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CytoTox 96® Non-Radioactive Cytotoxicity Assay

プロメガ株式会社 テクニカルサービス部 Tel. 03-3669-7980 prometec@jp.promega.com 1 www.promega.co.jp CytoTox 96® Non-Radioactive Cytotoxicity Assay カタログ番号 G1780 I. はじめに……………………………………………….. 2 II. キットの構成品………………………………………….. 2 III. 考慮が必要な事項 A. バックグラウンドとなる吸光度の補正 …………………………. 4 B. CytoTox 96® Assayのコントロール ……………………………. 4 IV. ターゲット細胞数の最適化 A. アッセイプレートの準備 ……………………………………. 5 B. 細胞の溶解と上清の回収 ……………………………………. 5 C. LDH の測定 ………………………………………………. 5 V. 細胞を介した細胞毒性試験 A. アッセイプレートの準備 ……………………………………. 7 B. 細胞の培養と上清の回収 ……………………………………. 8 C. LDH の測定 ………………………………………………. 8 D. 結果の計算 ………………………………………………. 9 VI. 単一細胞種を用いた試験 A. 総細胞数の試験 ………………………………………….. 11 B. 細胞毒性の試験 ………………………………………….. 12 VII. 困った時には……………………………………………. 13 VIII. 参考文献………………………………………………. 14 IX. 付録 A. バッファーと溶液の組成 …………………………………… 15 B. 関連製品の紹介 ………………………………………….. 15 目次 日本語プロトコール No. TB163J 2000 年 8 月作製 プロメガ株式会社 テクニカルサービス部 Tel. 03-3669-7980 prometec@jp.promega.com 2 www.promega.co.jp I. はじめに CytoTox 96® Non-Radioactive Cytotoxicity Assayは、51Cr放出を利用した細胞毒性試験に代わる比色定量法 を用いたキットです。CytoTox 96 ® Assayでは、RIを用いたアッセイにおいて51Crが放出されるのと同じ ように、溶解した細胞から放出される安定な細胞質性酵素であるラクテートデヒドロゲナーゼ(lactate dehydrogenase; LDH)を定量的に測定できます。培養上清におけるLDHの放出は、テトラゾリウム塩(INT)が 赤色を呈するホルマザン産物へと変換される共役酵素反応によるアッセイ(30分間で終了する)で測定され ます。呈色の量は溶解した細胞数に比例します。可視光波長での吸光度データは標準的な96ウェルプレー トリーダーを用いて収集されます。ディアフォラーゼ(diaphorase)または代わりとなる電子受容体を介し たテトラゾリウム塩を利用したLDHの測定方法は使われ始めて数十年になります(1)。 この測定技術の変法を使った天然物の細胞毒性試験が報告され、並行して行われた51Cr放出アッセイで 測定された値と同等 ( 実験誤差内) であることが示されています (2,3)。 CytoTox 96®は下記を含むさまざまな用途に、数種類の異なった細胞種に対して使われています。 細胞による細胞毒性(4) 化学物質やその他の薬剤による細胞毒性(5–8) 総細胞数の測定(9) CytoTox 96® Assayでは以下のように51Cr放出アッセイより優れた点がいくつか挙げられます。 i) 実験に先立ってターゲット細胞を標識する必要がありません。 ii) アイソトープの購入、アイソトープの廃棄コスト、安全管理用書類の作成が不要になります。 iii) データは可視光波長を用いて標準的な96ウェルタイプのELISAプレートリーダーで測定できます。 さらに、他の方法では測定できないことが多いとされる初期段階や低レベルの細胞傷害性を測定で きます。 CytoTox 96® Assay の一般的な化学反応: II. キットの構成品 製品名 サイズ カタログ番号 CytoTox 96® Non-Radioactive Cytotoxicity Assay 1,000 回分 G1780 • 5 vials Substrate Mix • 60ml Assay Buffer • 25µl LDH Positive Control • 3ml Lysis Solution (10 ×) • 65ml Stop Solution 保存条件 : Substrate Mix と Assay Buffer は -20℃で凍結保存してください。再溶解した Substrate Mix は失活することなく6~8週間保存できます。LDH Positive Control、Lysis Solution (10×)、Stop Solution は4℃で保存してください。本製品は適正な保存および取り扱いをしていただいた場合、少なくとも6ヶ 月は安定です。 LDH NAD+ + 乳酸塩 ピルビン酸塩 + NADH Diaphorase NADH + INT NAD+ + ホルマザン ( 赤色 ) プロメガ株式会社 テクニカルサービス部 Tel. 03-3669-7980 prometec@jp.promega.com 3 www.promega.co.jp エフェクター細胞 ( 目的のエフェクター細胞濃度で ) を Effector Cell Spontaneous LDH Release Control のウェルおよび実験用ウェルに加える ↓ ターゲット細胞を実験用ウェルに加える ↓ ターゲット細胞をTarget Cell Spontaneous LDH Release Controlのウェルに加える ↓ ターゲット細胞を Target Cell Maximum LDH Release Control のウェルに加える ↓ 培養液と Lysis Solution (10 × ) を Volume Correction Control のウェルに加える ↓ 培養液を Culture Medium Background Control のウェルに加える ↓ プレートを 250 × g で 4 分間遠心する ↓ 37℃で 4 時間インキュベーションする ↓ 遠心する 45 分前に、Target Cell Maximum LDH Release Control のウェルに Lysis Solution(10 × ) を加える ↓ プレートを250×gで4分間遠心する ↓ 50µl の上清を酵素アッセイ用のプレートに移す ↓ ( オプション ) 5,000 倍希釈した LDH Positive Control を別のウェルに加える ↓ Assay Buffer を使って Substrate Mix を溶解する ↓ 溶解した Substrate Mix 50µl を酵素アッセイ用プレートの各ウェルに加える ↓ 遮光したプレートを室温で 30 分間インキュベートする ↓ 50µl Stop Solution を各ウェルに加える ↓ 490nm の吸光度を測定する 図 1. CytoTox 96® Non-Radioactive Cytotoxicity Assay の操作手順 アッセイプレートの準備 細胞培養と上清の回収 LDH の測定 プロメガ株式会社 テクニカルサービス部 Tel. 03-3669-7980 prometec@jp.promega.com 4 www.promega.co.jp III. 考慮が必要な事項 A. バックグラウンドとなる吸光度の補正 組織培養液中の2つの因子(培養液中のフェノールレッドと血清に含まれるLDH) が、CytoTox 96® Assayを使って測定される吸光度のバックグラウンドに影響し ます。 これらの因子に由来するバックグラウンドは培地のバックグラウンドコントロー ルを含めることによって補正することができます。このコントロールで決められ た吸光度の値は、その他のサンプルから得られた吸光度の値を補正するために使 われます(セクションV.D参照)。フェノールレッドから得られるバックグラウン ドの吸光度はフェノールレッドを含まない培地を使うことによって除くことがで きます。 血清中のLDH量は、動物種、血清採集前の動物の健康状態や処理状態を含むいく つかのパラメーターに応じて変動します。LDH活性は、ヒトAB血清では比較的 低く、仔ウシ血清では比較的高い値を示します。血清の濃度を下げることで、吸 光度のバックグラウンドとなるLDHの量を押さえることができます(3)。一般的 に、血清濃度を5%まで低下させると、細胞の増殖に影響することなく、バック グラウンドを著しく下げることができます。細胞による細胞傷害試験において血 清の代わりに 1% のBSA を使用することは薦められません。 B. CytoTox 96® Assay のコントロール CytoTox 96® Assayでは下記のような5種類のコントロールを行う必要がありま す。コントロール#2 と#3( ターゲット細胞が自然に放出するLDH のコントロー ルおよびターゲット細胞が最大にLDHを放出した場合のコントロール)は、標準 的な51Cr放出アッセイで行われるものと同一です。残りの3種類のコントロール は、他の構成要素に起因するLDH を測定するためのコントロールです。 # 1. Effector Cell Spontaneous LDH Release(エフェクター細胞が自然に放出 する LDH のコントロール ) : エフェクター細胞から自然に放出される LDH に起因するバックグラウンドを補正します。 # 2. Target Cell Spontaneous LDH Release( ターゲット細胞が自然に放出す るLDHのコントロール): ターゲット細胞から自然に放出されるLDHに起因 するバックグラウンドを補正します。 # 3. Target Cell Maximum LDH Release( ターゲット細胞が最大にLDHを放出 した場合のコントロール) : 100%のLDHが放出された場合の測定値を決定 するための計算に必要となります。 # 4. Volume Correction Control(液量補正用コントロール) : Lysis Solution (10 ×)の添加による液量の変化を補正します。 # 5. Culture Medium Background( 培養液のバックグラウンド用コントロール ) : 培養液中の血清に由来するLDH活性や培地に含まれるフェノールレッドに よるバックグラウンドを補正します。 プロメガ株式会社 テクニカルサービス部 Tel. 03-3669-7980 prometec@jp.promega.com 5 www.promega.co.jp IV. ターゲット細胞数の最適化 さまざまなターゲット細胞のタイプ(YAC-1、K562、Daudiなど)では、それぞれ に含まれるLDH量が異なります。そのため、CytoTox 96® Assayでの最適なター ゲット細胞数を決定し、十分なS/N比が得られるように、目的とするターゲット 細胞の予備実験の実施を推奨します ( 図2)。添付の LDH Positive Control は LDH アッセイが正しく機能しているかどうか評価するために使います。 準備するもの ( 溶液の組成はセクション IX.A をご覧ください ) ・丸底または V 底の 96 ウェル組織培養プレート ・マルチチャンネルピペッター ・オプション : PBS + 1% BSA (ウシ血清アルブミン) A. アッセイプレートの準備 1. 丸底またはV底の96ウェル組織培養プレートに段階希釈したそれぞれのタイ プのターゲット細胞を3または4セット準備する。細胞毒性試験に使う時と同 一の培養液と最終液量で準備する。通常の場合、50µl/ウェルのターゲット細 胞と50µl/ウェルのエフェクター細胞を同時に培養するならば、100µl/ウェル で段階希釈を行う。 2. 細胞を含まない Culture Medium Background 用に 3 または 4 セットのウェル を用意する。 3. オプション: LDH陽性コントロールの測定が必要な場合、LDH Positive Controlを ボルテックスで穏やかに撹拌し、この溶液2µlを10ml PBS(1% BSAを含む)で希 釈する(5,000倍希釈)。このストック溶液は用時調整する。細胞を含んだウェルで 使われている量と等量を使う。3または4サンプルでの実施を推奨します。 注意 : Target Cell Maximum LDH Release を得 るための Lysis Solution (10×)の添加に代り、凍 結/融解による細胞溶解 を行った場合、Volume Correction Control は行 う必要がありません。 B. 細胞の溶解と上清の回収 1. すべてのウェルに培養液100µlに対してLysis Solution(10×) 10µlを加える。 2. 37℃に設定した5% CO2を含む湿式チャンバーで45分間インキュベートする。 3. 250 × g、室温で 4 分間プレートを遠心する。 C. LDH の測定 1. すべてのウェルから 50µlずつを新規の96ウェル平底プレートに移す。 2. Assay Bufferを融解し、12ml取る。残りはすぐに‐20℃に戻して保存する。37 ℃の恒温水槽でAssay Bufferを融解することもできますが、必要以上に37℃ で放置しないでください。 遮光した状態で、12ml Assay Bufferを室温に戻す。室温に戻したAssay Buffer をSubstrate Mixのボトルに加える。基質を溶解するためにゆっくりと転倒混 和する。1 本のボトルには 96 ウェルプレート 2 枚をアッセイするために十分 量の基質が含まれています。溶解後の溶液は、強力な直射光から保護し、すぐ に使用する。 3. 溶解したSubstrate Mixをプレートの各ウェルに50µlずつ加える。プレートを アルミホイルで覆うか、小さな暗箱に入れ、遮光する。30分間室温でインキュ ベートする。 備考 : プレートを -70℃ で約 3 0 分間インキュ ベートし、37℃で 15 分 間の融解により細胞を 溶解することでステッ プ1と2に置き換えるこ とができます。その後、 ステップ 3 に進みます。 備考 : 溶解した Substrate Mix の残りは キャップを堅く締めて -20 ℃に保存します。 6~8 週間以内なら使用 できます。 プロメガ株式会社 テクニカルサービス部 Tel. 03-3669-7980 prometec@jp.promega.com 6 www.promega.co.jp 4. Stop Solutionを各ウェルに50µlずつ加える。 5. シリンジの針を使って大きな気泡を除き、Stop Solutionの添加から1時間以内 に 490nm または 492nmの吸光度を測定する。 6. Culture Medium Controlのバックグラウンドで得られる吸光度の少なくとも2 倍以上の吸光度の値が得られるターゲット細胞の濃度を決定する。 注意 : 通常の実験で、1ウェルあたりに100µlのターゲット細胞と100µlのエ フェクター細胞を同時に培養している場合、1ウェルあたり50µlの液量で同じ 細胞数を同時に培養することで感度を上昇させることができます。この操作に より放出される LDHの濃度は上がります。 希釈したターゲット細胞を調整する (0、5,000、10,000、20,000 cells/100µl) ↓ V 底の 96 ウェルプレートに 1 ウェルあたり 100µl を加える ↓ Lysis Solution( または凍結 /融解 ) により細胞を破裂させる ↓ 250 × g で 4 分間プレートを遠心する ↓ 上清50µlを酵素アッセイプレートに移す ↓ Assay Buffer でSubstrate Mix を溶解する ↓ 酵素アッセイプレートに1ウェルあたり50µlの溶解したSubstrate Mixを加える ↓ 遮光し、室温で 30 分間インキュベートする ↓ 各ウェルに 50µl のStop Solution を加える ↓ 490nmの吸光度を測定する 図 2. ターゲット細胞数の最適化 プロメガ株式会社 テクニカルサービス部 Tel. 03-3669-7980 prometec@jp.promega.com 7 www.promega.co.jp V. 細胞を介した細胞毒性試験 A. アッセイプレートの準備 以下のガイドラインに従い、96ウェルプレートを準備する。それぞれの実験およびコントロール反応は 3 または 4 つの同一反応を行う。推奨するプレート準備の一例を図 3 に示す。 1. Effector Cell Spontaneous LDH Release (エフェクター細胞から自然に放出されるLDH量を測定 するためのコントロール): エフェクター細胞から自然に放出されるLDH量を測定するために、培養 液を入れた3または4つのウェルに、実験で使用するそれぞれの細胞濃度になるようにエフェクター それぞれの細胞濃度 細胞を加える。ここでの最終容量は実験用ウェルと同一でなければなりません(細胞を含まない培養 液を使用して容量を合わせる)。 2. 実験用ウェル: V底または丸底の96ウェル培養プレートのすべての実験用ウェルヘ一定数(セクショ ン4で決定された数値)のターゲット細胞を加える。いくつかのエフェクター細胞:ターゲット細胞 の比率を試験するために、いろいろな数のエフェクター細胞を3または4セットのウェルに加える。 両方の細胞を合わせた最終容量は少なくとも100µl /ウェルにする。 3. Target Cell Spontaneous LDH Release (ターゲット細胞から自然に放出されるLDH量を測定する ためのコントロール):培養液を入れた3または4セットのウェルヘターゲット細胞(セクション4で 決定した細胞数)を加える。最終容量は、ターゲット細胞とエフェクター細胞を入れた実験用ウェル と同じにしなければなりません(容量を調整するためには培養液を使う)。 4. Target Cell Maximum LDH Release ( ターゲット細胞が最大に LDH を放出した場合のコントロー ル):培養液を入れた3または4セットのウェルヘターゲット細胞(セクション4で決定した細胞数)を 入れる。最終容量は実験用ウェルと同じにしなければなりません。100µlの培養液あたり10µlのLysis Solution(10 × ) を添加する。これにより、Triton® X-100 の濃度はターゲット細胞を完全に溶解する のに十分な約0.8%となる。Lysis Solutionを加えたターゲット細胞を、上清回収前に45分間インキュ ベートする。 5. Volume Correction Control (液量補正用コントロール):100µlの培養液(細胞を含まない)を加えた 3 または 4 セットのウェルに 10µl の Lysis Solution(10 × ) を加える。このコントロールは、Lysis Solution(10×)の添加に伴い生じる容量変化を補正するために行う。この容量変化は吸光度の測定値 に影響を与えるフェノールレッドと血清の濃度に影響する。 6. Culture Medium Background ( 培養液のバックグラウンド測定用コントロール ):3 または 4 セット のウェルへ 100µlの培養液を加える。このコントロールは、培養液中の血清に由来する LDH 活性に よるバックグラウンド、および培養液中に存在するフェノールレッドによるバックグラウンドを補正 するために必要となります。 7. オプション:LDH Positive Control (LDH の陽性コントロール ):キットの性能チェックを行うために、 プロメガでは陽性コントロール(ウシ心臓LDH)を添付しています。陽性コントロールの測定を行う場 合は、LDH Positive Controlをボルテックスで穏やかに撹拌し、この溶液2µlを10mlのPBS + 1% BSA に希釈する(5,000倍希釈)。このストック溶液は使用ごとに新しいものを調製してください。5,000倍 希釈したLDH Positive Controlは、約13,500個のL929繊維芽細胞溶解物から検出される酵素活性と同 等になります。 8. エフェクター細胞とターゲット細胞の接触を確実にするために、250×gで4分間アッセイプレート を遠心する。 プロメガ株式会社 テクニカルサービス部 Tel. 03-3669-7980 prometec@jp.promega.com 8 www.promega.co.jp B. 細胞の培養と上清の回収 1. 細胞毒性アッセイプレートを、37℃に設定した5% CO2を含む湿式インキュベーター中で4時間イン キュベートする。ターゲット細胞とエフェクター細胞の十分な接触には少なくとも4時間のインキュ ベーションが必要です。 2. 上清を回収する 45 分前に、Target Cell Maximum LDH Release のコントロールを加えたウェルヘ、 ターゲット細胞 100µl ごとに 10µl の Lysis Solution(10 × ) を加える。 注意 : 顕微鏡によりターゲット細胞が完全に溶解されていないことが確認された場合、さらに 5µl の Lysis Solution (10 × ) を加える。 3. 4 時間のインキュべ一ションの後、250 × g で 4 分間プレートを遠心する。 C. LDH の測定 1. マルチチャンネルピぺットを使い、すべてのウェルから50µlずつ上清を分取し、新規の平底(酵素アッ セイ用 ) プレートへ移す。 2. Assay Bufferを融解し、12mlを分け取る。残りはすぐに-20℃で保存する。37℃の恒温水槽でAssay Buffer を融解してもかまいませんが、必要以上の37℃での保温は避けてください。 12ml の Assay Buffer を室温になるまで遮光したまま温める。室温に戻した 12ml の Assay Buffer を Substrate Mixのボトル1本へ加える。ボトルを転倒混和により緩やかに撹拌し、基質を溶解させる。 1本のボトルには96ウェルプレート2枚分に十分な基質が入っています。溶解させた基質は、強い直 射光が当たらないようにし、調整後すぐに使ってください。 3. 細胞毒性アッセイプレートから移したサンプルの入った酵素アッセイプレートの各ウェルへ、前のス テップで調製した50µlのSubstrate Mixを加える。プレートをアルミホイルで覆うか、または小さな 暗箱に入れ、遮光する。30 分間室温でインキュベートする。 4. すべてのウェルに 50µlのStop Solutionを入れる。 5. 注射針を使って大きな気泡を取り除きます。Stop Solution を加えてから 1 時間以内に、490nm また は492nmにおける吸光度を記録する。 図 3. 一般的な CytoTox 96® Non-Radioactive Cytotoxicity Assay のプレートの設定 この図では、CytoTox 96® Assay に必要な実験ウェルとコントロールウェルの配置の一般的な例を示 しています。それぞれの実験およびコントロールの反応は 3または 4サンプルで行ってください。 プロメガ株式会社 テクニカルサービス部 Tel. 03-3669-7980 prometec@jp.promega.com 9 www.promega.co.jp サンプルの計算の実際例 以下のサンプルの計算は、CytoTox 96® Assay を用いて下記の実験条件で行った結果から得られた図 4 のデータに基づいて行っています。 エフェクター細胞 : オスの C3H/HeJ マウスから作成された NK/LAK 細胞。ナイロンウール非接着性脾 臓細胞は細胞毒性試験に使う前に、リコンビナントヒト IL-2(500ng/ml) を添加し、5日間培養した。 ターゲット細胞 : アッセイで使用するまで完全な浮遊培養細胞株として維持されていたYAC-1細胞。 アッセイで使用した培養液 : フェノールレッドを含む RPMI 1640 + 15mM HEPES + 5% FBS プレート : 96 ウェル丸底プレート ターゲット細胞のプレーティング : 1 ウェルあたり 50µl の培養液中に 10,000 個のターゲット細胞 エフェクター細胞のプレーティング : 50µl の培養液に 10:1 から 0.02:1 の比率とする。 インキュベーション : 5%CO2 存在下、37℃で 4 時間。 図 4. プロメガで行った CytoTox 96® Non-Radioactive Cytotoxicity Assay での代表的なデータ。 これらのデータを作成するために使われた条件はこのセクションで前に示した。 D. 結果の計算 1. 実験試料、Target Cell Spontaneous LDH Release、Effector Cell Spontaneous LDH Release で得ら れた吸光度の値から、平均したCulture Medium Backgroundの値を差し引く。 2. Target Cell Maximum LDH Release Controlで得られた吸光度の値からVolume Correction Controlの 吸光度値の平均を差し引く。 3. 上記のステップ 1と2で得られた補正値を使い、各々のエフェクター細胞:ターゲット細胞の比率ご とに、以下の計算式にしたがって細胞毒性のパーセントを算出する。 %細胞毒性 = 実験試料 – Effector Spontaneous – Target Spontaneous × 100 Target Maximum – Target Spontaneous プロメガ株式会社 テクニカルサービス部 Tel. 03-3669-7980 prometec@jp.promega.com 10 www.promega.co.jp 1. 実験試料、細胞比 10:1 ( 平均値 ) – Culture Medium Background ( 平均値 ) = 0.819 – 0.464 = 0.355 Target Spontaneous (平均値) – Culture Medium Background (平均値) = 0.472 – 0.464 = 0.008 Effector Spontaneous (平均値) – Culture Medium Background (平均値) = 0.651 – 0.464 = 0.187 2. Target Maximum (平均値) – Volume Correction Control (平均値) = 0.659 – 0.444 = 0.215 3. % 細胞毒性 = 実験試料 – Effector Spontaneous – Target Spontaneous × 100 Target Maximum – Target Spontaneous % 細胞毒性 = 0.355 – 0.187 – 0.008 × 100 0.215 – 0.008 = 77.3% (エフェクター細胞対ターゲット細胞の比率が10:1の場合) プロメガ株式会社 テクニカルサービス部 Tel. 03-3669-7980 prometec@jp.promega.com 11 www.promega.co.jp VI. 単一細胞種を用いた試験 A. 総細胞数の試験 CytoTox 96® Assayでは、インタクトな細胞の細胞質に存在するラクテートデヒドロゲナーゼ活性を間 接的に測定します。そのため、細胞中に存在するLDHを放出するために細胞が溶解される場合にの み、細胞数の測定が行えます。ある種の界面活性剤(SDSやcetrimide)では最終的な赤色を呈するホルマ ザン産物の生成を阻害することが示されました。しかし、CytoTox 96® Assay に含まれる Lysis Solution は細胞溶解に使うことができ、推奨するように使えばアッセイを阻害しません。 目的の細胞サンプルは、100µlの培養液あたり15µl Lysis Solution(10×)(容積比9%となるようTriton® X-100を水に溶解)の添加とそれに続く37℃、45~60分のインキュべートにより溶解されます。サンプ ルの上清(50µl)を新規の酵素アッセイ用の96ウェルプレートに移します。溶解したSubstrate Mix(50µl) をそれぞれの上清サンプルに加え、遮光した状態で室温30分間の酵素反応を行います。酵素アッセイを 1ウェルあたり50µl Stop Solutionの添加により止めます。ELISAプレートリーダーを用いて490nmの 吸光度を測定します。存在する細胞数はLDH活性に相当する吸光度の値に対して直接比例します。結果 として得られたデータは、Y軸に490nmの吸光度の値、X軸に細胞数をとってプロットできます。図5 にこれらのステップの要約を示します。 実験用ウェルに細胞を加える。 ↓ バックグラウンドコントロール用として、別のウェルに培養液を加える。 ↓ すべてのウェルに Lysis Solution(10 × ) を加え、37℃で 45~60 分間インキュベーションする。 ↓ 酵素アッセイ用プレートに50µlの上清を移す。 ↓ ( オプション) 細胞を加えていない空いたウェルに 5,000倍希釈したLDH Positive Control を加える。 ↓ Assay Buffer を使って、Substrate Mix を溶解する。 ↓ 酵素アッセイ用プレートの各ウェルに溶解したSubstrate Mixを50µlずつ加える。 ↓ プレートを遮光し、室温で 30 分間インキュベートする。 ↓ 各ウェルに50µl Stop Solutionを加える。 ↓ 490nmの吸光度を記録する。 図5. 総細胞数を測定するための改良型CytoTox 96® Non-Radioactive Cytotoxicity Assay のプロトコール プロメガ株式会社 テクニカルサービス部 Tel. 03-3669-7980 prometec@jp.promega.com 12 www.promega.co.jp B. 細胞毒性の試験 CytoTox 96® Assay は、細胞毒性を示す薬剤による処理で起こるような、単一細胞種の死 ( つまり、エ フェクター細胞を使わない ) を培養液中で測定するために使うこともできます (10)。N-methyl-Daspartate(NMDA)レセプターのトランスフェクションによって開始された細胞死(11)を測定するために CytoTox 96® Assay を使ったプロトコールの例を図6に示しました。 リン酸カルシウム法を使い、必要とするNMDAレセプターのサブユニットをコードする 遺伝子を HEK 293 細胞にトランスフェクションし、インキュベートする(12)。 ↓ 20 時間後、細胞死によって放出された LDH 量を評価するため培養液をサンプルとして回 収する。4℃で 5 分間遠心した後、培養液で希釈し、96 ウェルプレートに移す。 ↓ トランスフェクションされた細胞を凍結 / 融解で溶解し、溶解液を回収した後、上記の処 理を行い最大のLDH 活性を評価する。 ↓ 細胞から自然に放出されるLDHを測定し、フェノールレッドや血清中に含まれる内在性の LDH 活性を補正する。 調整手順 アッセイ手順 溶解したSubstrate Mix (50µl)をそれぞれのサンプルに加える。 ↓ アッセイ用プレートを遮光し、室温で30 分間インキュベートする。 ↓ Stop Solution を加え、490nmの吸光度を測定する。 ↓ サンプルの吸光度の読み値からバックグラウンドの値を差し引く。 ↓ 以下の式を使って細胞死のパーセントを決める。 % 細胞毒性 = Experimental LDH release (OD490) Maximum LDH release (OD490) 図6. NMDA レセプターのトランスフェクションにより開始された細胞死(11) を測定する ための改良型 CytoTox 96® Non-Radioactive Cytotoxicity Assay のプロトコール ( 単一 細胞種を使った細胞毒性試験 ) プロメガ株式会社 テクニカルサービス部 Tel. 03-3669-7980 prometec@jp.promega.com 13 www.promega.co.jp VII. 困った時には… トラブルの症状 可能性のある原因 コメント バックグラウンド吸収 が高い。 培養液中の動物血清に由 来する内在性 LDH によ る。 このバックグランド吸収は通常 Culture Medium Background Control で補正できます。バックグラウンド吸収 を減少させるには、血清を変更したり血清濃度を減らし てください。血清中のLDH活性は血清の種類により異な り、ヒト AB 血清、ウマ血清、ウシ胎児血清、ウシ血清の 順で LDH活性は増加します。一般には、血清濃度を5%ま で下げても、細胞の生存に影響を与えることなくバックグ ラウンドを有意に低下させます。細胞性の細胞傷害アッセ イでは、血清の代わりに1%のBSAを使用することはお薦 めしません。 培養液中のフェノール レッドによる。 このバックグラウンド吸収は通常 Culture Medium Background Control で補正できます。フェノールレッド 不含培養液を使用します。 Effector Cell Spontaneous LDH Release Control または Target Cell Spontaneous LDH Release Control の値が 高い。 最適ではない培養条件や 取り扱いにより、細胞膜 が破損を生じた。 細胞密度を低く (<1.5 × 106 cells/ml) 抑え、新鮮な培養 液で維持します。培養液や洗浄バッファーの大きな温度 変動を避けます。細胞を再懸濁する場合は強いピペッ ティングを避け、遠心時の G を 250 × g 以下にします。 観察される細胞傷害性 の比率 (%) が低い。 簡便な定量をおこなうの には、細胞傷害性の比率 (%) が低すぎる。 吸光度がプレートリー ダーの直線性範囲を超 える。 全般にわたり吸光度が 低い。 Target Cell Maximum Release の値が低い。 プレートウェル中に気泡 がある。 LDH 活性が高すぎる。 プレートリーダーの吸光 度測定波長の設定が誤っ ている。 光により基質が分解され た。 ターゲット細胞の数が最 適化されていない。 細胞傷害性の比率 (%) を増加させたい場合には、細胞傷 害性をもたらす細胞とターゲット細胞とのインキュベー ション時間を、本来の 4 時間から 6~8 時間へ延長します ( セクション V.B.3)。一晩インキュベートすると細胞の 増殖により正確な結果が得られないことがあるため、お 薦めしません。 注射針で静かに気泡をこわし、再度吸収の読み取りを行 ないます。 アッセイをやり直しますが、その際に LDH 反応時間 ( セ クション V.C.3) を 15~20 分間に短縮します。 プレートリーダーの測定波長を 490nm か 492nm に設定 し、もう一度吸収を測定します。 基質の調整および LDH 反応 ( セクション V.C.2 および V.C.3) が遮光下でおこなわれていることを確認します。 アッセイ ( セクション IV) に用いるターゲット細胞の数 を最適化します。 プロメガ株式会社 テクニカルサービス部 Tel. 03-3669-7980 prometec@jp.promega.com 14 www.promega.co.jp VIII. 参考文献 1. Nachlas, M.M. et al. (1960) The determination of lactic dehydrogenase with a tetrazolium salt. Anal. Biochem.1, 317. 2. Korzeniewski, C. and Callewaert, D.M. (1983) An enzyme-release assay for natural cytotoxicity. J. Immunol. Meth. 64, 313. 3. Decker, T. and Lohmann-Matthes, M.L. (1988) A quick and simple method for the quantitation of lactate dehydrogenase release in measurements of cellular cytotoxicity and tumor necrosis factor (TNF) activity. J. Immunol. Meth. 115, 61. 4. Brander, C. et al. (1993) Carrier-mediated uptake and presentation of a major histocompatibility complex class I-restricted peptide. Eur. J. Immunol. 23, 3217. 5. Behl, C. et al. (1994) Hydrogen peroxide mediates amyloid beta protein toxicity. Cell 77, 817. 6. Lappalainen, K. et al. (1994) Comparison of cell proliferation and toxicity assays using two cationic liposomes. Pharm. Res. 11, 1127. 7. Allen, M.J. and Rushton, N. (1994) Use of the CytoTox 96™ Assay in routine bio-compatibility testing in vitro. Promega Notes 45, 7. 8. Sinensky, M.C., Leiser, A.L. and Babich, H. (1995) Oxidative stress aspects of the cytotoxicity of carbamide peroxide: in vitro studies. Toxicol. Lett. 75, 101. 9. Moravec, R. (1994) Total cell quantitation using the CytoTox 96™ Non-Radioactive Cytotoxicity Assay. Promega Notes 45, 11. 10. Singer, C.A. et al. (1999) The mitogen-activated protein kinase pathway mediates estrogen neuroprotection after glutamate toxicity in primary cortical neurons. J. Neurosci. 19, 2455. 11. Miroslav, C. et al. (1995) Using Promega’s CytoTox 96® Non-Radioactive Cytotoxicity Assay to measure cell death mediated by NMDA receptor subunits. Promega Notes 51, 21. 12. Gorman, C.M., Gies, D.R. and McCray, G. (1990) Transient production of proteins using an adenovi rus transformed cell line. DNA Prot. Eng. Technol. 2, 3. プロメガ株式会社 テクニカルサービス部 Tel. 03-3669-7980 prometec@jp.promega.com 15 www.promega.co.jp B. 関連製品の紹介 製品名 サイズ カタログ番号 CellTiter 96® Non-Radioactive Cell Proliferation Assay 1,000 回分 G4000 5,000 回分 G4100 CellTiter 96® AQueous Non-Radioactive Cell Proliferation Assay(a) 1,000 回分 G5421 5,000 回分 G5430 50,000 回分 G5440 CellTiter 96® AQueous MTS Reagent Powder(a) 1g G1111 250mg G1112 CellTiter 96® AQueous One Solution Cell Proliferation Assay(a) 200 回分 G3582 1,000 回分 G3580 5,000 回分 G3581 IX. 付録 A. バッファーと溶液の組成 PBS + 1% BSA 0.2g/l KCl 8.0g/l NaCl 0.2g/l KH2PO4 1.15g/l Na2HPO4 1%(w/v) bovine serum albumin 脱イオン水に溶解し、使用する前にフィルター濾 過滅菌する (a)The MTS tetrazolium compound is the subject of U.S. Pat. No. 5,185,450 assigned to the University of South Florida and is licensed exclusively to Promega Corporation. © 1992–2000 Promega Corporation. All Rights Reserved. CellTiter and CytoTox 96 are trademarks of Promega Corporation and are registered with the U.S. Patent and Trademark Office. Triton is a registered trademark of Union Carbide Chemicals and Plastics Co., Inc. Lysis Solution (10 × ) 9% (v/v) Triton® X-100 Stop Solution 1M acetic acid