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TransFastTM Transfection Reagent

Technical Bulletin TransFastTM Transfection Reagent カタログ番号 E2431 www.promega.co.jp 注意: この日本語マニュアルは製品に添付される英文マニュアルを翻訳したもの ですが、常に更新されるものではありません。最新の英文マニュアルについ ては以下のサイトよりご覧ください。 作成日:2006 年 8 月 プロメガ株式会社 テクニカルサービス部 TEL:03-3669-7980, prometec@jp.promega.com 1 TransFastTM Transfection Reagent カタログ番号 E2431 目次 I.はじめに. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 1 II.キットの構成品および保存条件. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 2 III.考慮が必要な事項. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 2 A. DNAとトランスフェクション試薬の電荷比率………………………………………………………………..2 B. DNA………………………………………………………………………………………………………………………….3 C. トランスフェクション時間…………………………………………………………………………………………3 D. 血清…………………………………………………………………………………………………………………………3 E. 安定的発現株の作成…………………………………………………………………………………………………..3 IV.アッセイプロトコール アッセイプロトコール. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .3 A. 細胞の蒔種……………………………………………………………………………………………………………….3 B. トランスフェクション試薬の調製……………………………………………………………………………….4 C. トランスフェクション条件の最適化…………………………………………………………………………….5 D. 接着細胞のトランスフェクション操作手順…………………………………………………………………..6 E. 浮遊細胞のトランスフェクション操作手順…………………………………………………………………..7 F. 安定的発現株作成のためのトランスフェクション操作手順…………………………………………….8 V.困ったときには 困ったときには・・・. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .10 VII. 参考文献. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .11 I. はじめに リポソームは、非ウイルス性トランスフェクションにより、核酸を真核生物細胞へ導入するた めの化学試薬の1つとして用いられています。リン酸カルシウムおよびDEAEデキストラン(1,2) も化学試薬であり、トランスフェクション試薬として用いられています。「リポソーム」とは、 水溶液層に存在するコロイド粒子を形成している脂質二重層を指します(3)。リポソーム試薬は、 合成カチオン性脂質(3)や任意の合成カチオン性脂質の遺伝子導入を向上させる(4,5)ために、電 荷を持たない脂質L-dioleoyl phosphatidylethanolamine (DOPE)の性質を組み合わせることで、ト ランスフェクションに適用できるように特別に設計されています。TransFastTM Transfection Reagentは、合成カチオン性脂質の(+)-N,N [bis (2-hydroxyethyl)-N-methyl-N-[2,3-di(tetradecanoyloxy)propyl] ammonium iodide(図1)と電荷を持 たない脂質のDOPEから構成されています。TransFastTM Transfection Reagentは、水和させる と多重膜小胞体を形成する乾燥脂質フイルムとして提供しています。 カチオン性脂質を含有したリポソームと核酸をインキュベーションすると、核酸はすぐに会合し て圧縮されます(7,8)。核酸の負電荷と合成脂質の頭部基の正電荷が静電気的相互作用を形成し ていると考えられています。トランスフェクションされた細胞内には、リポソーム/核酸の複合 体が存在します。リポソーム複合体は、核酸の負電荷により電荷を失い、負の電荷を持つ細胞膜 と集合するために近づくことができます。リポソーム複合体の細胞への導入は、エンドサイトー シス、またはリポソームの脂質分割を経た後の細胞膜への融合により起きていると考えられてい ます(9)。一度細胞内へ導入されると、リポソーム複合体はエンドソームまたはリソソーム内に 閉じ込められます(10)。DOPEによりエンドゾームの破壊が起こると、複合体は細胞質へ移行し ます(10)。細胞質はリポソームにより導入されたRNAやアンチセンスオリゴヌクレオチドが作用 を起こす場所になります。しかしながら、導入されたDNAやリポソーム/DNA複合体がどうやっ て核内に入り込むことができるのかの詳細は分かっていません。特別な細胞種にとっての最適な トランスフェクション試薬と導入条件は、経験的にかつ体系的に決定されるべきです。なぜなら、 細胞特有の性質は、確立したどのトランスフェクションの方法にも影響を及ぼすからです。 プロメガ株式会社 テクニカルサービス部 TEL:03-3669-7980, prometec@jp.promega.com 2 図1 TransFastTMのカチオン性脂質成分の構造 TransFastTM のようにトランスフェクション用途に設計されたカチオン性リポソームは、その他 従来のトランスフェクション法に比べて、より多目的となっています。これらの長所として、高 分子の物質の導入目的、in vitroあるいはin vivoへの応用、別の導入方法では不可能であった細胞 のトランスフェクション目的、一過性または安定的発現株の適合性などが挙げられます。RNA およびオリゴヌクレオチドからプラスミドまでのすべてのサイズのDNA、酵母人工染色体を含 む高分子は、リポソームを用いて細胞へ導入することができます(11-16)。TransFastTM Transfection Reagentは、in vitroまたはin vivo(17)の真核生物に対する核酸の導入に設計されて いるため、多くの培養細胞種に用いることができます。これまでに、DNAの導入が確認された 細胞種としては、NIH/3T3、CHO、293、K562、PC12、Jurkatおよび昆虫細胞のSf9などが挙げ られます。TransFastTM Transfection Reagentは、スピードと使いやすさを特徴としたカチオン 性リポソームトランスフェクションの長所が生かされています。 II. キットの構成品および保存条件 製品 サイズ カタログ サイズ カタログ番号 TransFastTM Transfection Reagent 1.2mg E2431 TransFastTM Transfection Reagent:DNAの量比を1:1としたときに、400µgのDNAを導入す るのに十分の試薬が含まれます。 • 1.2mg TransFastTM Transfection Reagent (3 × 0.4mg) • 2ml Nuclease-Free Water 保存条件: 乾燥状態(未開封)のTransFastTM Transfection Reagentは、–15~–25°Cで保存する。 試薬を購入した日から、適切に保管した場合、6ヶ月間は安定です。Nuclease Free Waterに溶解 して調製した後のTransFastTM Transfection Reagentは、–15~–25°Cで保存した場合、8週間ま で安定です。 包装状態:TransFastTM Transfection Reagentは、アルゴンガスで充填したガラス容器として提 供しています。Nuclease-Free Waterは、脂質フイルムを懸濁させるために付属しています。 III. 考慮が必要な事項 トランスフェクションを成功させるためには、電荷比率、使用するDNA量、インキュベーショ ヱ時間、培地の最適化が必要です。 さまざまな細胞種に応じて実施されるトランスフェクションの条件をプロメガのホームページ Transfection Assistantから検索することができます。 Transfection Assistant: www.promega.com/transfectionasst/ III.A. DNAとトランスフェクション試薬の電荷比率 in vitroで培養細胞にDNAを導入するためのサンプルの正電荷量は、トランスフェクション試 薬に含まれるカチオン性脂質の量に依存し、DNAのリン酸基にある負電荷の量を中和するか、 もしくは正電荷の状態にしてください。その結果、DNAと会合した多重膜小胞体は中性または 正電荷になります。Section Iで表示した細胞種については、TransFastTM Reagent:DNAの電荷 比率を1:1から2:1に設定することで遺伝子の導入に成功していますが、別の細胞種や使用目的に プロメガ株式会社 テクニカルサービス部 TEL:03-3669-7980, prometec@jp.promega.com 3 ついては、この電荷比率以外の条件で最適化される場合もあります。 III.B. DNA トランスフェクションに用いるプラスミドDNAは、タンパク質、RNA、化学物質の混入を避 けてください(A260:A280=1.8~1.9)。エタノール沈殿後のDNAは滅菌水かTE Bufferで最終濃度 0.2~1mg/mlになるように調製してください。トランスフェクションに用いる最適のDNA量は、 DNAの種類や目的とする細胞種によって大きく変わります。付着細胞では、トランスフェクシ ョン試薬:DNAの比率を2:1または1:1で、24ウエルプレートの1ウエルあたり、0.25、0.50、0.75、 1µgのDNAの使用を勧めます。DNAの量を増やすことでトランスフェクション効率は必ずしも高 くなるとは限りません。 III.C. 時間 最適なトランスフェクション時間は、細胞種とDNAの状態に依存します。最初に使用すると きは、1時間のトランスフェクション時間で行ってください。多くの細胞種にとって、1時間が 最適時間となりますが、完全に最適化するには、30分間~4時間の間で試験してください。特に 血清を含まない培地で細胞を培養している場合、細胞の生存力が低くなりますので、トランスフ ェクションの間の形態変化を観察してください。ある細胞種を用いたときに、TransFastTM Reagentを用いたトランスフェクション時間を30分間まで短縮することができます。このように トランスフェクション時間を短縮することで、その間に起こりうる細胞死の危険性を少なくする ことができるかもしれません。 III.D. 血清 市販されているトランスフェクション試薬の多くは、血清がトランスフェクション試薬を阻害 するために、血清を含まない培地が要求されます。しかしながら、TransFastTM Reagentは血清 の存在下でも使うことができるため、初代培養細胞のように血清の入った培地を必要とする細胞 種のトランスフェクションでも使うことができます。 III.E. 安定的発現株の 安定的発現株の作成 TransFastTM Reagentは、安定的発現細胞株の調製にも使用できます。しかしながら、薬剤選 択マーカーを用いた安定的発現細胞株を作成する前に、一過性のトランスフェクションを実施し、 トランスフェクションの最適条件の検討をすすめます。 IV. アッセイプロトコール 図2にトランスフェクションの手順の概要を示します。図3に示すとおり、トランスフェクシ ョンによる遺伝子導入実験を始める前に、任意の細胞種のトランスフェクションの最適条件を検 討することを勧めます。 準備するもの • 血清を含む細胞培養培地(例えば、完全培地やトランスフェクションに使用する細胞を培養す るための適切な培地) • 血清を含まない細胞培養培地 • 24ウエルプレート、6ウエルプレート、60mmディッシュ、または100mmディッシュ IV.A. 細胞の蒔種 トランスフェクション当日に約 80%コンフルエントの細胞密度となるように、前日に細胞を 蒔いておく。HeLa 細胞などの細胞種は、低い細胞密度で蒔いた場合、トランスフェクション試 薬に対し高い細胞毒性を示します。一般的には、24 ウエルプレートの 1 ウエル当りに 5×104 個、60mm ディッシュでは 5.5×105 個です。他のサイズのプレートでは表 1 を参照してくださ い。 プロメガ株式会社 テクニカルサービス部 TEL:03-3669-7980, prometec@jp.promega.com 4 表1 細胞培養プレートの面積 プレートのサイズ 1ウエルの培養表面積(cm2 ) a 表面積の比率b 24-well 96-well 12-well 6-well 35mm 60mm 100mm 1.88 0.32 3.83 9.4 8.0 21 55 1 x 0.2 x 2 x 5 x 4.2 x 11 x 29 x a: この情報は、Corning® 社培養プレートから計算しました。 b: 24well-plateを基準にしたときのトランスフェクション最適化試験で用いるための相対表 面積です。プレートへ蒔種するときの細胞密度は、5×104 個に数字を乗じてください。 IV.B. トランスフェクション試薬 トランスフェクション試薬の調製 1. トランスフェクションを トランスフェクションを行う前日に、TransFastTM Reagentは、室温で静置したあと、400µl のNuclease-Free Waterを添加する(カチオン性脂質組成が1mMとなります)。添加する水は、シ リンジを使ってガラス容器内へ注入するか、もしくは、ガラス容器のキャップを除いて直接加え る。Nuclease-Free Waterを添加し、よく懸濁させるために10秒間脂質フイルムを攪拌する。ガ ラス容器は–20°Cで保存する。 Note: 脂質フイルムの形状はガラス容器毎に異なっていますが、性能に問題ありません。 2. 使用する前に、ガラスバイアルを室温に戻し、溶液をよく攪拌する。脂質溶液がガラス容器 のしくはキャップ付近に集まっている場合は、50mlの遠沈管にガラス容器を入れて、300xgで脂 質溶液を集める。使用後のTransFastTM Reagentは、–20°Cで保存する。(TransFastTM Reagent は、凍結融解の繰り返しは10回まで影響がありません。) Note: ある一定の条件下で、TransFastTM Reagentは、Nuclease-Free Waterの溶解時や凍結融 1日目:細胞を蒔種する。TransFastTM 試薬をNuclease Free-Waterに懸 濁後、-20℃で凍結させる ↓ 2日目:DNAを培地に懸濁させる ↓ TransFastTM 試薬を溶かし、DNAを含む培地へ添加し、よく混合させる ↓ DNAとTransFastTM 試薬を混合させるために、室温で10~15分間インキ ュベートする ↓ 細胞から培地を除く ↓ トランスフェクション試薬を含む培地を添加し、37℃で培養する ↓ インキュベーション終了後(通常は約1時間)、細胞へ培地を添加する ↓ インキュベーターに細胞を戻し、37℃で分析する前まで培養する (通常は48時間) ↓ サンプルの分析 プロメガ株式会社 テクニカルサービス部 TEL:03-3669-7980, prometec@jp.promega.com 5 解時に脂質フイルムが完全に溶解できないことがあります。その場合は、凍結融解後の TransFastTM Reagentを37℃、30分間温めてください。この加温操作は、試薬の性能に影響を及 ぼしません。実験の都合上、2つ以上のガラス容器からTransFastTM Reagentを使用するときは、 温めた後の試薬を混合してください。 IV.C. トランスフェクション条件 トランスフェクション条件の最適化 レポーター遺伝子の機能を持つプラスミドは、トランスフェクション効率のモニタリングに用い ることができます。このような測定は、トランスフェクション後2~3日に実施される。プロメ ガではホタルルシフェラーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、β-ガ ラクトシダーゼのレポーター遺伝子と定量試薬を提供しています(セクションVII参照)。 最初に、DNA量(0.25、0.5、0.75、1µg)と電荷比率(TransFastTM Reagent:DNA)を1:1または2: 1の条件でトランスフェクションの最適化を行うことを勧めます。最初に実施する最適化では、 1つの細胞種に対し、2枚の24ウエルプレートに接着細胞を用いて血清を含まない培地にインキ ュベーション1時間で実施してください(n=6で行ってください)。図3は、典型的な最適化の模式 図です。 1. 24ウエルプレートの場合、1ウエルあたりのDNAとTransFastTM Reagentを含む培地の全量は 200µlとなるようにする。表2Aと表2Bで得られる量は、7ウエル分で計算していますが、各DNA 量を6ウエル分に使用するための適切な量となる。滅菌したポリプロピレン、ポリエチレンチュ ーブに示された量の培地(37℃に温めておいた血清を含まない培地)とプラスミドDNAを混合し、 よく攪拌する。さらに、表に示されているTransFastTM Reagentを添加し、直ちに攪拌する。 図3 最初のトランスフェクション条件の最適化で使用する24ウエルプレートフォーマット プロメガ株式会社 テクニカルサービス部 TEL:03-3669-7980, prometec@jp.promega.com 6 表2A TransFastTM ReagentとDNAの電荷比率が1:1の場合 1ウエル当りのDNA量 0.25 µg 0.5 µg 0.75 µg 1.0 µg 最終溶液量 DNA TransFastTM Reagent*) 1400 µl 1.8 µg 5.4 µl 1400 µl 3.5 µg 10.5 µl 1400 µl 5.3 µg 15.9 µl 1400 µl 7.0 µg 21 µl *):TransFastTM Reagent は、ガラス容器1個につき、400µlで調製したものを使用します。 使用量は、7ウエル分で計算していますが、各濃度のDNA量を6ウエル分に使用するための 適切な量となります。 表2B TransFastTM ReagentとDNAの電荷比率が2:1の場合 1ウエル当りのDNA量 0.25 µg 0.5 µg 0.75 µg 1.0 µg 最終溶液量 DNA TransFastTM Reagent*) 1400 µl 1.8 µg 10.8 µl 1400 µl 3.5 µg 21 µl 1400 µl 5.3 µg 31.8 µl 1400 µl 7.0 µg 42 µl *):TransFastTM Reagent は、ガラス容器1個につき、400µlで調製したものを使用します。 使用量は、7ウエル分で計算していますが、各濃度のDNA量を6ウエル分に使用するための 適切な量となります。 Note: 異なるトランスフェクション試薬を用いた条件の最適化や日常的にトランスフェクショ ンを行う際には、トランスフェクション試薬とDNA混合溶液を調製するための、各試薬の量を 計算できるTransfection Calculatorプログラムが、プロメガホームページの以下のURLにありま す。 www.promega.com/techserv/tools/transcalc 2. TransFastTM ReagentとDNAの混合溶液を室温で10~15分間インキュベートする。30分間以 上インキュベーションすると低いトランスフェクション効率になるかもしれません。 3. 吸引により、細胞にある培地を注意深く除く。 4. TransFastTM ReagentとDNAの混合溶液をよく混合し、24ウエルプレートの1ウエル当り、混 合溶液を200µl添加し、インキュベーターで1時間培養する。インキュベーションの間に、(血清 を含む)細胞培養用の培地を37℃に温めておく。 5. インキュベーション終了後、37℃に温めておいた培地1mlを加える。TransFastTM Reagentと DNAの混合溶液を細胞培地から除かないようにしてください。細胞をインキュベーターに戻し、 解析前の適切な時間までインキュベーションする。大部分のレポーターシステム(ルシフェラー ゼ、CAT、β-ガラクトシダーゼ)は、通常48時間のインキュベーションで十分です。 6. 各レポーターアッセイのための適切なシステムを用いてトランスフェクションの効率を確認 する。 IV.D. 接着細胞のトランスフェクション トランスフェクション トランスフェクション操作手順 Note: TransFastTM Reagentは、プライマリー(初代培養)細胞のように血清を含む培地中でも使用 することができます。 もし、前項で述べたトランスフェクションのパラメーターを最適化ができていれば、実際に使用 するサンプルについても、決定したトランスフェクション条件にしたがって実施してください。 もし、トランスフェクションのパラメーターの最適化ができていない場合は、以降に示す一般的 な60mm ディッシュで実施するトランスフェクションの条件を使用してください(括弧内に示 された数値は100mm ディッシュで使用する量です)。それ以外に使用するプレートの条件につ いては、表3を参照してください。 プロメガ株式会社 テクニカルサービス部 TEL:03-3669-7980, prometec@jp.promega.com 7 表3 マルチウエルプレートで使用する培地量、DNA量およびTransFastTM Reagentの量 プレートのサイズ トランスフェクション量 (1ウエルあたり) DNA量 (1ウエルあたり) 6-well 12-well 24-well 96-well 1.0 ml 400 µl 200 µl 40 µl 1.25~5µg 0.5 ~2 µg 0.25~1 µg 0.05~0.2 µg 1. 60mm ディッシュへ添加する培地、DNA 溶液、TransFastTM Reagent の合計容量は 2ml です (100mm ディッシュでは 6ml)。滅菌チューブに 37℃に温めておいた適量の培地を加える。2.5 ~10µg のプラスミド DNA を培地に加え(100mm ディッシュでは 7.5~30µg)、攪拌する。プロ メガでは最初の実験を 60mm ディッシュあたり 5µg の DNA 量(100mm ディッシュでは 15µg の DNA 量)で、TransFastTM Reagent と DNA の電荷比率 1:1 の条件を推奨します。表 4 に示す TransFastTM Reagent 量を添加し、ただちに攪拌する。 表4 TransFastTM Reagentの量とTransFastTM Reagentの:DNAの電荷比率の相関関係 TransFast™ とDNAの電荷比率 1µgのDNAあたりの TransFastTM Reagentの量* ) 1:1 2:1 3:1 3.0 µl 6.0 µl 9.0 µl *):TransFastTM Reagent は、ガラス容器1個につき400µlで調製したものを使用します。 2. TransFastTM ReagentとDNAの混合溶液を室温で10~15分間インキュベートする。 3. ピペッティングで細胞にある培地を注意深く除く。 4. TransFastTM ReagentとDNAの混合溶液をよく混合し、混合溶液を2ml(100mm ディッシュで は6ml)添加し、インキュベーターで1時間培養する。インキュベーションの間に、(血清を含む) 細胞培養用の培地を37℃に温めておく。 5. インキュベーション終了後、37℃に温めておいた培地4ml(100mm ディッシュでは12ml)を加 える。TransFastTM ReagentとDNAの混合溶液を細胞培地から除かないようにしてください。細 胞をインキュベーターに戻し、解析前の適切な時間までインキュベーションする。 6. 適切なシステムを用いてトランスフェクションの効率を確認する。一過性のトランスフェク ションでは、一般的な細胞種でトランスフェクションを行ない、48時間後に細胞を集めます。 IV.E. 浮遊細胞のトランスフェクション トランスフェクション トランスフェクション操作手順 Note: TransFastTM Reagentは、プライマリー(初代培養)細胞のように血清を含む培地中でも使用 することができます。 トランスフェクションのパラメーターの最適化は、一般的なガイドラインに従って浮遊細胞を用 いて行うことができます。1×106 個の場合、1、2、3、4µgのDNAをTransFastTM Reagentに対し、 1:1の電荷比率、血清を含まない培地で1時間インキュベートする。必要に応じて、DNAと TransFastTM Reagentの電荷比率や血清効果の追加試験から、最適なDNA量を決定します。 1. TransFastTM Reagentを前日に溶解し、-20℃で保存する。 2. トランスフェクションの当日、血球計数板で細胞密度を測定し、トランスフェクション実験 に必要な細胞濃度に懸濁する。一般的なガイドラインに従った場合、1×106 個で十分である。 スイングローターの遠心機で300×g、5分間遠心する。血清を含まない培地に2×106 個/mlとな るように細胞ペレットを再懸濁する。細胞を再度カウントし、必要に応じて容量を調節する。 3. TransFastTM ReagentとDNA混合溶液を調製する。滅菌チューブに37℃に温めておいた0.5m プロメガ株式会社 テクニカルサービス部 TEL:03-3669-7980, prometec@jp.promega.com 8 の培地にDNA溶液を加え、よく攪拌する。表5に示す容量のTransFastTM Reagentを加え、ただ ちに攪拌する。 表5 TransFastTM ReagentとDNAを1:1の電荷比率にした時の浮遊細胞での最適化プロトコル 1ウエル当りのDNA量 1µg 2µg 3µg 4µg DNAに対する培地の全容量 DNA TransFastTM Reagent*) 0.5ml 1µg 3µl 0.5ml 2µg 6µl 0.5ml 3µg 9µl 0.5ml 4µg 12µl *):TransFastTM Reagentは、ガラス容器1個につき、400µlで調製したものを使用します。 4. TransFastTM ReagentとDNAの混合溶液を室温で10~15分間インキュベートする。 5. TransFastTM ReagentとDNAの混合溶液をインキュベーションしている間に、0.5mlの細胞(1 ×106 個)を6ウエルプレートの各ウエルに分注する。 6. TransFastTM ReagentとDNAの混合溶液を穏やかに攪拌して、細胞へ加える(0.5ml/well)。細胞 をインキュベーターに戻し、1時間培養する。インキュベーションの間に(血清を含む)完全な培 地を37℃に温めておく。 7. インキュベーションの終了後、温めておいた培地5mlを各ウエルに加える。細胞をインキュベ ーターに戻し、解析前の適切な時間までインキュベーションする。(一過性のトランスフェクシ ョンや多くのレポーターアッセイでは、48時間のインキュベーションが一般的です。) 8. 適切なレポーターアッセイシステムを用いてトランスフェクション効率を確認する。 IV.F. 安定的発現株作成のための 安定的発現株作成のためのトランスフェクション トランスフェクション トランスフェクション操作手順 安定的かつ、長期間のトランスフェクションは、トランスフェクションしたDNAを含む個々の クローンを単離、増殖させることが目的です。したがって、非トランスフェクション細胞とトラ ンスフェクション細胞を区別しなければなりません。このスクリーニングは、トランスフェクシ ョンするDNA配列に含まれる適切な薬剤耐性マーカー遺伝子を用いることにより、薬剤セレク ションを行うことができます。 一般的に、トランスフェクション後1~2日間までの間は、細胞は非選択的培地中に維持され、 そして(スクリーニングに適切な薬剤を含む)選択培地中で培養されます。死細胞を除去するため の培地交換やコロニーと細胞残渣を明確に区別ができるまで、選択培地の使用は2~3週間継続 されます。トリプシンにより分離されたコロニーは、さらに選択培地を用いて細胞増殖させるた めに、マルチウエルプレートに移されます。 いくつかの異なる薬剤選択マーカーは、長期間のトランスフェクション試験のために用いられて います。例えば、アミノグリコシド(ネオマイシン)ホスホトランスフェラーゼのバクテリア遺伝 子配列を含む組み換えベクターをトランスフェクションした細胞では、G418(18)の存在下で安 定的なトランスフェクションによりセレクションすることができます。同様に、ハイグロマイシ ンBホスホトランスフェラーゼの遺伝子発現ベクターを用いた場合では、ハイグロマイシン B(19)を耐性試験に使用することができます。 特別な細胞種を扱う前に、薬剤の細胞に対する毒性を調べておく必要があります。薬剤の用量依 存的な毒性は、細胞種により異なります。薬剤耐性クローンを選択する目的で薬剤の用量を決定 するためには、薬剤濃度を変えた細胞生存曲線をあらかじめ作成してください。最適な薬剤濃度 は、一般的にトランスフェクションしていない細胞を5~7日間の培養し、90%の細胞死を示す 薬剤用量を指します。 安定的なトランスフェクションのために、IV.D.およびIV.E項.に示すトランスフェクションプロ トコルにしたがい、細胞はネオマイシンホスホトランスフェラーゼのような薬剤耐性遺伝子を含 むプラスミドをトランスフェクションしてください。陰性コントロールとして、薬剤耐性遺伝子 プロメガ株式会社 テクニカルサービス部 TEL:03-3669-7980, prometec@jp.promega.com 9 を含まないDNAを細胞へトランスフェクションしてください。 1. トランスフェクション後、48時間目に接着細胞をトリプシン処理し、選択培地中に異なる希 釈系列(例えば、1:20、1:100、1:200)の細胞を蒔く。 2. 14日間まで、3~4日間の間隔で選択培地の交換を実施する。 3. 2週間、生き残った細胞が点在しているかを観察する。(陰性コントロールプラスミドをトラン スフェクションした細胞の培地中では、細胞死が起こっています。) 4. 一般的な技術(例えば、クローニングシリンダー)で分離したクローンを96ウエルプレートへ 移し、選択培地中に細胞を培養する。 Note: 単一クローンを必要としない場合は、この代わりに、安定的発現細胞の集団を維持する ことができます。 安定的発現株の 安定的発現株のトランスフェクション トランスフェクション トランスフェクション効率 トランスフェクション効率の計算 次の操作は、安定的発現株のトランスフェクション効率を決定するのに使用できます。この操作 で使用する細胞は、あらかじめ固定化するため、増殖させることはできません。 1. 14日間の適切な薬剤によるスクリーニングの後、生存している細胞のクローンが存在してい るかを顕微鏡で観察する。(生き残った細胞が点在し、トランスフェクションできなかった細胞 が死滅していることが確認できたら、手順2へ進んでください。) 2. 2%メチレンブルー(60%メタノール溶液)の染色液を調製する。 3. 吸引により培地を除去する。 4. ウエルの底にある細胞が十分覆われるように必要な量の染色液を添加する。 5. 5分間インキュベーションする。 6. 染色液を除き、脱イオン化水をプレートへ浸して、穏やかにリンスする。過剰な水分を除く。 7. プレートを風乾させる。(このプレートは、室温で保存可能です。) 8. コロニーをカウントし、細胞の希釈系列と最初にトランスフェクションで用いた細胞数をも とに、トランスフェクション効率を計算する。 プロメガ株式会社 テクニカルサービス部 TEL:03-3669-7980, prometec@jp.promega.com 10 V. 困ったときには 困ったときには・・・ ここに記載のない疑問点については、プロメガテクニカルサービス部までお問い合わせください。 E-mail: prometec@jp.promega.com 症状 症状 原因 原因および改善点 全くトランスフェクションできていな い、もしくはトランスフェクション効率 が低い DNA精製度が低い。CsClまたはそれに代る方法で DNAを精製する。A260:A280の比が1.8~1.9となっ ていることを確認する。 TransFastTM ReagentとDNAの電荷比率が最適で はない。TransFastTM ReagentとDNAの電荷比率を 最適化する。多くの細胞種で1:1または2:1が最適条 件であるが、特殊な細胞種やアプリケーションに よっては、この範囲外となるかもしれません。 過剰に細胞が死滅している ・ 細胞にTransFastTM Reagentを接触させる時間 を短くしてください。 ・ 電荷比率を変えずに、DNAとTransFastTM Reagentの量を少なくしてください。 ・ TransFastTM ReagentとDNA混合溶液を除き、 完全な培地を添加してください。 ・ 血清存在下でトランスフェクションを試してく ださい。 ・ トランスフェクションした遺伝子による遺伝子 産物が細胞に対して毒性を示す可能性がありま す。 複数の実験でトランスフェクション効率 が安定しない 細胞増殖に対する最適化の必要性 ・ 培地がマイコプラズマを含んでいないことを確 認する。 ・ 継代数の少ない細胞を使う。 細胞密度が一定でない 各トランスフェクションの時に一定の細胞密度と なるように調整する。 プロメガ株式会社 テクニカルサービス部 TEL:03-3669-7980, prometec@jp.promega.com 11 VI. 参考文献 1. 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