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NanoLuc® を用いた BRET バイオセンサー BTeam による 生細胞内 ATP 濃度計測

NanoLuc® を用いた BRET バイオセンサー BTeam による 生細胞内 ATP 濃度計測 NanoLuc® ユーザーセミナー 私たちが以前開発した FRET 型蛍光バイオセンサーである ATeam は、ATP 結合タンパク質εを介して2つの蛍光タン パク質(CFP と YFP)を融合させた構造を持っています。今回、ATeam の CFP を NanoLuc® に置き換えることにより、 ATP 濃度依存的に生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)効率が変化する新規発光 ATP バイオセンサー「BTeam」を 開発しました。ATP 濃度が低い条件では、εが伸びた構造をとるために NanoLuc® から YFP への BRET 効率が低くな る一方、ATP 濃度が高くなると、εが閉じた構造をとるため BRET 効率が上昇し、結果として YFP の発光強度が増加 します(図 1A)。 まず、培養哺乳類細胞に BTeam を発現させ、細胞培養液に NanoLuc® の発光基質を加えてマイクロプレートリーダー を用いた測定をおこないました。発光基質の添加後、細胞からの発光強度は時間とともに徐々に低下していきまし たが、重要なことに、BRET 比(YFP と NanoLuc® の発光強度比)は一定に保たれていました。また、既存の発光 ATP アッセイは、発光基質の濃度や細胞の数によって影響を受けやすいのですが、BTeam の BRET 比はこれらの要 因の影響をほとんど受けないということも示されました。次に、BTeam の BRET 比から ATP 濃度を見積もったところ、 多くの培養哺乳類細胞株において細胞質では 4 mM 前後、ミトコンドリアマトリックスでは 2 ~ 3 mM であることが 示されました。 続いて、顕微鏡を用いた BTeam 発現細胞のイメージングをおこないました。解糖系の阻害剤と酸化的リン酸化の阻 害剤を加えたところ、急速な BRET 比の減少が単一細胞レベルでも明瞭に観察することができました(図 1B)。 BTeam によって、生細胞内 ATP 濃度を指標としたハイスループットスクリーニングや、ATP イメージング技術の光合 成生物への適用への道が拓けたと考えています。 京都大学 生命科学研究科 高次生体統御学 今村 博臣 先生 プロメガ NanoLuc 検索 (A) (B) 生細胞内 ATP 濃度測定に興味あ る方はお気軽にご相談下さい。 また、大学院生も募集していま すので、私たちの研究に興味の ある方はぜひご一報下さい。 ホームページ:http://www.imamura. lif.kyoto-u.ac.jp/index.html 図 1. Bteam の模式図と単一細胞ライブイメージング (A)BTeam の模式図。εへの結合によって NanoLuc® と YFP 間の距離が変化することで BRET 効率が増減する。(B)BTeam を発現する細胞の単一細胞ライブイメージング。BRET 比を疑 似カラー表示している。0分の段階で ATP 合成阻害剤を添加した。 CellTiter-Glo® での細胞内 ATP 測定データを見慣れた身からすると、BTeamでリアルタイムに ATP 変化を追ったデータは非常に印 象的でした。また FRET に対する BRET の強みとして、植物の光合成メカニズム解析への応用を挙げておられたのも興味深いア プリケーションです。現在 NanoBiT® バージョンも作製中とのことですので、より明るいセンサーができれば細胞内の各部位おけ る ATP 変化をさらにはっきり検出できるようになると期待しています。 プロメガ学術部員の 目からウロコ ● NanoLuc® を利用した BRET 型 ATP バイオセンサー「BTeam」 を開発し、生きた細胞内の ATP 濃度を、マイクロプレートリー ダーあるいは顕微鏡によって高い定量性で発光測定すること が可能になった。 ● BTeam によって、生細胞内 ATP 測定の適用範囲が大きく広がった。 結論 参考文献 ● Yoshida, Kakizuka & Imamura (2016), “BTeam, a novel BRET-based biosensor for the accurate quanti cation of ATP concentration within living cells.” Scienti c Reports 6, 39618. 6