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Bi-molecular complementation assay を利用した アルツハイマー病など神経変性疾患病因研究

Bi-molecular complementation assay を利用した アルツハイマー病など神経変性疾患病因研究 NanoLuc® ユーザーセミナー プロメガ NanoBiT 検索 図 1. FUS タンパク質オリゴマー化検出系の作成 (A)FUS のオリゴマー化を検討するため、FUS のアミノ末 端に LgBiT あるいは SmBiT を融合させたタンパク質を作 出した。FUSがオリゴマー化すれば、発光が期待される。(B) LgBiT-FUS あるいは SmBiT-FUS を HEK293 細胞に一過性 に導入し、20 時間後に細胞内の luminescence を GloMax® Navigator により測定した。(C)LgBiT-FUS 及び SmBiT-FUS を共発現した細胞において強い発光が認められ、FUS が オリゴマー化することが確かめられた。一方 FUS のアミ ノ末端 27 個のチロシンをセリンに置換して、自己重合能 を失った allS 変異体はオリゴマー化が低下することが分 かった。N=5, (***) p<0.001。 図 2. FUS タンパク質の細胞間伝播検出系の作成 (A)FUS の細胞間伝播を検討するため、LgBiT-FUS あるい は、SmBiT-FUS を恒常的に発現する HEK293 細胞を作出し、 両細胞の共培養実験を行なった。もし FUS が細胞間を伝 播すれば、共培養より発光が期待される。(B)LgBiT-FUS 及び SmBiT-FUS を恒常発現した HEK293 細胞を 72 時間 共培養し、細胞内の luminescence を GloMax® Navigator に より測定した。その結果、共培養により、luminescence の 著しい上昇が認められ、FUS が細胞間を伝播することが 確かめられた。N=3。 アルツハイマー病は初老期に発症し、認知症を主症状とする進行性の神経変性疾患であり、超高齢化社会を迎えた 現代、その克服は人類の喫緊の課題といえる。アルツハイマー病などの神経変性疾患では、神経細胞内、あるいは 細胞外に疾患を特徴付ける病因タンパク質の凝集体が出現することが病理学的に認められている。これまで生化学・ 遺伝学的解析から、この病因タンパク質の凝集体形成過程は疾患発症の鍵機構であることが分かっており、その機 序解明は疾患修飾薬の開発に不可欠である。 神経変性疾患の病因タンパク質は、タンパク質が凝集核依存的に構造変化して凝集体を形成する「凝集過程」、形 成された凝集体が細胞間を移動する「伝播過程」、によって病変を形成・拡大させると考えられており、これらの過 程は“プリオン様現象”と呼ばれている。タンパク質間の相互作用を鋭敏、かつ特異的にモニターすることが可能な bi-molecular complementation assay は、神経変性疾患病因タンパク質のプリオン様現象をモニターする上で極めて有 効なツールである。我々はこれまでにアルツハイマー病脳老人斑の構成タンパク質 amyloid β peptide(A β)に注目し、 split-luciferase complementation assay により A β のオリゴマー化測定系の樹立に成功した(Hashimoto, JBC 2011, JNS 2012)。さらに最近、可逆的な分子間相互作用の測定が可能な NanoBiT® を用い、前頭側頭様型変性症あるいは筋 萎縮側索硬化症に蓄積する FUS タンパク質の凝集過程の素過程であるオリゴマー化(図1)、及び伝播(図2)を測 定する実験系を樹立したので、以下に紹介する。これらの技術は今後アルツハイマー病など認知症の治療薬開発に 重要な知見を与えることが期待される。 東京大学 大学院医学研究科 神経病理学分野 認知症先端予防治療学 橋本 唯史 先生 (A) (B)  NanoBiT®はアミロイドペプチドのオリゴマー化測定系樹立において、従来のガウシアを用いたsplit luciferaseと比較し、特に①タン パクサイズ ②可逆性の 2 点で非常に優れたツールであるとのご評価を頂きました。今後 HiBiT を用いて細胞間伝播の実験系を 検討予定とのことで、神経変性疾患の新たな実験ツールの開発に期待です! プロメガ学術部員の 目からウロコ 前頭側頭葉型認知症、或いは筋萎縮性側索硬化症の病因タンパク質 FUS について以下の知見が明らかとなった。 ● FUS は培養細胞内でオリゴマー化する ● FUS は細胞間を伝播する。 神経変性疾患病因タンパク質の“プリオン様現象”を測定するのに、bi-molecular complementation assay は有用なツールとなることが示唆された。 結論 5Promega  WA BAN