液-II 注 3 2.5 mL を 水に溶かして 1,000 mL とする。 2) 洗浄液 洗浄液(20 倍濃縮液)注 3 50 mL を水で希釈し 1,000 mL とする。 3) 標準液 標準原液注 3 の一定量を抽出液で正確に希釈し、2 倍、4 倍、8 倍 及び 16 倍希釈の標準液を調製する。 502 B 検 出 抽 出 分析試料 4.0 g を量ってホモジナイザー注 4 専用カップに入れ、抽出 溶媒 36 mL を加え、ホモジナイザー注 4 で 30 秒間ずつ 3 回かき混ぜる。これを 沸騰水浴中で 10 分間加熱し、放冷後、800~1,000×g で 5 分間遠心分離し、上 澄み液をろ紙(5 種 A)でろ過する。このろ液 1 mL をマイクロチューブ(容 量 1.5 mL)に入れ、3,000×g で 10 分間遠心分離し、上澄み液を ELISA 操作に 供する試料溶液とする。 ELISA 操作 試料溶液、各標準液、陽性コントロール液注 3 、陰性コントロー ル液注 3 及び抽出溶媒(空試験溶液とする。)各 100 µL を、抗体固相化モジュ ール注 3 のそれぞれ別のウェル注 5 に入れ、モジュール用ふた注 3 をして軽く振り 混ぜた後、室温で 2 時間静置する。各ウェル内の液を完全に除去し、各ウェ ルに洗浄液 300 µL を加えて 6 回繰り返し洗浄する。 次に、各ウェルに酵素標識抗体溶液注 3 100 µL ずつを加え、モジュール用ふ たをして軽く振り混ぜた後、室温で 30 分間静置する。各ウェル内の液を完全 に除去し、各ウェルに洗浄液 300 µL ずつを加えて 6 回繰り返し洗浄する。 次に、各ウェルに酵素基質溶液注 3 100 µL ずつを加え、モジュール用ふたを して軽く振り混ぜた後、室温で 10 分間静置する。更に各ウェルに反応停止 液注 3 50 µL ずつを加え、酵素反応を停止させる。30 分以内に各ウェルの 450 nm 及び 620 nm 注 6 における吸光度をマイクロプレートリーダーで測定し、各 ウェルの 450 nm の吸光度値から 620 nm の吸光度値を差し引いた値を測定値 とする。 判 定 試料溶液の測定値の平均値がカットオフ値注 7 以上であった場合を 陽性と判定し、カットオフ値未満であった場合を陰性と判定する。試験成立 条件注 8 を満たしていない場合には、再試験を行う。 注 1 モリナガ加熱処理牛由来タンパク質検出キット(森永生科学研究所 製)による方法又はこれと同等の結果が得られる方法。 このキットによる試験を法令上ほ乳動物由来たん白質の使用又は混入が 禁止されている飼料を対象に行う場合、当該飼料への使用が認められてい る牛由来飼料原料である乳及び乳製品、ゼラチン及びコラーゲンが含まれ ていれば陽性となる。したがって、使用に当たっては留意すること。 2 本法による試験を豚に由来するたん白質(肉骨粉、加水分解たん白、蒸 製骨粉、血粉、血しょうたん白等)及びこれらを原料とする飼料を対象に 行うと、誤検出される恐れがあるため、適用除外としている。これらの飼 料については、1.2 の方法により試験を行うこと。 3 キットに付属しているものを使用する。 4 ミルサーIFN-700G(岩谷産業製)、ラボミルサーLM-2(大阪ケミカル 製)又はこれらと同等の結果が得られるものを用いる。 5 各液はそれぞれ 2 ウェル以上に入れ、それぞれの測定値の平均値により 判定を行う。 6 波長 610~650 nm の範囲内の単波長であればよい。 503 7 陰性コントロール液の平均測定値に 2 を乗じた値をカットオフ値とする。 8 試験成立条件は次のとおり。 ・測定した陽性コントロール液の測定値の平均値が、標準原液の 8 倍希釈 液の測定値の平均値以上であり、かつ標準原液の 2 倍希釈液の測定値の 平均値以下であること。 ・測定した陰性コントロール液の測定値の平均値が 0.1 以下であり、かつ 空試験溶液の測定値の 2 倍未満であること ・各試験試料について併行分析した吸光度の変動係数の値が 20%以下で あること。 (参考)検出感度及び特異性 ・検出感度 配合飼料中の牛由来たん白質:牛由来肉骨粉(原物換算)として 0.1%程度 魚粉中の牛由来たん白質:牛由来肉骨粉(原物換算)として 0.1%程度 チキンミール中の牛由来たん白質:牛由来肉骨粉(原物換算)として 0.1%程 度 検出感度は、検査材料(原料)の加熱処理温度条件(製造方法)及び成分 の含有条件等により異なるので注意が必要である。 ・特異性 検出することを確認済みの動物種:ウシ 検出しないことを確認済みの動物種:ニワトリ 非特異反応により偽陽性を示すもの:オオムギ及びその加工品、ナタネ及び その加工品、麦芽、麦芽根、ビールかす 1.2 反すう動物由来たん白質注 1 (適用範囲:動物質性飼料(魚介類に由来するものを除く。)) A 試薬等の調製 1) 抽出溶媒 抽出溶媒用緩衝塩注 2 14.0 g(1 包)を水に溶かして 1,000 mL とす る。 2) 洗浄液 洗浄液(10 倍濃縮液)注 2 100 mL を水で希釈し 1,000 mL とする。 3) 1%陽性コントロール液 陽性コントロール液注 3 100 µL を抽出液で希釈し 1 mL とする。 4) 0.05%陽性コントロール液 1%陽性コントロール液 50 µL を陰性コントロー ル液注 4 で希釈し 1 mL とする。 B 検 出 抽 出 分析試料 5.0 g を量って 100 mL の共栓三角フラスコに入れ、抽出溶 媒 50 mL を加え、20 分間振り混ぜて抽出した後、これを沸騰水浴中で 15 分間加 熱し、放冷後、ろ紙(5 種 A)でろ過する注 5 。このろ液 1 mL をマイクロチュー ブ(容量 1.5 mL)に入れ、5,000×g で 10 分間遠心分離し、上澄み液を ELISA 操 作に供する試料溶液とする。 ELISA 操作 試料溶液、1%陽性コントロール液、0.05%陽性コントロール液、陰 504 性コントロール液及び抽出溶媒(空試験溶液とする。)各 100 µL を、抗体固相 化モジュール注 2 のそれぞれ別のウェル注 6 に入れ、シーリングフィルム注 7 でウェ ルを覆い軽く振り混ぜた後、室温で 20 分間静置する。各ウェル内の液を完全に 除去し、各ウェルに洗浄液 300 µL を加えて 3 回繰り返し洗浄する。 次に、各ウェルにビオチン化抗体液注 2 50 µL ずつを加え、シーリングフィル ムでウェルを覆い軽く振り混ぜた後、室温で 20 分間静置する。各ウェル内の液 を完全に除去し、各ウェルに洗浄液 300 µL ずつを加えて 3 回繰り返し洗浄する。 次に、各ウェルにアビジン酵素複合体液注 2 50 µL ずつを加え、シーリングフ ィルムでウェルを覆い軽く振り混ぜた後、室温で 20 分間静置する。各ウェル内 の液を完全に除去し、各ウェルに洗浄液 300 µL ずつを加えて 6 回繰り返し洗浄 する。 次に、各ウェルに基質 TMB 注 8 液注 2 50 µL ずつを加え、遮光し室温で 20 分間 静置する。更に各ウェルに反応停止液注 2 50 µL ずつを加え、発色を止める。15 分以内に各ウェルの 450 nm における吸光度をマイクロプレートリーダーで測定 し、各ウェルの吸光度値から空試験溶液の吸光度値を差し引いた値を測定値とす る。 判 定 試料溶液の測定値の平均値がカットオフ値注 9 以上であり、かつ、陰 性コントロール液の測定値の 2 倍の値以上であった場合を陽性と判定し、カット オフ値未満又は陰性コントロール液の測定値の 2 倍の値未満であった場合を陰性 と判定する。試験成立条件注 10 を満たしていない場合には、再試験を行う。 注 1 MELISA-TEK RUMINANT KIT for MEAT & BONE MEALS and ANIMAL FEEDS(ELISA Technologies 製)による方法又はこれと同等の結果が得られ る方法。 2 キットに付属しているものを使用する。 3 キットに付属している 10%牛陽性コントロール液を用いる。 4 キットに付属している 10%豚陽性コントロール液を用いる。 5 油脂分の凝固等によりろ過が困難な場合は、ろ過の前に 1,000×g で 5 分間 遠心分離する。 6 各液はそれぞれ 2 ウェル以上に入れ、それぞれの測定値の平均値により 判定を行う。 7 抗体固相化モジュールの上面に貼り付け、ウェル内容液の蒸発、揮散を 防ぐ。 8 3,3′,5,5′-テトラメチルベンジジン 9 判定の基準となる閾値を意味する。ここでは、測定値として 0.100 をカッ トオフ値とする。 10 試験成立条件は次のとおり。 ・1%陽性コントロール液の測定値の平均値が 1.000 以上であり、陰性コン トロール液の測定値の平均値が 0.100 未満であり、かつ 0.05%陽性コント ロール液の測定値の標準偏差の値が 0.100 以下であること。 505 (参考)検出感度及び特異性 ・検出感度 豚由来肉骨粉中の牛由来たん白質:牛由来肉骨粉(原物換算)として 0.1%程度 チキンミール中の牛由来たん白質:牛由来肉骨粉(原物換算)として 0.2%程度 検出感度は、検査材料(原料)の加熱処理温度条件(製造方法)及び成分 の含有条件等により異なるので注意が必要である。 ・特異性 検出することを確認済みの動物種:ウシ、スイギュウ、ヒツジ 検出しないことを確認済みの動物種:ブタ、ウマ、シカ、ウサギ、ニワトリ 本抗体は、動物組織のうち筋肉を特異的に検出し、乳及び血液は検出しな い 1.3 豚由来たん白質注 1 (適用範囲:動物質性飼料) 1.1 の(1)による。ただし、注 1、4 及び 5 を次のとおり読み替えるものとする。 注 1 ELISA-TEK 加工肉種判別キット(豚)(ELISA Technologies 製)による 方法又はこれと同等の結果が得られる方法。 4 キットに付属している豚陽性コントロール液を用いる。 5 キットに付属している牛及び鶏陽性コントロール液を用いる。 (参考)検出感度及び特異性 ・検出感度 魚粉中の豚由来たん白質:豚由来肉骨粉(原物換算)として 1%程度 肉骨粉中の豚由来たん白質:豚由来肉骨粉(原物換算)として 1%程度 チキンミール中の豚由来たん白質:豚由来肉骨粉(原物換算)として 1%程度 検出感度は、検査材料(原料)の加熱処理温度条件(製造方法)及び成分 の含有条件等により異なるので注意が必要である。 ・特異性 検出することを確認済みの動物種:ブタ 検出しないことを確認済みの動物種:ウシ、ニワトリ、ヒツジ 2 家きん由来たん白質 水は、滅菌した精製水を用い、試薬等並びに器具類は必要に応じ、滅菌したものを 用いる。 (1) ELISA による方法(その 1)注 1 (適用範囲:動物質性飼料) 1.1 の(1)による。ただし、注 1、4 及び 5 を次のとおり読み替えるものとする。 注 1 ELISA-TEK 加工肉種判別キット(鶏)(ELISA Technologies 製)による方 法又はこれと同等の結果が得られる方法。 4 キットに付属している鶏陽性コントロール液を用いる。 5 キットに付属している牛及び豚陽性コントロール液を用いる。 506 (参考)検出感度及び特異性 ・検出感度 魚粉中の鶏由来たん白質:チキンミール(原物換算)として 1%程度 肉骨粉中の鶏由来たん白質:チキンミール(原物換算)として 1%程度 検出感度は、検査材料(原料)の加熱処理温度条件(製造方法)及び成分 の含有条件等により異なるので注意が必要である。 ・特異性 検出することを確認済みの動物種:ニワトリ 検出しないことを確認済みの動物種:ウシ、ブタ (2) ELISA による方法(その 2)注 1 (適用範囲:配合飼料及び動物質性飼料。ただし、動物質性飼料にあっては、豚に 由来するたん白質又はこれを原料とする飼料注 2 を除く) 1.1 の(2)による。ただし、注 1 を次のとおり読み替えるものとする。 注 1 モリナガ加熱処理鶏由来タンパク質検出キット(森永生科学研究所製)に よる方法又はこれと同等の結果が得られる方法による。 本法による試験を法令上家きん由来たん白質の使用又は混入が禁止されて いる飼料を対象に行う場合、当該飼料への使用が認められている家きん由来 飼料原料である卵及び卵製品が含まれている場合には陽性となることがある。 したがって、本法により試験を行うに当たっては留意すること。 (参考)検出感度及び特異性 ・検出感度 配合飼料中の家きん由来たん白質:チキンミール(原物換算)として 0.1%程度 魚粉中の家きん由来たん白質:チキンミール(原物換算)として 0.1%程度 検出感度は、検査材料(原料)の加熱処理温度条件(製造方法)及び成分 の含有条件等により異なるので注意が必要である。 ・特異性 検出することを確認済みの動物種:ニワトリ、アイガモ、ウズラ 検出しないことを確認済みの動物種:ウシ、ブタ 非特異反応による偽陽性を示すもの:魚卵(確認済みの魚種:サケ、タラ、ニシ ン)