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ターゲットエンゲージメントが切り拓くキナーゼ標的創薬

キナーゼ阻害剤スクリーニング キナーゼアッセイは RI 標識したリン酸を使う方法、リン酸化タンパク質 特異的抗体を使う方法、基質リン酸化の電荷の違いにより検出する方 法など、様々なアッセイ法が考案されてきました。プロメガはすべての キナーゼに共通の基質である ATP に着目し、反応前後の ATP 量を比較 することでキナーゼ活性を測定する Kinase-Glo® を開発、のちにこれを 改良して反応生成物の ADP を検出する ADP-Glo® を開発しました(図 1)。 ATP や ADP を検出する手法により、これまでは RI アッセイ以外では難 しかった全長タンパク質、糖や脂質のような分子を標的基質とするキ ナーゼアッセイを、ペプチドを基質とするキナーゼと同様にアッセイで きるという大きな特長があります(図 2)。またキナーゼ反応後の残存 ATP を検出する Kinase-Glo® に比べ、反応生成物である ADP を検出す る ADP-Glo® は非常に高感度であり、活性の弱いキナーゼや少ない酵素 量でも高感度なアッセイができるようになりました。ルミノメーターさ えあれば測定できる簡便さから、基礎研究から HTS まで幅広く使用さ れています。特に HTS では、擬陽性が少ないロバストなアッセイ系とし て高く評価されてきました。 また、より簡便にキナーゼ阻害剤を研究できるよう、174 種のキナーゼ について精製キナーゼ・基質・反応バッファーをセット化した Kinase Enzyme System を用意しました(KES リスト www.promega.com/a/kinase/)。 キナーゼのプロファイリング キナーゼをターゲットにした創薬では、特異性の高い化合物を見つけた い、また見つけた化合物が他のキナーゼファミリーと反応するかどう か調べたい、というニーズが高まっています。このようキナーゼファミ リーにおけるプロファイル解析系は自作するのは容易ではありません。 受託サービスという方法もありますが、受託サービスには様々なメリッ トがある一方、ちょっとやってみたい場合には利用しにくく、また化合 物を外部に出せない場合は利用できません。ADP-Glo® Kinase Enzyme System をキナーゼファミリーごとに、またはヒトの Kinome を代表する パネルにまとめてセット化 し た Kinase Selectivity Profiling System は 、 自分で簡単にキナーゼプロ ファイリングをしたいとい うニーズに応える製品です。 各酵素と基質はチューブス トリップに分注されており、 使用する際に希釈して混合 するだけで理想的なキナー ゼ活性が得られるよう調製済みです。特定ファミリーでの簡単なチェッ クから Kinome 全体の本格的なプロファイリングまで、柔軟に使い分け できる点も魅力の一つです。 細胞内での薬剤結合活性および滞留時間測定 (タ―ゲットエンゲージメント) 近年はターゲットからの解離が遅く、より長く効果を発揮する阻害剤を 目指した開発が行われています。キナーゼ阻害剤においても同様に滞 留時間(Residence time )測定のニーズが高まっています。また創薬ター ゲットとして有望なチロシンキナーゼ型受容体ファミリーは膜貫通型キ ナーゼであり、これまでは全長タンパク質でのアッセイが難しく、阻害 剤スクリーニングでは精製した活性ドメインのみ使用することが一般的 でした。かわら版秋号(www.promega.co.jp/pdf/kawara_1610_p3.pdf)で ご紹介した TE アッセイ(Target Engagement Assay [ 細胞内蛍光標識化合 物結合試験 ])を利用すれば、従来法では解析が困難であった膜貫通 型キナーゼやサイズの大きなキナーゼについても生細胞内におけるキ ナーゼ結合活性および滞留時間の測定を簡便に行うことができます。 また、TE アッセイでは Type I 阻害剤の他、Type II やアロステリック阻 害剤の評価もできることが分かっています。図 4A は様々なタイプの阻 害剤による Kinase Tracer と Abl キナーゼ結合阻害実験例です。Type I 阻 害剤の Dasatinib、Type II 阻害剤の Imatinib と Ponatinib、Type III かつアロ ステリック阻害剤である GNF2 を評価したところ、全タイプの阻害剤に おいて Kinase Tracer の結合阻害活性が観察されました。また、結合阻 害活性が報告されているキナーゼ阻害活性ともよく相関し、Dasatinib や Ponatinib では GFN2 や Imatinib に比べて強い活性を示しました。 これらの滞留時間を測定したところ、第一世代の Imatinib は添加後数十 分でプラトーに達しており比較的解離が早いことを示していますが、第 二世代の Dasatinib や Bafetinib、さらに第三世代の Ponatinib は非常に滞 留時間が長く、非常にゆっくりとした解離が観察されています(図 4B)。 簡便に滞留時間を測定できる TE アッセイが強力なツールになることは 間違いありません。 キナーゼの TE アッセイは現時点でヒトキノーム全体のうち 120 種以 上の全長キナーゼ解析システムを構築済みであり、カタログ製品化に 先立ち先行販売しております。ご興味がある方は是非お問合せ下さい (E-メール:prometec@jp.promega.com)。 ターゲットエンゲージメントが切り拓くキナーゼ標的創薬 アカデミア創薬サポートプロジェクト 近年のブロックバスターは多くが抗体医薬をはじめとするバイオ医薬品になっているとは言え、キナーゼや GPCR は創薬ターゲットとして魅力がある 分子です。実際に、2016 年 2 月の時点で開発中の低分子性抗がん剤のうち 68% がキナーゼ阻害剤であり、特にチロシンキナーゼファミリーをターゲッ トとしたものが多いという報告(1)もあり、創薬ターゲットとしてキナーゼが重要であることが分かります。特定の酵素やキナーゼファミリーに特異 性が高い化合物の探索だけでなく、新たな阻害剤評価法や評価項目も出てきており、様々なキナーゼ解析手法がとられるようになってきました。こ こでは、キナーゼ阻害剤解析や探索においてプロメガが提供する多様な解析法をご紹介します。 (1)分子標的薬開発(2016 年 2 月時点)scads.jfcr.or.jp/db/table.html 図 1. ADP-Glo® アッセイ原理 図 2. 様々な基質の ADP-Glo® アッセイデータ事例 タンパク(ERK2)、ペプチド(EGFR)、 脂質(PI3K)、糖(Glucose) 図 3. Kinase Selectivity Profiling System の酵素・ 基質ストリップ 図 4A. Type I、II 阻害剤と ATP 非拮抗型阻害剤 図 4B. 各阻害剤の滞留時間 プロメガ キナーゼのバイオロジー 検索 -1 0 1 2 0 9000 18000 27000 36000 45000 Lipid Kinase Phosphatidylinositol (lipid) Log10[PI3K p120γ], ng RLU EC50=2.8ng 9168MA Hexokinase Glucose (sugar) -4 -3 -2 -1 0 1 0 100000 200000 300000 400000 Log10[Glucokinase], mU RLU EC50=50µU 9169MA Serine-Threonine Kinase MBP (protein) -1 0 1 2 3 0 100000 200000 300000 400000 500000 EC50=77ng Log10 [ERK2], ng RLU 9170MA -2 -1 0 1 2 3 0 7000 14000 21000 28000 35000 Tyrosine Kinase Poly Glu4-Tyr1(peptide) Log10[EGFR], ng RLU EC50=7.7ng 9171MA Light 10132MA Step 1. Add ADP-Glo® Reagent. Step 2. Add Kinase Detection Reagent. Luciferase/Luciferin Convert Detect Deplete Newly synthesized ATP. ATP remaining after your reaction. Remaining ATP. ATP P P ADP P P ATP P P P ATPr P P P P ADP P P Your Reaction Reaction Products ADP-Glo® Assay ATP P P P P ATP P P P Substrate Substrate Kinase reaction ATPase reaction ATP P P P OR Pi 1 0 -6 1 0 -4 1 0 -2 1 0 0 1 0 2 0 5 1 0 1 5 2 0 2 5 GNF2 Imatinib dasatinib Ponatinib EC₅₀ GNF2 0.1055 Imatinib 0.4556 dasatinib 0.006036 Ponatinib 0.006697 NanoLuc®-Abl kinase Live Cells [Compound], µg BRET Ratio (mBU) 20 40 60 80 100 120 -20 0 20 40 60 80 100 120 Vehicle Imatinib Dasatinib Ponatinib Bafetinib Abl kinase Abl Kinase Time (m) Normalized Response 5Promega KAWARABAN