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アポトーシス & ネクローシスをリアルタイムに一発測定

アポトーシスと Annexin V アポトーシスは不要な細胞や老化した細胞、異常な細胞を取り除く、 分子機構に制御された細胞死です。DNA のフラグメント化やミトコンド リア膜電位の変化などがアポトーシスの特徴として知られており、アポ トーシスの検出マーカーに活用されています。細胞膜の内側に存在する リン脂質、フォスファチジルセリン(PS)もその 1 つです。 PS は細胞膜の内側のみに局在しますが、アポトーシスが起こると PS は細胞膜の外側に露出するようになります。Annexin Vはカルシウムイオン 依存的に PS に強く結合するリン脂質結合タンパク質です。Annexin V の 特性を活用し、初期アポトーシスの検出に利用されています。 発光法を用いた Annexin V・PS の検出 従来法では蛍光標識した Annexin V と、細胞膜非透過性の DNA 結合蛍 光色素を用いて、アポトーシスとネクローシスをフローサイトメトリーを 使って評価しています。アポトーシス初期には PS を介して結合した蛍光 Annexin V により標識された細胞が検出されます。後期アポトーシスで は、細胞膜の完全性が失われるため、より強い Annexin V の標識がなさ れるのに加え、DNA 結合蛍光色素が細胞膜を透過し、DNA に結合する ことで蛍光シグナルを発するようになります。 フローサイトメトリーを使用するメリットの1つとして、細胞集団中の生 細胞、アポトーシス、ネクローシスの細胞の割合を出せる点があります。 その一方で、フローサイトメーターでの測定ではサンプル調製が煩雑・ スループット性が低いというデメリットがあります。 従来法のデメリットを改善するため、プロメガは得意の発光測定技術 を活用し、Annexin V をプレートリーダーで測定可能にしました。図 .1 にはその原理を示しています。 プロメガは、NanoLuc® をもとに開発した NanoBiT® の各タグと Annexin V の融合タンパク質(SmBiT-AnxV および LgBiT-AnxV)を合成しました。 これら融合タンパクを試薬としてアポトーシスを起こした細胞に振りか けると、細胞膜外に露出した PS と SmBiT-AnxV / LgBiT-AnxV が結合、 PS との結合を介して AnxV が重合し、SmBiT : LgBiT が接合、NanoLuc® の酵素活性が回復します。すなわち、Annexin V と PS の結合を発光シ グナルにて評価します。また、細胞膜非透過性の DNA 結合色素も加え る事で、従来法と同じく後期アポトーシスも同時に解析することが出 来ます。 (NanoBiT® については、かわら版 2016 年春号をご覧ください:www. promega.co.jp/pdf/kawara_1604_p2.pdf) 経時的なアポトーシスの評価・測定 プロメガは Annexin V 検出技術を発光アッセイに応用して従来法よりも 高感度・低バックグラウンド測定を可能にしただけでなく、アポトーシ スの経時変化を追跡できるリアルタイムアッセイを実現しました。アポ トーシスの評価では測定タイミングが重要なファクターであり、従来法 では複数のサンプルを用意し、最適なタイムポイントを見出す必要があ りました。 プロメガの Annexin V の発光測定では、試薬を添加するのみで、細胞を培 養した状態で経時的にアッセイできるため、1 枚のプレートから多くの情 報を引き出す事が可能です([アポトーシス + ネクローシス]× 経時変化)。 図 2 にはアポトーシス誘導を行い、経時的に Annexin V の測定を行った 例を示しました。Annexin V の発光シグナルの増加の後に、DNA 結合試 薬の蛍光シグナルの増加が観察されており、1 枚のプレートから最適な 測定タイミングや細胞死の作用機序を調べる事が可能です。 Annexin V に付加した NanoBiT® の発光は非常に強くプレートリーダーで 高感度にアッセイすることができますが、さらにその発光強度によりオ リンパス社 LV-200 を用いた発光イメージングにより初期アポトーシス の様子を観察することができます。 最後に 今回紹介した Annexin V に加え、カスパーゼの活性化もアポトーシスの 主要なマーカーとしてよく使用されています。Annexin V のシグナルが上 がってきたタイミングでカスパーゼの活性評価を行うマルチアッセイも 可能です。プロメガには発光でカスパーゼの活性を測定する技術もあり ます。Annexin V とカスパーゼ活性の同時評価についてもお気軽にお問 い合わせください。 キーポイント 簡単な測定プロトコル Add to Measure の簡単プロト コル・最大 48 時間までの経時的なアッセイが可能。 フローサイトメーター不要 発光測定と蛍光測定に対応したプ レートリーダーにて簡便に測定可能!Throughput も格段にアップ! 様々なサンプルでの応用例 通常の 2 次元培養サンプルに加 え、3 次元培養サンプルや共培養アッセイ(CTL アッセイ)にも応用可能。 アポトーシス & ネクローシスをリアルタイムに一発測定 細胞ビックバン – 高次元細胞プロジェクト 細胞が増殖するのか、それとも細胞死が起こるのか…細胞に起こる現象を調べることは、遺伝子機能の解析や創薬開発などの研究における初期ステッ プの1つです。これまでに種々のマーカーを用いて、細胞の増殖やプログラムされた細胞死(アポトーシス)を評価・測定する手法が開発されています。 アポトーシスマーカーであるカスパーゼのアッセイ法 は操作性もシンプルであり、スクリーニングなどの用途に最適ですが、細胞内の酵素を測定する ために細胞を溶解するエンドポイントアッセイであり、最も活性の高いタイミングを事前に見極める必要がありました。Annexin V を利用した測定方 法は細胞表面に起こる変化を捉えているため細胞を破壊せずにアポトーシスの形成過程(細胞死メカニズム)を詳細に観察するためにはきわめて有 用です。今回プロメガが開発した発光 Annexin V アッセイは、従来のフローサイトメトリーによる検出法で抱えていた簡便性、スループットなどに関 わる問題を解決すると同時に経時的な観察を可能にしたアポトーシスアッセイの決定版とも言えるツールです。 図 2. 経時的なアポトーシス / ネクローシスアッセイ DLD-1 細胞を 400 ng/mL rhTRAIL(パネル A)、K562 細胞を 1.1 µ M Bortezomib(パネル B) でそれぞれ処理してアポトーシスを誘導した。検出試薬を加えたタイミングを 0hr とし、 各点線は Annexin V 検出試薬(発光:●)と DNA 結合試薬(蛍光:□)のシグナルが検 出され始めたタイミングを示す。 図 1. Real-time™ Glo Annexin V Apoptosis Assay の原理 RealTime-Glo™ Annexin V Assay については 7 月末発売予定 製品名 サイズ カタログ番号 価格(¥) RealTime-Glo™ Annexin V Apoptosis and Necrosis Assay (アポトーシス& ネクローシス デュアルアッセイ) 100 回分 JA1011 80,000 1000 回分 JA1012 400,000 RealTime Glo™ Annexin V Apoptosis Assay    (アポトーシス シングルアッセイ) 100 回分 JA1000 68,000 1000 回分 JA1001 340,000 Caspase-Glo® 3/7 Assay (アポトーシス:カスパーゼ 3/7 アッセイ) 10 ml (100 回分) G8091 75,000 プロメガ 高次元細胞プロジェクト 検索 図 3. LV200 を用いた Annexin V の発光イメージング HeLa 細胞にスタウロスポリン(終 濃度 1 µM)を添加し、アポトーシ スを誘導した。添加 2.5 時間(左図) および 5 時間(右図)の代表的な像 を示す。LV200(Olympus)にてイメー ジングを行い、位相差と発光の像 を重ねあわせた。<オリンパス社秋 吉様の御厚意によりデータ提供> Anx V Anx V SmBiT LgBiT 細胞膜 Anx V (発光) DNA (蛍光) ホスファチジルセリン アポートシス誘導試薬 の処理時間 細胞の状態 シグナルの変化 生細胞 初期アポトーシス 後期アポトーシス (2 次的ネクローシス) 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 A. Time (hours) Luminescence (RLU) Fluorescence (RFU) 1.5 hr 10 hr Apoptosis 2゜Necrosis Apoptosis 2゜Necrosis 0 8 16 24 32 40 48 0 70,000 140,000 210,000 280,000 350,000 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 Time (hours) Luminescence (RLU) Fluorescence (RFU) B. 8 hr 20 hr 核酸結合 蛍光色素 4